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再発後の治療方針について

[管理番号:6367]
性別:女性
年齢:46歳
 
再発後の治療方針について先生のお考えをいただけたら幸いです(長文で申し訳ございません)。
アメリカ在住で、こちらで治療を受けています。
 
病歴:
1999 日本にて (27歳)
Diagnosis: Invasive ductal carcinoma of right breast, axillary lymph nodes
(+)
Treatment: Modified radical mastectomy + 5.5 cycles of CMF therapy Biopsy results: ER(-), PR(+), Her2(-)
 
その後、再発なし
 
12/13/2012 米国にて (40歳)
Diagnosis: Invasive ductal carcinoma of left breast (de novo)
Treatment: Simple Mastectomy (removed lymph Node, deep Axill x2 ?
Negative)
+ 4 cycles of TC therapy
Biopsy results: ER(+), PR(+), Her2(-)
PATHOLOGIC DIAGNOSIS:??LEFT MASTECTOMY AND SENTINEL NODE BIOPSIES (12-54962; 12/13/2012):??INVASIVE DUCTAL CARCINOMA, poorly differentiated (modified Bloom-Richardson?grade III/III; tubules=3; nuclei=3; mitoses=3), 1.2 cm, associated with core?needle biopsy site changes.??Lymphovascular invasion is present (multiple foci in 3 blocks adjacent to the?invasive carcinoma).??DUCTAL CARCINOMA IN SITU, cribriform and micropapillary types (high nuclear?grade), with necrosis, is only seen within the invasive carcinoma in 17 slides?reviewed (EIC negative).??Atypical lobular hyperplasia is present.?The deep margin is free
of carcinoma.?The skin and nipple are free of carcinoma.?By report, two sentinel nodes are free of carcinoma.?Note: By report, an excision of the right mastectomy scar in the same?procedure did not show carcinoma.??
This carcinoma would be classified as AJCC (7th edition) T1c N0 (sn).
1サイクル目のケモ後に生理が止まる(その後、現在まで生理はなし)。
 
その後、~4年間半断続的にタモキシフェンを服用。
 
10/ 2017
不正出血。
タモキシフェンを自主的に服用中止。
 
12/20/2017
Hysteroscopy
Minimally Invasive GYN Surgery to remove polyps and fibroids.
Endometrial biopsy results: normal/benign polyps
 
3/2018 米国にて (46歳)
左側鎖骨上リンパ節に小さなしこり。
エコーと摘出生検で、左側のがんが再発したとの診断を受ける。
Lab:
CA 27.29 22.1 U/mL (正常範囲内)
LACTIC ACID DEHYDROGENASE 235 U/L (正常範囲内)
Biopsy Results: Breast cancer relapse, ER(+), PR(-), Her2(-)
 
4/4/2018
Bone scan ? Normal
CT Scan ? Multiple abnormalities in the left and right chest, left axillary,
and left and right supraclavicular lymph nodes EXEMESTANE 25 mg/day 服用開始。
 
4/23/2018
PET-CT Scan
結果 (レポート):
 
以上のような流れで、現在に至っています。
しこり発見時は痛みは全くなかったのですが、生検二日後に左胸と脇の下に突っ張り感、のちに痛みも出始めました。
 
症状は日により良くなったり悪くなったりしていますが、総体的に悪くなってきていて、痛みやつっぱり感が右胸、両鎖骨、左頸部に拡がっています。
放射線科の先生には、病巣が広範囲すぎるとのことで、全身療法のみの治療を勧められています。
先日、担当の腫瘍内科医(主治医)と話したのですが、今後の治療は:
EXEMESTANE 25 mg/day 服用継続*
PALBOCICLIB 125 mg/day 服用開始
*exemestane は保険の関係上、PALBOCICLIB 服用開始時点でletrozoleに変更する。
 
このレジメンで3ヶ月様子を見ましょうか、という方向になっています。
腫瘍内科医は放射線科の医師とは頸部リンパ節への転移について少し意見が合わないようで、首のPETは本当にメタなのかを調べるために、頸部リンパ節生検(US-guided)を勧めています。
また、この時点で放射線治療が本当にできないものなのか、セカンドオピニオンを他の病院からもらうのもオプションとしてくれています。
 
