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ステージ1の乳がん 術後病理検査結果

[管理番号:2177]
性別:女性
年齢:35歳
田澤先生こんにちは。
いつも乳がんプラザのQ&Aを拝見し勉強させて頂いています。
昨年12月に乳房部分切除術を行いました。
以下の病理結果が出ました。
Invasive ductal carcinoma of the right breast RBD scirrhous > solid-tubular type gf pT1(12×9mm)
Nuclear Grade3,ly1,v0
surgical maigin(-),pN0(sn(0/1)).(Rt-Bp+Sn)
右乳房部分切除検体
右BD領域
12×9mmの腫瘍性病変
浸潤性入管癌 硬癌>充実線管癌
乳腺組織内、乳腺周囲脂肪織へ浸潤する
核グレード3点(核異形度3点+核分裂度2点)
腫瘍内へのリンパ球浸潤が目立ち、浸潤巣から15mmまでの範囲に乳管
内進展を認める
切除断端陰性
センチネルリンパ節への転移を認めない
Her-2 score 1+
ki-67 index検索中
ホルモン受容体ER(+)50%、PgR(-)
①主治医の先生から、「ホルモン受容体があるけどそこまで高くないし、年齢が若いから抗がん剤をやってもいいかもね。」と言われました。
ki値が出てから考えようということになりましたが
田澤先生も同じお考えでしょうか?
②腫瘍内へのリンパ球浸潤が目立つというのは悪いことなのでしょうか?
③浸潤巣15mmまでの範囲に乳管内進展を認めるとあり、心配しているのですがどうでしょうか?
④センチネルリンパ節検査では一つのリンパ節しか検査されてないようですが大丈夫でしょうか?
⑤今の段階での再発率、生存率を教えて下さい。
⑥年齢が若く乳がんになってしまい遺伝性も心配になりますが、遺伝性乳がんとは母や祖母、姉妹、叔母などが過去に乳がんになっていなければその可能性は低いのでしょうか? 両祖父が胃がん、肝臓がんで他界しております。
遺伝とかは関係あるのでしょうか?
お忙しいところ色々質問して申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, luminal type(Ki67測定中), NG3
『①主治医の先生から、「ホルモン受容体があるけどそこまで高くないし、年齢が若いから抗がん剤をやってもいいかもね。」と言われました。ki値が出てから考えようということになりましたが田澤先生も同じお考えでしょうか?』
⇒違います。
 私は「若いから」という理由は全く考慮しません。
 
「②腫瘍内へのリンパ球浸潤が目立つというのは悪いことなのでしょうか?」
⇒無関係です。
 
「③浸潤巣15mmまでの範囲に乳管内進展を認めるとあり、心配しているのですがどうでしょうか?」
⇒乳管内進展は「乳管癌」である以上、ごく当たり前なことです。
 全く問題ありません。
 
「④センチネルリンパ節検査では一つのリンパ節しか検査されてないようですが大丈夫でしょうか?」
⇒本来は「1個」であるべきです。(リンパ節が固まって存在している場合は仕方がありませんが…)
 巷で「わざわざ数個摘出しているケースがある」のは「(手術精度の問題で)本物のセンチネルリンパ節である自信がない」からだと思っています。(沢山摘出したらセンチネルリンパ節生検の意味が無くなります)
「⑤今の段階での再発率、生存率を教えて下さい。」

10年再発率 10年生存率
無治療 30% 87%
ホルモン療法のみ 19% 91%
ホルモン療法+化学療法 13% 93%

 
「⑥年齢が若く乳がんになってしまい遺伝性も心配になりますが、遺伝性乳がんとは母や祖母、姉妹、叔母などが過去に乳がんになっていなければその可能性は低いのでしょうか?
⇒質問者自身が「トリプルネガティブ」でもないし、可能性は高く無さそうです。
 
 
「両祖父が胃がん、肝臓がんで他界しております。遺伝とかは関係あるのでしょうか?」
⇒それらは無関係です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
質問の返答ありがとうございました。
私のような病理結果の場合、田澤先生なら抗がん剤を勧めますか?
その理由も教えて頂けると幸いです。
10年再発率とは、遠隔転移再発のことでしょうか?
自分にできる範囲で再発しないために食事や運動なと気をつけたいと考えています。
しかしネットなどはいろいろな情報が飛び交っていて何を信じていいか混乱しています。
田澤先生は今までたくさんの患者さんを診て来られて、こういう物がいいとか感じておられれば教えて下さい。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「私のような病理結果の場合、田澤先生なら抗がん剤を勧めますか?その理由も教えて頂けると幸いです。」
⇒「Ki67の結果」を待ちましょう。
 やはり「luminal A/Bの基準」である以上、参考にすべきです。
 その上で、(前回回答した)「上乗せ6%」と併せて判断しましょう。
 
