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センチネルリンパ節生検

[管理番号:3000]
性別:女性
年齢:50歳
現在アメリカ在住です。
先週、core biopsy stereotactic vacuum (正確に日本語訳がわからないので、そのまま書きます)をし、乳癌であると診断されました。
今週月曜日にDr.と会い、ステージ0の非湿潤乳癌である事を説明され、温存療法で手術する事が決まりました。
全摘か温存かなど、自分で選択させられるのかと思っていたのですが、
癌の部分が非常に小さいため(3mmぐらいと言っていたように思います)、全摘する必要がないとの事でした。
あれよあれよといううちに、同意書にサインをし、手術部が決まりました。
「リンパ節の検査もするのか?」
と聞いたところ、非湿潤なので必要ないと言われました。
けれども、こちらや他のサイトで、非湿潤の場合でも、実際は浸潤している場合もあるので、センチネルリンパ節生検はした方がいい、と書かれているのを読み、非常に心配になっています。
ずっと、それで良かったのか、と心配するよりは、今から無理言ってでも、センチネルリンパ節生検をしてもらう方がいいのでしょうか?
手術は、biopsyの際に残したチップをめがけてワイヤーを通し、それをガイドに癌周辺を取る、と聞いています。
その場合、センチネルリンパ節生検がしにくい等あるのでしょうか?
通訳が入ってくれるとはいえ、言葉の壁があり、自分の思っている事がうまく伝えられなくてもどかしく感じています。
アドバイスお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
内容は理解しました。
「core biopsy stereotactic vacuum」とは「ST-MMT」のことですね。石灰化だったのだと思います。
○今回の件は、日本とアメリカの「非浸潤癌に対する考え方の違い」が背景にあります。
アメリカでは「非浸潤癌は通常の癌とは認識していない」のです。
ニュアンスとしては「前癌病変」という位置づけです。
当然「センチネルリンパ節生検は不要」となります。
一方で日本ではガイドラインでも「針生検(質問者が行ったST-MMTを含む)での非浸潤癌」は「摘出すると微小浸潤など存在する可能性が否定できない」から「センチネルリンパ節生検すべき」となっています。
 
「ずっと、それで良かったのか、と心配するよりは、今から無理言ってでも、センチネルリンパ節生検をしてもらう方がいいのでしょうか?」
⇒日本的に言えば、それがいいですが…
 一つ参考にすることがあれば
 ①画像上、その石灰化が「極めて狭い範囲」にある
 ②非浸潤癌が「low grade(低悪性度)」である
 上記①②を満たせば「浸潤癌の併存の可能性」は極めて低くなります。
 その場合には「省略でもいい」とは思います。(ガイドラインではそこまで細かい
規定はありませんが、私の経験的知見です)
 
