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SOFT試験の解釈

[管理番号:774]
性別:女性
年齢:44歳

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:348「セカンドオピニオンと転院」

 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:966「温存術後の変形」

 
 
いつも皆さんの質問&先生の回答で勉強させて頂いております。
以前も質問しておりましたが、まだ悩みがある問題がございまして、お忙しいところ申し訳ありませんが、質問させて頂きます。
まず、以前もご質問した皮下注射についてです。
ホルモン療法を先行してやりはじめた時にすぐに皮下注射を了承しなかった為、現在はホルモン療法の副作用をチェックしているところです。先生から教えて頂いたSOFT
試験のことを担当医に話したところ、腫瘍が大きくはないが小さくもない(2.9センチ)ということで強く皮下注射を勧められております。私は適応外で上乗せはないのではないか?と尋ねたのですが、上乗せなくはない、3%ぐらいの上乗せはあるとおっしゃいます。腫瘍の大きさを言われ、抗がん剤みたいな副作用もないからと言われると、受けるべきかと考えてるところですが、先生はどう思われますか。
また、他の乳腺外科の先生のご意見で、化学療法をしたり若年層だったりにあてはまらないグレーゾーンの人に皮下注射を勧める場合は、担当医が卵巣機能が強いと判断したのではないか?とのご意見もありました。このようなご意見に対する先生のお考えと、ここで言われてる卵巣機能が強いと乳腺外科医が判断するのは、どのような時なのでしょうか。
もう1つの質問は、乳房の再建についてです。
現在私の決心がつかないのと、術後の傷口がまだ完璧ではないので放射線は受けておりません。ほんの少し液が出ることがあったので、軟膏をつけています。
その間、いろいろな資料を目にしたり、手術した病院に形成外科がないものですから担当医紹介のセカンドオピニオンを受けたりしましたが、簡単に答えが出ない状況です。
今より酷くなったらどうしよう、という恐怖と担当医自体は綺麗に出来ていると感じているからだと思います。
江戸川病院でもお話をお聞きしましたが、私が緊張して上手く質問できず解決しませんでした。
そこで、もし私のように健側が下垂、術側はA領域に腫瘍(2.9センチ)で皮膚も少し切
除し左右で3センチぐらい乳首の位置に差が出来そうだと予見した場合、先生ならどのような術式をとられることが多いでしょうか。私のように少し皮膚を切除して全摘した場合は、自家組織を足さなくてもエキスパンダーで伸ばすことで対応されることもありますか。
また、術後なかなか傷口が落ちつかず傷口が開いたりしました。このような状態というのは、患者側の体質でくっつきにくいとかあるのでしょうか。
いくつも質問して申し訳ありません。よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 pT2(29mm), pN0, luminal A, ly0, v0、luminal A
SOFT試験について重要なところは「皆が期待していたTAM単独に対する上乗せ効果が、試験全体では無かった」と言う事です。
 「35歳以下」とか「化学療法を施行後に生理が戻った群」とか「対象をかなり絞って」ようやく有効性があったのです。
 この試験結果では
 我々乳腺外科医は(SOFT試験がでるまで)「何となく、閉経前で気になる人にはLH-RHagonistも併用していると安心だよね」という意識を捨てる事だと思っています。
 「ある特定のグループ以外には、全く有効ではなかった(無駄ということ)」に正視する必要があります。

回答

「腫瘍の大きさを言われ、抗がん剤みたいな副作用もないからと言われると、受けるべきかと考えてるところですが、先生はどう思われますか」
⇒必要ありません。
 「腫瘍径」など、「何となーく、気になるんだよね」的発想は、厳に慎むべきです。
 因みに「腫瘍径」はSt.Gallen 2015では「luminal Aでの化学療法を勧める根拠にはならない」と2/3の専門家がvotingしています
 
「グレーゾーンの人に皮下注射を勧める場合は、担当医が卵巣機能が強いと判断したのではないか?とのご意見」
⇒(SOFT試験の結果がそのまま厳密な適応基準とはなっていないので)「主治医の匙加減」という意見でしょうが、
 科学的根拠にかけるものであり、私は賛成しません。
 
「江戸川病院でもお話をお聞きしましたが、私が緊張して上手く質問できず解決しませんでした。」
⇒形成外科のS医師は「とてもいい医師」なので、もう一度相談してもいいと思いますが…
 
「皮膚も少し切除し左右で3センチぐらい乳首の位置に差が出来そうだと予見した場合、先生ならどのような術式をとられることが多いでしょうか」
⇒皮切を縦方向にします。
 質問者が受診した際にもお話ししましたが、
 皮膚切開を縦方向にすれば、「乳首は上に持ちあがりません」
 「横方向(しかも皮膚が短縮している)なので」持ちあがっているのです。
 
「私のように少し皮膚を切除して全摘した場合は、自家組織を足さなくてもエキスパンダーで伸ばすことで対応されることもありますか。」
⇒勿論あります。
 ただし、左右のバランスを考えると(下垂がある場合には)自家組織の方が「自由度が高い」と思います。
 
「このような状態というのは、患者側の体質でくっつきにくいとかあるのでしょうか」
⇒体質よりは「手術内容」です。
 余程の「低栄養」や「コントロール不良の糖尿病」が無い限りは、「患者さん側の因子」ではありません。