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再発 転移の不安

[管理番号:2905]
性別:女性
年齢:53歳
本年1月に左乳がんの全摘出を行い、同時再建でエキスパンダーが入っています。
浸潤性微小乳頭がんでした。
再発が心配で精神的に不安定な状態になっています。
病理結果    
NG2  HG2
f(+)脈管侵襲なし  
ER8  PgR7 でホルモン陽性
HER2(-) リンパ節転移なし
pT1b pN0 でした。
(コメント)
本検体内にはcomedo necrosisを伴う乳管内病変の       
みが採取されており、浸潤成分は明らかではない。
needle scarを認め、生検に伴って浸潤がん成分が       
消失消失した可能性を考える。
生検検体中の乳管成分と本
検体中の乳管成分は組織像が類似している。
生検検体
と合わせて浸潤性微小乳頭がんと診断した。
生検検体
中に浸潤がん成分が10mm程度みられることからpT1bとした。
以上のことからホルモン療法で服薬中です。
 ホルモン剤の影響か、このごろこの組織型であることがとても気になり再発・転移するかもしれないという不安に襲われています。
ステージ1の中の再発する確率の約10%は、私のような組織型のものなのだろうと考えてしまいますが、先生いかがでしょうか?
 予後は、組織型で考えるものではないという先生のコメントも見させ
ていただいていますが、私の10年生存率も再発率もpT1bN0だけで考えてい
えていてよいのでしょうか。
 10年生存率、再発率も教えていただけると助かります。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ご本人も承知している様に…
私は組織型による「予後云々」は全く問題にしていません。(それは経験によるものが大きい)
時々ある「硬癌」だから恐ろしいとか、「特殊型(器質産生癌とか微小乳頭癌など」
だからといのに対し、QandAで常に以下のように回答していることをご存じでしょう。
○(胃癌でいう硬癌:スキルス胃癌ならばともかく)乳癌で「硬癌をおそれている」
乳腺外科医は皆無でしょう。(万が一居るとしたら臨床経験不足ということです)
○特殊型については「数が圧倒的に少ない」ので大規模臨床試験は不可能であり、「少数例を集めて(無理やり)差をつけるような報告をしている医師の論文」をネットで皆さんが遭遇するわけです。
pT1b, pN0, luminal, NG2
この状況で「再発を悩む」のは如何なものか?
♯時が解決してくれるように切に望みます。
「ステージ1の中の再発する確率の約10%は、私のような組織型のものなのだろうと考えてしまいますが、先生いかがでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
 おそらく質問者は、「私の回答を予想していた」と思いますが…
 
「予後は、組織型で考えるものではないという先生のコメントも見させていただいていますが、私の10年生存率も再発率もpT1bN0だけで考えていてよいのでしょうか」
⇒その通りです。
 
「10年生存率、再発率も教えていただけると助かります。」
⇒ 10年再発率は9%です。
 10年生存率は93%となります。
 ♯ただし、(5%は他病死なので、)乳癌再発による死亡は僅か2%となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回には、不安でおしつぶされそうになったとき田澤先生に支えていただき感謝しています。
この乳がんプラザで勉強させていただいております。
1年を過ぎ少しずつ落ち着いて生活できるようになってきたのですが、
先月くらいから不安なことがあり少しでも痛みを感じると過呼吸気味になります。
長時間立っていたり、歩く時間が長かったりすると足の付け根や膝、足首などが神経痛のように重くだるくなります。
両足のこともありますが主主に左足です。
左太もものあたりも筋肉痛のような軽い痛みを感じ、骨転移の不安が大きくなり近くの整形外科で股関節とひざ、大腿骨のレントゲンをとりましたが異常ありませんでした。
それでも軽い痛みは続き、乳腺の主治医に聞くと「なんでもかんでも転移に結び付けないで」と
教えていただき、勧めはしないけどどうしても望むなら骨シンチやってもいいということだったので、次回の診察まで様子をみることにしました。
質問ですが
① 主治医のおっしゃる通り経過観察でよいでしょうか?
② レントゲンでは、まだ見えないけれど転移していることはあるでしょうか?
私の場合痛みがあってもレントゲンに異常がないということは転移ではないと考えてよいのでしょうか?
③ ステージ1、ルミナールAでの術後1年3か月の骨転移と仮定すると術前から転移していたと考えるべきでしょうか?
転移を考えると過呼吸になってしまう状態です。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「足の付け根や膝、足首などが神経痛のように重くだるく」
⇒ホルモン療法による副作用もしくは、閉経に伴う「エストロゲン欠乏症状」かもしれません。
 転移の症状ではないようです。
「① 主治医のおっしゃる通り経過観察でよいでしょうか?」
⇒その通りです。
 上記コメント参照
「② レントゲンでは、まだ見えないけれど転移していることはあるでしょうか?」
⇒ありません。
「私の場合痛みがあってもレントゲンに異常がないということは転移ではないと考えてよいのでしょうか?」
⇒その通りです。
「③ ステージ1、ルミナールAでの術後1年3か月の骨転移と仮定すると術前から転移していたと考えるべきでしょうか?」
⇒「仮定」する必要が、そもそもありません。