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術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検について

[管理番号:1792]
性別:女性
年齢:44歳
術前化学療法を終え、部分切除手術予定です。
先日、主治医より手術説明があり、リンパ転移は無いと思われるので(化学療法前にセンチネルリンパ節生検はしていません)、センチネルリンパ節生検をして転移が見られたら腋窩リンパ節郭清をすると言われました。
以前どこかで、術前化学療法後にセンチネルリンパ節生検をすると、センチネルリンパ節の転移は抗がん剤により小さくなっていて見つからないが、実は腋窩リンパ節に転移していて取り漏れる場合がある為、術前化学療法をした場合は必ず腋窩リンパ節郭清をすることになる。というようなものを読んだ記憶があるのですが、大丈夫でしょうか?
主治医の前だといつも緊張してしまい、後から上記に気付きました。
入院まで主治医に会う予定がありません。
どうかよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
非常に重要な内容です。
このことを「きちんと理解していないまま」手術をしている乳腺外科医も散見されます。
大事な事は
「センチネルリンパ節生検の適応は、化学療法前の画像診断」によるということです。
○化学療法後に「(化学療法前に転移の疑われた)リンパ節が小さくなった」としても「センチネルリンパ節生検はしてはならない」のです。
ただし、「術前化学療法後にセンチネルリンパ節生検をすると、センチネルリンパ節の転移は抗がん剤により小さくなっていて見つからないが、実は腋窩リンパ節に転移していて取り漏れる場合がある為、術前化学療法をした場合は必ず腋窩リンパ節郭清をすることになる」としてしますと、
○「化学療法前にリンパ節転移が(画像上)無かった」人まで「無駄に郭清」されてしまします。
「化学療法前に(画像上)リンパ節転移の無い方ではセンチネルリンパ節生検を行っても問題無い」というエビデンスが蓄積されてきており「ガイドライン上も容認」されています。
★「術前化学療法をしたら、必ず腋窩郭清」としてしまうと「もともとリンパ節転移はないけど、腫瘍を小さくしたくて術前化学療法をした患者さん」に著しい不利益となり、「そのような患者さんには術前化学療法が勧められない事態」となってしまいます。
◎質問者が(化学療法後の評価ではなく)「術前化学療法前の(画像)評価で、リンパ節転移無し」とされていれば、是非「センチネルリンパ節生検」してもらってください。