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再発について。

[管理番号:4416]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生様の御活躍をインターネットで拝見させていただいております。
一昨年秋頃、葉状腫瘍を患い、数少ない稀な病変なので、経験値の高い先生をずっと探しておりました。
インターネットからの質問で失礼致します。
平成27年10月に左胸の2.5センチの葉状腫瘍を付近にあった
線維腺腫と合わせて2個切除する手術を受けました。
摘出標本の結果は1つは葉状腫瘍の境界悪性型でした。
術後、左胸にしこりができて(カラードップラーエコーでサイズ6×4×4のカテゴリー3の診断で経過観察)、術後半年後には右胸にしこりができて(4×4×3のカテゴリー3、周辺に複数の嚢胞があるとのエコー診断でしたが経過観察)。
そして1年と3ヶ月経過した現在、右胸に8×6×6の腫瘤ができて病変内に血流信号を認めカテゴリー4のエコー診断の為、先日MRIとコア針生検を受けました。
MRIの結果は検査当日に分かり、主治医にびまん性に広域に広がる乳がんの可能性もある、腋窩リンパ節転移もありうるかもと言われました。
しかし、
数日後コア針生検の結果が出てからの主治医の話では、針生検の結果が
はっきりと分からなかったがとりあえず悪性の所見はなかった。
すごく気になるようなら摘出してもいいけど、とりあえず3ヶ月様子を見ましょう、と言われました。
MRI画像診断のほうはどうなったのかを確認しますと、乳腺が多い為あれはあてにならないと言われ、びまん性乳がんと腋窩リンパ節転移の話はどこかへと行ってしまいました。
学生の頃からもともと乳腺症で20代ですでに人間ドックのマンモ検査で石灰化がみられていたので→最近生理付近で両脇の下と両腕が痛むのですごく心配です。
田澤先生にお知恵を拝借したいのですが、術後早いうちにこのようなしこり(腫瘤や嚢胞)が出てくるのは、一番最初の手術の葉状腫瘍の切除マージンが浅かった可能性もあるのでしょうか。
それと、どういうしこりを「再発」と一般的に呼ぶのでしょうか。
葉状腫瘍とまだ判定がつかないしこり腫瘤も「再発」と呼ぶのでしょうか。
また、術後1年間でしこりがいくつも出てきて大丈夫なのでしょうか。
それと境界型悪性なので、どういった時に臓器や骨に遠隔転移するのかを毎日恐れております。
長々と失礼してすみません。
お手数おかけいたしますが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「右胸に8×6×6の腫瘤ができて病変内に血流信号を認めカテゴリー4のエコー診断」
「乳がんの可能性もある、腋窩リンパ節転移もありうるかも」
「針生検の結果がはっきりと分からなかったがとりあえず悪性の所見はなかった。」

⇒これは、全く良くありません。
 組織診断は「100%であるべき」です。
 
 このような所見で「あいまいな診断のまま、無駄な3カ月」など「もってのほか」です。
 きちんと決着をつけましょう。
「すごく気になるようなら摘出してもいいけど」
⇒「気になるような言い方」をしたのは「担当医自身」です。
 
 「癌かもしれない」などと言っておきながら「気にするな」という方が無理な話です。
  ○「8mmの病変の確定診断」は(バネ式針生検にしろ、マンモトーム生検にしろ)針で行うべきです。
   それができないようでは患者さんが可哀想です。
「術後早いうちにこのようなしこり(腫瘤や嚢胞)が出てくるのは、一番最初の手術の葉状腫瘍の切除マージンが浅かった可能性もあるのでしょうか。」
⇒葉状腫瘍が「もとあった部位」ですか?
 別の部位であれば、「葉状腫瘍の再発ではない」と思います。
「それと、どういうしこりを「再発」と一般的に呼ぶのでしょうか。」
⇒葉状腫瘍の場合は(癌とは異なり)「元あった傷の近傍」を「再発」と呼びます。
 ♯癌の場合には、「乳房内再発」という言葉があるように「同じ側の乳房のどこに出てきても」再発と言います。(対側は無関係ですが)
「葉状腫瘍とまだ判定がつかないしこり腫瘤も「再発」と呼ぶのでしょうか。」
⇒呼びません。
「また、術後1年間でしこりがいくつも出てきて大丈夫なのでしょうか。」
⇒他の部位はともかく…
 「右胸の8x6x6mm」のしこりは「カテゴリー4」なわけだから、「100%の診断」をつけるべきです。
 マンモトームできちんと「ど真ん中にあてる」ことで「間違いなく100%の確定診断」をつけることができます。
「境界型悪性なので、どういった時に臓器や骨に遠隔転移するのかを毎日恐れており」
⇒「2.5cmの境界悪性葉状腫瘍」が(遠隔)転移をおこすことはありません。
 むしろ問題なのは、(マージンをどの程度取ったのか不明ですが)「局所再発」です。
 ○境界悪性葉状腫瘍は、(局所)「再発」を繰り返す事で「グレードアップ」するリスクがあります。そうなると遠隔転移にも注意が必要となります。