「その場合、センチネルリンパ節生検がしにくい等あるのでしょうか?」
⇒関係ありません。
 センチネルリンパ節生検の手技自体は問題無くできます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
アメリカ在住の、DCISと診断された者です。
先日は、センチネルリンパ節生検についての質問に回答いただき、ありがとうございました。
言葉の壁と医療制度の違いに戸惑いながらも、先生のQandAを拝見させていただき、異国の地から大変心強く思っております。
その後、医師に再度確認しようかと思っていたところ、状況が大きく変わりました。
前回は、経過等何も書かずに質問しましたので、少し説明させてください。
4月中旬に、「生理前なのに乳房が張らなくなったなぁ」と思いながらなんとなく乳首を摘んだところ、少量の分泌物が出てきました。
(黄色透明、押したら出る程度)
家庭医にかかったところ、「異常とも言えないので、まずはルーチンのマンモを受けては?」と言われ、4月下旬に画像検査専門の施設でマンモグラフィーを受けました。
(しばらく受けておらず3年ぶり)
その際、分泌物があった事を告げたので、検査内容が変わったようです。
マンモグラフィーの後に、エコーも受け、その際に乳首の中に何かあるのが見つかったようですが、その事については特に私には説明がなく、
石灰化があるので、ステレオガイド下マンモトーム生検をするように言われました。
系列の病院のブレストセンターで、初回は看護師による触診を受けた後(特別な資格を持った看護師のようです)、5月中旬にマンモトーム生検を受け、DCISと診断されました。
この時点で、手術日が6月中旬にきまり、センチネルリンパ節生検の事で先生に質問させていただきました。
しかし、医師との面談日に、さらなるマンモグラフィーとエコーをし、
乳首の中の病変に対して針生検をされました。
そして数日後に受けたMRIの結果と合わせて、再度医師から連絡があり、「他にも4箇所の病変がある、全てがんの疑いがあるので、さらに生検が必要」と言われました。
その後、エコー下での生検(大きな音がしたので、バネ式でしょうか?
14-gaige ultrasound guided core biooopsy となっています)とMRI下での生検(2箇所)を受けました。
結果、エコー下の分は良性、MRI下の分は、1箇所は良性だが、もう一箇所は外科生検の必要がある、ということで、最初に見つかったDCISの手術時に一緒に取る、ということになりました。
そして、2週間前、6月中旬に右胸Lumpectomyを受けました。
結局センチネルリンパ節生検は受けていません。
1週間後に電話があり、「二つの生検は良性でした」と連絡がありました。
今週、術後フォローアップで医師に会う予定です。
経過説明が長くて申し訳ありません。
良性と聞いて、ホッとしたのですが、新たな疑問が出てきました。
実は、病院の患者サイトでアカウントを作ると、自分の情報(一部の検査結果も)が見られるのですが、術前は自分で悪い検査結果を見るのが怖く、必要な事は医師が言ってくれるだろうと思い、避けていました。
「他の場所は良性だった」との連絡を受けて、どのような物なのか、と思い、英語を調べながら見ているところです。
エコー下での生検の結果
① benign fibrofatty lesion, consistent fibroadenoma
MRI下での生検の結果(2箇所)
② cores of benign breast tissue with pseudoangiomatous stromal
hyperplasia(PASH)
③ foci of columnar cell change with atypia/ flat epithelial atypia(FEA)
術前の生検でわからなかった2箇所を外科生検したわけですが、乳首の中の物と、上記の③のことだったのでしょうか?(1時や2時の方向とか書いてあるのですが、どの場所なのか、いまいちわかりません)
マージンなしで外科生検しています。
良性だったと言われましたが、そのままでいいのでしょうか?
①、② は良性として置いておいていい物なのでしょうか?
私の年齢では(50歳)線維腺腫ができることはない、と読みました。
エコーは長く受けてはいないので、①は以前からあった物ということでしょうか?
乳首の中の物は、良性とだけ聞いていて、サイトにも結果が書かれていません。
どんな病変が想像できますか?
良性といっても、要注意の病変は何でしょうか?
もう一つ非常に気になる記述がありました。
DCISについてなのですが、MRIの結果に下記に記述がありました。
The 4cm area of non-mass enhancement in the right upper outer breast is consistent with biopsy proven DCIS. Continued surgical and oncologic management are suggested. of note enhancement is more extensive than calcifications which were initially biopsied (no residual calcifications
past-biopsy) and if breast conservasion is desired additional biopsy may be indicated.
これは、DCISの広がりが4cmということでしょうか?
3.5×4.0×3.0cmとなっています。
最初には、3mmほどの病変と聞いており、受けた手術は温存で、しかもほとんど乳房の変形はありません。
取り残しているのでは、と大変不安になって来ました。
全摘の適応だったのでしょうか?
他の場所の病変に気を取られ、見落とすことなどないと思うのですが。。。
今から再度全摘する可能性もありますか?
子供も小さく、命優先ですので、乳房を残す事にこだわりはありません。
また、アメリカの部分切除は日本よりもマージンが少ないと、読みました。
とても2cmずつマージンを取っているようには思いません。
病巣から最低どれぐらい離れていれば安全と考えられますか?
術後ですが(このまま温存で良かったと仮定してですが)、ホルモン療法をする、と聞いています。
日本のガイドラインでは推奨ランクがC1で、田澤先生のお考えでも不要ということですよね。
これは、日米のガイドラインの違いなのでしょうか?
ネットで調べても、ベネフィットあり、となっている記述を見ました。
どちらにするか、悩みそうです。
以上、長々と取り留めもなく書いてしまいましたが、先生のわかる範囲でお答え頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
内容的には「DCISとしてlumpectomyされたもの」と「外科的生検で良性と診断したもの」の2つについてですね。
「エコー下での生検の結果 ① benign fibrofatty lesion, consistent fibroadenoma MRI下での生検の結果(2箇所) ② cores of benign breast tissue with pseudoangiomatous stromalhyperplasia(PASH) ③ foci of columnar cell change with atypia/ flat epithelial atypia(FEA)」「良性だったと言われましたが、そのままでいいのでしょうか?」
⇒①と②は良性であり、問題ありません。
 ③は「外科的生検の適応」となり、実際今回「lumpectomy時に、外科的生検されている」ようなので、この点は問題ないでしょう。
 
「①、② は良性として置いておいていい物なのでしょうか?私の年齢では(50歳)線維腺腫ができることはない、と読みました。エコーは長く受けてはいないので、①は以前からあった物ということでしょうか? 」
⇒その解釈でいいと思います。
 
「乳首の中の物は、良性とだけ聞いていて、サイトにも結果が書かれていません。どんな病変が想像できますか?良性といっても、要注意の病変は何でしょうか?」
⇒乳管内乳頭腫の可能性があります。
 
「DCISについてなのですが、MRIの結果に下記に記述」
⇒この記述では放射線科医は「MRIでは石灰化の範囲よりも広範囲に及ぶ腫瘤非形成性病変としての拡がりがあるので、部分切除をする場合には更なるbiopsyが必要」とあります。
 
「これは、DCISの広がりが4cmということでしょうか?3.5×4.0×3.0cmとなっています。」
⇒勿論、放射線科医は「DCISの拡がりが4cmである可能性を示唆」したわけですが、外科医は(そこで)「他の部分を術前にbiopsyして良性と確認」したから、「lumpectomyを選択した」とも取れます。
 
「全摘の適応だったのでしょうか?」
⇒MRI画像上は「その可能性がある」わけですが、外科医側は(他の部位を事前にbiopsyして良性と診断したことで)「lumectomyの適応」と判断したようです。
 
「今から再度全摘する可能性もありますか?」
⇒アメリカでは日本のように「DCISを浸潤癌とは同等には見ない」傾向があります。
 それで、病変の中心を切除し、「残りはホルモン療法により浸潤癌にならないように治療」という考え方かもしれません。
 
「これは、日米のガイドラインの違いなのでしょうか?ネットで調べても、ベネフィットあり、となっている記述を見ました。どちらにするか、悩みそうです。」
⇒日本では「あくまでもマージンにこだわり、完全切除」として「術後薬物療法は不要」という立場ですが、そこの違いかもしれません。