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リンパ節転移、リンパ管侵襲があった場合のリスク

[管理番号:2309]
性別:女性
年齢:41歳
 
初めまして。
よろしくお願いします。
 
11月に浸潤性乳頭腺管ガンで温存、リンパの廓清手術を受けました。
病理診断の結果は以下の通りです。
大きさ:1センチ(広がり3.5センチ)
悪性度:1
リンパ節転移:3/16
ホルモン受容体:ER:陽性、PgR:陽性
HER2:陰性
広域な脈管侵襲:リンパ管侵襲あり、血管侵襲なし
断端:陰性(近い)
Ki67:5ー10%
サブタイプ:ルミナールB
 
治療はTC療法4クール→放射線30回(乳房照射+胸壁照射+ブースト)→ホルモン療法(タキシモフェン5~10年)
ということになり現在TC療法を半分終えています。
術前診断ではリンパの転移は見られないという事で安心して手術を受けましたが実際には3個もあり、担当医からも予想外の結果だったと言われました。
 
抗がん剤は嫌でしたがリンパ節転移の事実を受け入れ、ここまで治療を受けてきました。
が、最近のニュースで全ガンの10年生存率のグラフを見て急に不安になってきました。
私の場合の5年、10年無再発率、生存率はどのくらいになりますか?
おとなしいタイプのガンだと言われていたのにリンパ節転移、リンパ管侵襲があったというのは予後が悪いということですか?
 
それからリンパ管侵襲という言葉は他の質問者様の質問でもあまり見かけないのですが、これは再発、転移にどのくらい影響を及ぼすのでしょうか?
また、根治は可能でしょうか?
 
先生のご意見を伺い、前向きに考えたいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
pT1b(10mm), pN1, luminal type, NG1
「サブタイプ:ルミナールB」とありますが、これは「PgRが陰性だから」と言う理由でしょうか?
 しかし、「NG1やKi67=5-10%」などからすると、『むしろ、ルミナールA(PgRは染色性の低下によるもの)』と考えるべきと思います。
 
「術前診断ではリンパの転移は見られないという事で安心して手術を受けましたが実際には3個もあり、担当医からも予想外の結果」
⇒こう言う事もあるので(画像上、リンパ節腫大所見が無くても)「センチネルリンパ節生検が必要」なわけです。
 特に珍しい事では無く、それだけ「大きな転移ではなかった」ということです。
 
「私の場合の5年、10年無再発率、生存率はどのくらいになりますか?」
⇒5年は解りませんが…

10年再発率 10年生存率
無治療 23% 90%
ホルモン療法単剤 14% 92%
ホルモン療法+抗がん剤 9% 94%

○実際には質問者はTCもやっているので、今後ホルモン療法を行っていく事を前提とすると 『再発率は9%、10年生存率は94%』となります。
 
「おとなしいタイプのガンだと言われていたのにリンパ節転移、リンパ管侵襲があったというのは予後が悪いということですか?」
⇒全く考え過ぎです。
 それは上記数字を見れば「一目瞭然」です。
 
「それからリンパ管侵襲という言葉は他の質問者様の質問でもあまり見かけないのですが、これは再発、転移にどのくらい影響を及ぼすのでしょうか?」
⇒殆ど影響しません。
 「リンパ管侵襲は、局所因子」です。
 「局所療法=手術+放射線」をしっかりしましょう。ということです。
 
「また、根治は可能でしょうか?」
⇒再発率は「僅か9%」です。
 根治の可能性の方が圧倒的に高い状況です。
 御心配なく。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はとても勇気づけられる回答をありがとうございました。
現在放射線治療中でもうすぐ30回終了します。
また気になることがあり、再度ご相談させていただきます。
 
左の肩甲骨あたりがここ3,4日痛みます。
我慢できないほどではなく安静時には痛みませんが腕を回したり力を加えたり姿勢を変えるとズキズキと痛みます。
湿布で対応していましたが改善せず、骨転移という言葉が頭をよぎるようになりました。
 
術後半年、私の病理結果で今、骨転移などということはありますか?
また、転移するとすればいつ頃が最も危険なのでしょうか?
放射線治療は大きな施設で受けていて終了後は執刀して頂いた病院で
ホルモン治療を受けるようになっています。
その時に肩甲骨の痛みについて
相談した方がいいでしょうか?
 