質問:
1:このひと月の間に(生検後)急激に痛みが出て、拡がっているように感じるのですが、がん細胞の増殖のスピードが速いということでしょうか。
生検ががん細胞を刺激してしまったのでしょうか。
転移のスピードも比例することが多いのでしょうか。
 
腫瘍内科医と放射線科医の意見の食い違いや、多数の検査、検査の予約の取りにくさなどで、治療の迅速さが欠けている(と感じる)中で、遠隔転移が拡がっているのではないかと思うと心配でなりません。
 
2:PETの結果より頸部リンパ節への転移が疑われますが、先生のご意見をお聞かせください。
この場合、本当に放射線治療はできないのでしょうか。
外科的治療は不可能なのでしょうか。
 
3:腫瘍内科医が勧めている頸部リンパ節生検は必要なものなのでしょうか。
私自身は正直なところ必要ないと思っていますが、この結果が治療方針を変える!という場合であれば、私も納得できます。
先生はどのようにお考えでしょうか。
(生検をする場合、約2週間Palbociclibの開始が遅れてしまいます。)
 
4:生検の詳細、画像もない中でのアドバイスは難しいかとは思いますが、先生ならばどのような治療が一番望ましいと思われるか、ご意見をお聞かせいただけると幸いです。
 
5: 日本では受けられるのにアメリカでは受けられない治療、受けるのが困難な治療、日本であればすぐにできる治療などがあれば、お教えください。
治療のために日本に帰国することも考えています。
 
特に寛解目的の放射線治療が受けられる場合、すぐに帰国も可能です。
詳細、画像も後日メールにて送ることができますので、お知らせください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
全体の経過をみてのポイントは
①再発まで5年を要している(決して、増殖が早いわけではない)
 
②(術後5年内服していた)タモキシフェンを中止したタイミングで再発が起こっている(タモキシフェンが効いていたと考えられる)
 
③果たして質問者が閉経と言えるのか?(化学療法閉経、しかも2017年10月に
不正出血となるので閉経前と考えるべきでは? 閉経後だと証明するためには血中エストラジオール測定すべき
 
④(3と関連しますが)(閉経後の適応である)エキセメスタンが正しいのか?
 
「1:このひと月の間に(生検後)急激に痛みが出て、拡がっているように感じるのですが、がん細胞の増殖のスピードが速いということでしょうか。」
⇒上記①から考えて…
 急速な増殖ではないでしょう。
 ホルモン療法再開による影響でしょう。
 
「PETの結果より頸部リンパ節への転移が疑われますが、先生のご意見をお聞かせください。」
「腫瘍内科医が勧めている頸部リンパ節生検は必要なものなのでしょうか。」

⇒PETで取り込みがあるのであれば、「転移を疑うべき」ですが…
 (頚部リンパ節生検は比較的、容易なので)画像所見で「疑わしい」のであれば、すべきでしょう。
 
「この場合、本当に放射線治療はできないのでしょうか。外科的治療は不可能なのでしょうか。」
⇒もしも「広いから」という理由で放射線治療ができないのであれば、「外科的治療(手術)」は、もっと困難となります。
 
「先生ならばどのような治療が一番望ましいと思われるか、ご意見」
⇒まずはホルモン療法再開です。(上記②の理由により)
 (上記③でコメントしたように)ホルモン療法の選択は慎重にしましょう。
 
「日本では受けられるのにアメリカでは受けられない治療、受けるのが困難な治療、日本であればすぐにできる治療などがあれば、お教えください。」
⇒現時点では必要ないように思いますが…
 Bevacizumabがあります。
 

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

再発後の治療方針について
性別:女性
年齢:46歳
病名:Invasive ductal carcinoma
症状:再発

前回:[管理番号:6367] 

