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エコーで所見なしの石灰化

[管理番号:3820]
性別:女性
年齢:48歳
はじめまして。
総合病院の健康センターで人間ドックを受け、マンモグラフィーとエコーで精密検査となってから、こちらでいろいろ勉強させていただいています。
私の検索技術が甘く、以前にも同様の質問があることと思いますが、回答のほどよろしくお願いいたします。
出産歴なし、親族に乳癌歴なし。
5年以上健診を受けていませんでした(マンモグラフィーは13年ぶり)。
エコーで腫瘤(B寄りのE領域)と嚢胞(場所不明)、マンモで石灰化(C領域)、が見つかりました、全て右側です。
精密検査依頼書によると
腫瘤は「C3-1、5.0×7.3×3.4mm」
石灰化は「C3-2、不均一高濃度、不明瞭区域性」
図にポツポツと点が打ってあり、最低でも5~6こ?はあるようです。
嚢胞はあることしか記載されていません(健診直後に複数あるとは聞きました)。
乳腺外科で再度エコー(検査技師により左右、担当医により右)を受け、
「腫瘤は画像では良悪判断出来ない、細胞診は良性とでても安心できないから組織診をしましょう。
石灰化はエコーで所見がないので増えてくるかこないかなど経過観察(次がいつかは次回聞く予定です)しましょう」
となりました。
エコーガイド下でマンモトーム生検を受け、現在結果待ちです(最初の人間ドックから1.5ヵ月経ちました)。
腫瘤はもうすぐ確定診断が出るので、気になっているのは石灰化の方です。
質問は以下の点です。
[腫瘤が良性の場合]
①石灰化はカテゴリー3だと思うのですが、「エコー所見がないから」経過観察というのが気になります。
長い間健診を受けていないので、いつからありどう増えたか増えていないかも分からず、その点も経過観察になったのかなとも思いますが…
数や大きさは次回聞いてこようと思っていますが、今のところの情報で、私の場合のカテゴリー3はステレオガイド下マンモトーム生検すべきと思われますか?
6ヵ月の経過観察であれば妥当と思われますか?
[腫瘤が悪性の場合]
②再発率に少しでも差があるなら全摘で構わないと思っています。
全摘した場合、摘出した後で石灰化部分が何なのか調べることはできますか?
がんにもタイプがあるようなので、治療方針が変わるかもと思うと調べて欲しいと思っています。
③ステレオガイド下マンモトーム生検はがんセンターで予約を取る(治療は今の病院で)必要があり、さらに時間がかかることが気になります。
それでも全摘前に石灰化を調べておくべきでしょうか?
④部分摘出になった場合、石灰化に関してはどうすべきでしょうか?
[その他]
⑤ステレオガイド下マンモトーム生検は石灰化の数が少ないや小さいなどで検査の精度が落ちることはありますか?
5~6こ?以上の区域性の石灰化であれば、確定診断できるものでしょうか?
⑥腫瘤の結果を聞きに行く際、聞いておくべき重要なことは何かありますか?
人間ドックの2ヵ月前に、他の個人医院で受けたエコーで異常なしと言われていました。
なので腫瘤ががんだったとしても早期発見なのではないかと期待しています。
ずっと健診を怠っていたので、今回のことは分かって良かったと受けとめ、今後の選択を失敗しないようにしたいと考えています。
お忙しいなか読んでいただき、ありがとうございました。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
大変的確に理解されています。
それに「極めて正しい」ところに着目しています。
今回の病院での「腫瘤は画像では良悪判断出来ない、細胞診は良性とでても安心できないから組織診をしましょう」という点は非常に高く評価できます。
(このQandAを読めば、すぐに気付きますが)「7mmくらいだと、すぐに経過観察したがる」医師が多いのに辟易していますが、この医師の姿勢はとても正しい。
ただ、「C3-2、不均一高濃度、不明瞭区域性」をステレオガイド下マンモトームしないのは「せっかくの評価を大無しにする行為」と言えます。
その背景には(質問者も気づいている様ですが)「その施設にステレオガイド下マンモトームの装置がない」ことに大きく引っ張られていると考えられます。(やはり、紹介するとなると積極性が低下するものです)
これを見ても解るように「石灰化の診療はステレオガイド下マンモトーム(ST-MMT)ができない施設ではするべきではない(どうしても経過観察に傾いてしまうため)」ということです。
「①今のところの情報で、私の場合のカテゴリー3はステレオガイド下マンモトーム生検すべきと思われますか?」
⇒「区域性配列」であれば「C3-2」というのは実質「カテゴリー4」と考えるべきです。
 ST-MMTの有る施設であれば、「迷わずST-MMTの適応」となります。
「6ヵ月の経過観察であれば妥当と思われますか?」
⇒上記コメント通りです。
 早期発見をかんがえるのであれば、「決して経過観察すべきではない」のです。
 ♯余談ですが、経過観察をするのであれば「6ヵ月」というのは正しい。時々「3カ月後にマンモ」などとする医師がいますが、それに比べればまだ「まともな感覚」と言えます。
  石灰化を本気で経過観察するのであれば、「3カ月等全く無意味(例え癌だとしても変化する事などないから)」なのです。
  その意味では「6ヵ月後経過観察」とした担当医は「石灰化が意味するところを(ある意味)正しく理解している」とも言えます。
「②全摘した場合、摘出した後で石灰化部分が何なのか調べることはできますか?」
⇒担当医に頼めば「手術標本で、コメントをつければ」可能です。
 全く「コメントなし」だと、「石灰化病変など、もしも癌だとしてもスル―されてしまう可能性」さえあります。
 ♯これが「部分切除標本」だと細かく調べてくれますが、「全摘標本だと、どうしても大雑把になる」のです。
「それでも全摘前に石灰化を調べておくべきでしょうか?」
⇒全摘する場合には不要です。
「④部分摘出になった場合、石灰化に関してはどうすべきでしょうか?」
⇒切除範囲に「石灰化を入れない(部位的に入らない)」のであれば、「手術前に石灰化が癌であるのかを調べるのは必須」となります。
「⑤ステレオガイド下マンモトーム生検は石灰化の数が少ないや小さいなどで検査の精度が落ちることはありますか?」
⇒余程微妙な所見ならば、その可能性がありますが…
 そもそもST-MMTの精度は「石灰化の形態」よりも「石灰化の位置」や「乳房の厚さ」にあります。
 ♯「撮り難い部位や薄い乳房」の際に、「不可能を可能にする」場合には「技術で差」が出ます。
「5~6こ?以上の区域性の石灰化であれば、確定診断できるものでしょうか?」
⇒石灰化の条件としては「何ら問題ありません」
「⑥腫瘤の結果を聞きに行く際、聞いておくべき重要なことは何かありますか?」
⇒もしも良性と出た場合ですが…
 ずばり「それは100%確定診断としていいのか?」ということです。