少しの体の変化にも敏感になってしまいます。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
肩甲骨の痛みは「手術に伴う症状」でしょう。
骨転移ではありません。
 
「術後半年、私の病理結果で今、骨転移などということはありますか?」
⇒ありません。
 
「また、転移するとすればいつ頃が最も危険なのでしょうか?」
⇒余計な心配はしないようにしましょう。
 
「その時に肩甲骨の痛みについて相談した方がいいでしょうか?」
⇒腋窩郭清は「肩甲骨の直ぐ裏の操作」なのです。
 腋窩郭清が影響していると考えるのが普通です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日相談しました肩甲骨の痛みは2週間ほどで自然と治りました。
ありがとうございました。
 
今度は術側の乳房の奥の痛みで相談させていただきます。
3週間ほど前から乳房の奥(骨?)と脇が痛むようになりました。
乳房なのか骨なのかわかりません。
表面ではなく奥の方です。
まさに患部に沿ってといった部分の時もあれば、乳房全体が重だるくと
いった時もあります。
 
安静時には痛みはあるようなないようなといった感じですが、くしゃみ
や咳の刺激、
胸をそらせたりした時の体勢でズキっと痛みます。
気になって執刀して頂いた病院に行き、エコーと血液検査をしていただ
きましたが
異常なし。
ホルモンバランスが悪くなった乳腺症の可能性が高いと言われました。
耐え難い痛みなら鎮痛剤を処方すると言われましたがそこまではありません。
術後もそれほど痛まなかったのにここにきて(術後9ヶ月)急に痛みだすことがあるのでしょうか?
肋骨への骨転移が頭をよぎります。
現在、化学療法閉経の状態ですがそれも関係しますか?
 
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
 
「まさに患部に沿ってといった部分の時もあれば、乳房全体が重だるくといった時もあります。」「ホルモンバランスが悪くなった乳腺症の可能性が高いと言われました」
⇒その通りだと思います。
 
「術後もそれほど痛まなかったのにここにきて(術後9ヶ月)急に痛みだすことがあるのでしょうか?」
⇒「手術に伴う痛みではない」ようです。
 化学療法⇒化学療法閉経による「ホルモン動態の劇的な変化」が及ぼす影響でしょう。
 
「肋骨への骨転移が頭をよぎります。」
⇒症状が異なります。
 ♯どうしても気になるなら「レントゲン(肋骨2方向など)撮影」してもらえばいいですよ。
 
「現在、化学療法閉経の状態ですがそれも関係しますか?」
⇒まさに「核心」だと思います。

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

骨転移について
性別:女性
年齢:45
病名:乳癌
症状:腰痛

田澤先生お久しぶりです。
手術からもうすぐ4年です。

2か月前から腰痛があります。
安静時には痛みを感じず、
ずっと座っていて立ち上がった時、反対にずっと立っていて座った時、腰を前にかがめた時、起床時に感じます。

痛みを感じ始めて10日ほど経った時に整形外科でレントゲンを撮ってもらいましたが異常は無く、デスクワークによる腰への負担、加齢を指摘されました。
乳癌の既往歴は伝えました。

2ヶ月経っても状況は変わらず、乳腺科の定期検診でその旨を伝えたところ、CTかMRI検査を勧められました。
乳癌プラザを支えにここまできて、田澤先生の「レントゲンに写らない骨転移は無い」という言葉が頭にあったので早急の検査は見送ってもらい、このまま経過観察となりました。
血液検査は受け結果待ちです。

大丈夫だろうと信じてはいても怖いです。
やはり早急に検査をした方がいいのでしょうか?骨転移の可能性はありますか?
もし、骨転移などあれば、血液検査である程度わかりますか?
痛みの度合いは2ヶ月変わりません。
日常生活には問題の無いレベルです。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

何か考え方に違和感を感じます。
その違和感の原因は質問者の実際の症状(腰痛)と心配なこと(骨転移)が乖離していることにあります。

〇腰痛について
⇒整形外科で診察してもらい腰痛の原因が「デスクワークによる腰への負担、加齢を指摘されました」で解決しているのです。

〇骨転移の心配について
⇒(腰痛の原因ではないが)骨シンチなどすれば、「たまたま、偶然に」骨転移が発見される可能性は否定できません。

★「やはり早急に検査をした方がいいのでしょうか?」
⇒早急である必要はないですが…

 (腰痛とは無関係に)「骨転移が気になるのであれば」検査(この場合には骨シンチ)するしかありません。

★腰痛の原因として「レントゲンを撮影したうえで、整形外科医の診断を受けているのに」敢えて「骨転移」を想像するのは、その整形外科医に失礼では?