田澤先生、先日はお忙しい中、迅速なご回答と貴重なご助言をありがとうございました。
その後の経過と今後の治療についての質問です。

前回、田澤先生にアドバイスをいただいた後、それを参考に腫瘍内科医に以下のことをお願いしました。

1)「タモキシフェンを中止したタイミングで再発が起こっている」ので、タモキシフェンはまだ効果があるのでなないか。
再度閉経状態かどうかを確認し、どの薬剤を使ってホルモン療法をするか検討したい。

2)PETで転移が疑われた頚部リンパ節生検をお願いしたい。

がん発覚前、ケモ後にFSHを測定しているので、今回もFSH+追加でエストラジオールを測定してもらいました。

2012年(癌発覚前)FSH: 6.74 mIU/mL
2012年(癌発覚前)FSH: 13.52 mIU/mL
2013年(ケモ後)FSH: 131.20 mIU/mL
2018年5月 FSH: 85.62 mIU/mL
2018年7月 FSH: 74.74 mIU/mL、エストラジオール: 20 pg/mLということで、閉経は確実であろうとの判断でした。
よって、このままアロマターゼ阻害剤を継続することになりました。

次に、田澤先生に「すべきでしょう」と背中を押されたので(ありがとうございます)、頸部リンパ節の細胞診を行いました。
結果は以下の通りです。

?
CLINICAL INDICATION: Cervical adenopathy.
?
FINDINGS: No enlarged lymph nodes are identified in the neck. The bilateral jugulodigastric nodes described on the prior PET-CT are all subcentimeter and demonstrate normal fatty hila and normal reniform shape. The largest/most round cervical lymph node is at the right level II station, and is also subcentimeter. This was selected for fine needle aspiration sampling. No additional cervical lymph nodes were felt to be amenable to fine-needle aspiration sampling given their small size, including in the left neck.

INTERPRETATION:?NO MALIGNANT CELLS IDENTIFIED.??DIAGNOSIS:?- Polymorphous predominantly small mature lymphocytes and germinal centers with tingible body macrophages, consistent with benign lymph node.

注)この頚部リンパ節の細胞診を行う四日前より、パルボシクリブを開始したので、その影響/効果があったのかもしれません。

悪性細胞が確認されなかったのは喜ばしいことなのですが、腫瘍内科医によると、結果がポジティブならメタ確実と診断がつくが、ネガティブな結果はあまり意味がなく、頚部リンパ節への転移の疑いはそのまま残ると言われました。

現在のところ、パルボシクリブ(+アロマターゼ阻害剤)の4サイクル目の最中です(2サイクル目から100に減量)。

そして、3サイクル目の時(DAY16)に再度PET-CTを行いました。
結果は以下の通りです。

FINDINGS: HEAD/NECK: No abnormal foci of FDG avidity.

CHEST: Previously visualized FDG avid left supraclavicular lymph nodes have decreased in size and FDG avidity. There are few remaining small lymph nodes measuring up to 5 mm in short axis with low level FDG avidity (PET image 98).
Left axillary lymph nodes have decreased in size and FDG avidity. The largest measures 1.0 x 0.8 cm with an SUV max of 2.6 (PET image 105). The right internal mammary lymph node also demonstrates decreased FDG avidity compared to prior (PET image 118). No other abnormal foci of FDG avidity within the chest.
Patient is status post bilateral retropectoral breast implants, which are unremarkable in appearance.

IMPRESSION: 1. Overall, lymphadenopathy has significantly decreased in size and FDG avidity compared to 23 April 2018. Persistent small left supraclavicular, left axillary, and right internal mammary lymph nodes with low level FDG avidity, decreased compared to prior. No new foci of FDG avidity. 2.
Fibroid
uterus.