「10年再発率とは、遠隔転移再発のことでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「自分にできる範囲で再発しないために食事や運動なと気をつけたいと考えています。しかしネットなどはいろいろな情報が飛び交っていて何を信じていいか混乱しています。」「田澤先生は今までたくさんの患者さんを診て来られて、こういう物がいいとか感じておられれば教えて下さい。」
⇒健康的な生活です。(運動など)
 そして食事は「日本食」納豆、味噌汁でしょう。「大豆、イソフラボン」は乳癌には良さそうです。
 しかも「カロリーオフの食事」は他の様々な癌に対しても効果的なのです。
 牛乳もいいですね。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。
いつも質問の返答ありがとうございます。
お忙しいところ何度も申し訳ありませんが、質問させてください。
先日、ki値の結果が出て15%でした。
主治医の先生からは15%~いわゆるたちの悪い癌だから抗ガン剤が適用になると言われ、2月初めから開始することになりました。
しかし、他の方の質問に対する田澤先生の回答を拝見させて頂き、20%以下は文句なしのルミナールAとありました。
ネットで見た事があるのですが、病院によって?病理医の方によって?
ki値の%の決め方も違うのですか?
例えばですが、今の診断ではki値15%ですが、田澤先生の病院で病理検査をしてもらったら30%になるということはあるのですか?
私はやはり抗ガン剤をすべきでしょうか?
ホルモン受容体がERのみ+(50%)なのと、グレード3が気になります。
抗ガン剤の効果があるのならやりたいとは考えています。
ki値15%でも以前返答頂きました、抗ガン剤による上乗せ6%(無再発率)は変わりませんか?
抗ガン剤の詳しい説明は後日にありますが、二種類の抗ガン剤を4回ずつ(計8回)6ヶ月と言われました。
今の仕事は続けたいのですが、抗ガン剤とうまく付き合っていけるのかもとても不安です。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「主治医の先生からは15%~いわゆるたちの悪い癌だから抗ガン剤が適用になると言われ、2月初めから開始することになりました」
⇒「Ki67値の解釈」には、正直驚きました。
「Ki67=15%」を「抗がん剤の適応=ルミナールB]の根拠とするとは!
その基準で行うとすれば、「その施設では、ルミナールタイプの殆どがルミナールBとなり、抗がん剤の適応がかなりの割合になっている」と想像します。
 
「ネットで見た事があるのですが、病院によって?病理医の方によって?ki値の%の決め方も違うのですか?例えばですが、今の診断ではki値15%ですが、田澤先生の病院で病理検査をしてもらったら30%になるということはあるのですか?」
⇒人間の目で見る検査ですから、「多少のバラつき」はあります。
 以下を参考にしてください。
 ○St.Gallen 2015では 10-30%を「グレーゾーン」に設定(施設によるバラつきを考慮して)
 ○St.Gallen 2015の実際のvotingでは「ルミナールAとBの境界は20-30%の間にある」という意見が最も多かった。
 上記の事実より私は「20%以下は文句なしのルミナールA」「25%位を境界」と考えているのです。
 ♯補足すれば、担当医は「Ki67=15%を高いと感じているのではなく」 『一応グレーゾーンにギリギリ入るから(年齢や核グレードの方をより重視して)化学療法をやりたい』と考えているのではないでしょうか?(Ki67=15%だけを根拠として化学療法を勧めることは流石にないでしょう)
 
「私はやはり抗ガン剤をすべきでしょうか?ホルモン受容体がERのみ+(50%)なのと、グレード3が気になります。」
⇒私なら「抗がん剤は勧めません」
 
「ki値15%でも以前返答頂きました、抗ガン剤による上乗せ6%(無再発率)は変わりませんか?」
⇒変わりません。
 
「抗ガン剤の詳しい説明は後日にありますが、二種類の抗ガン剤を4回ずつ(計8回)6ヶ月と言われました。」
⇒pT1c(12mm), pN0, luminal type(Ki67=15%), NG3の抗がん剤で「アンスラサイクリン+タキサン」ですか。
 余程、担当医はアグレッシブなようですね。
 「ルミナールタイプ、低リスク」ではTC(3カ月)を勧める施設が多いと思います。
 
 
 

 

質問者様から 【質問4】

こんにちは。
以前質問させていただいた者です。
田澤先生に相談後、もう一度主治医の先生と話し迷っているなら
とりあえずタキサン系(ドセタキセル)をやってみて
その後アンスラサイクリンをやるかは、タキサン系をやってから考えてみよう。
と言われ、少しでも再発率を下げたい気持ちもあったのでタキサン系の治療を行いもうすぐ4回目の治療を行うところです。
次のアンスラサイクリンを行うか決断しなければいけないのですが、
アンスラサイクリンは心毒性もあり、吐き気も強いなど副作用がタキサン系より辛そうに思いますし、
再発率の上乗せが1~3%くらいと高くないので今だに迷っています。
以前先生は私のような病理結果の場合TCを勧める病院が多いと教えて頂きました。
私はこのままドセタキセルの治療だけで大丈夫でしょうか?
TCのTのみしか治療をしていないことになりますよね?
それでも上乗せ効果があったと考えてよいのでしょうか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, luminal type(Ki67=15%), NG3の抗がん剤で「アンスラサイクリン+タキサン」ですか。
前回の回答でもコメントしましたが、「Ki67=15%で化学療法を勧めるとは!!」
タキサンを4回やったのであれば十分です。