ということで、全体的に腫瘍は小さくなっていて、頚部リンパ節には異常はなく、アロマターゼ阻害剤+パルボシクリブが今のところ功を成しているようです。

さて、質問なのですが、
1)PETの結果から、 左腋窩、左鎖骨上下、胸骨傍に転移が限られ、腫瘍は最大1cmとなり、私としては薬が効いているうちに手術で取れるところはさっさと取ってしまい、その後放射線治療を行いたいと思っているのですが、田澤先生は現時点で根治を目指した手術/放射線治療は可能とお考えでしょうか。

2)手術/放射線治療が可能な場合、どの部位を手術、もしくは放射線で治療
を行えば良いでしょうか。
放射線治療はどの範囲まで行えば良いでしょうか。

転移が疑われた頚部にも照射は必要でしょうか。

3)こちらで腫瘍内科医からサードオピニオンまでもらいましたが、手術は論
外、放射線も現時点では無理ということでした。

転移癌の場合、こちらでは手術をしてくれるところを見つけるのは非常に難しそうです。
放射線治療が可能になる条件は、パルボを休薬して6週間が経っていること、腫瘍が1cmを超えていないことということで、パルボを6サイクルやり腫瘍をできるだけ小さくしてから6週間の休薬を経て放射線治療をする、というのが今の時点でのベストオプションになっています。

田澤先生はこのような全身療法+放射線治療でも根治は可能だとお考えでしょうか。
放射線をやる場合、田澤先生ならどのくらいのパルボ休薬期間をお取りになるのでしょうか。

4)今の状況で、田澤先生ならば今後どのような治療をするのがベストだとお考えでしょうか。
手術をする方が良いとお考えの場合、田澤先生にお願いすることは可能でしょうか。

田澤先生のご意見をお聞かせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「1)PETの結果から、 左腋窩、左鎖骨上下、胸骨傍に転移が限られ現時点で根治を目指した手術/放射線治療は可能とお考えでしょうか。」
「2)手術/放射線治療が可能な場合、どの部位を手術、もしくは放射線で治療を行えば良いでしょうか。」

→腋窩+鎖骨下は手術、鎖骨上と胸骨傍は放射線となります。

「放射線治療はどの範囲まで行えば良いでしょうか。」
「転移が疑われた頚部にも照射は必要でしょうか。」

→放射線科医の判断次第です。
 トモセラピーなら、(照射野も絞れるので)予防照射として頸部まで広げてもいいように思います。

「全身療法+放射線治療でも根治は可能だとお考えでしょうか。」
→選択肢の一つではあるでしょう。

「放射線をやる場合、田澤先生ならどのくらいのパルボ休薬期間をお取りになるのでしょうか。」
→白血球次第ですが…

 殆ど要りません。

「4)今の状況で、田澤先生ならば今後どのような治療をするのがベストだとお考えでしょうか。」
→(1)のとおりです。

「手術をする方が良いとお考えの場合、田澤先生にお願いすることは可能でしょうか。」
→画像を見てみないと正確には解りませんが…

 「腋窩+鎖骨下郭清」は可能だと思います。

 
 


 

質問者様から 【結果3 再発後の治療方針について】

性別:女性
年齢:46歳
病名:
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

田澤先生、先般は画像を見てご助言いただきどうもありがとうございました。

エコー検査の上で手術の可否が出るということだったので、経済的なことも考え、手術ができるかどうか100%定かではない中での帰国を断念しました。

現地でもいくつかオピニオンをもらいましたが、唯一局所療法に積極的であった病院の放射線科医に再度相談をし、現在効果が見られるアロマターゼ阻害剤+パルボシクリブを半年続けた後画像を撮り、今後のことを決めましょうということになりました。

パルボ6サイクル後、再びPET-CTを行い、鎖骨上は消えているが鎖骨下、腋窩、胸骨傍は変化なし、もしくわ縮小傾向。CTで肺に新たな5ミリの影が見えるので要経過観察とのことでした。

腫瘍内科医、放射線科医と結果について話し合いましたが、肺の方はあまり心配していないようで、残っている腫瘍も放射線のみでなんとかなるレベルになったということでした。

患者本人の手術の希望も踏まえて、チームカンファレンスで外科医も含めて話し合い、まずは手術で腋窩(まだ1センチ弱ある)を取り、その後放射線をすることに決まりました!

長い道のりでしたが、ようやくここまで辿り着けました。再来週に外科医と話し合いますが、田澤先生がおっしゃっていたように、腋窩のみではなく鎖骨下も手術で取ることができないかを相談してみます。

今後も引き続き田澤先生に質問することがあると思いますが、その際は何卒よろしくお願いいたします。

<Q&A結果>