乳がんプラザ|乳がんの手術は東京の江戸川病院乳腺外科|ブログ


[管理番号:518]
性別:女性
年齢:50歳

ドイツに在住しています。

こちらでは50歳になるとマンモグラフィー検査の案内が届き保険でカバーされるため、4月中旬検査に初めていってきました。

右に集族生の石灰化ありということでステレオガイド下針生検(バネ式)を受けました。

結果は少なくともAEDT(atypischen Epithelproliferation vom duktalen Typ)でDCISの疑いも強いということで、摘出手術が6月15日に予定されています。(細胞異型度,高、クラス3B)初めはショックもありましたがこちらのサイトで勉強させて頂き、早期であるので完治するだろうとの予想をつけることができ、心穏やかに手術を受けようと思っていた矢先、病院より連絡があり、術前のマンモグラフィー写真の再アナリーゼで左胸に1箇所、右の別の場所にも気になる石灰化があるということで、再び先日針生検(ステレオガイド下吸引式)を受けました。(ちなみに初めのバネ式生検は別の検査機関で行っています)今結果待ちです。
 

前置きが長くなりましたが質問は、3つあります。

もし全て悪性であった場合、左は部分摘出となると思いますが、右は位置が離れているため全摘出になる可能性があるのでしょうか?
石灰化の位置は初め見つかったものは右胸おおよそ11時の位置、今回のものは乳頭に接した右横脇側にあります。

2つ目の質問ですが私の場合センチネル生検は必要ないと言われましたがリンパ転移はありえないのでしょうか?職業柄(音楽家)リンパを触れずにすむのは助かるのですが、一抹の不安もあります。

最後の質問ですが、先日の針生検から3日がたちますが、左胸に大きく内出血があり見るのもつらい状態になっています。
また右はおさえるとかなり熱感があるのですがこれは普通なのでしょうか?
初めの針生検の時はこのようなことはありませんでした。
また、これほど内出血して、もし悪性であった場合癌細胞が広がる心配はないのでしょうか。

以上非常に長くなってしまい申し訳ありませんが先生のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。
 

追記  海外在住で言葉の問題はもうほとんどありませんが、このような未知の分野になりますとやはり難しく、先生のサイトで一生懸命勉強し予備知識を得ることが出来ました。
おかげで主治医の言っていることがほぼ問題なく理解でき助かっております。
私のように海外に住み日本語で診療を受けることができない方々を代表して心から御礼申し上げます。
無償でこのようなお働きさぞ大変なこととは思いますがどうぞこれからも続けてくださいますようにお願いします。

 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 海外在住の方に「お役に立てている」事は、大変光栄に思います。
 ドイツ語の「AEDT」はADH相当と思われます。

回答

「もし全て悪性であった場合、左は部分摘出となると思いますが、右は位置が離れているため全摘出になる可能性があるのでしょうか?」
⇒少し微妙な問題です。

 記載内容からすると、右の2つの病変は「同一乳管系では無い」ように思います。
 その意味では「同一乳管系以外の多発は原則、全摘出が適応」なのですが、以下の2つの理由で「乳房切除」は躊躇します。

①11時の病変が「そもそもADHどまり」の診断であること(摘出して、これ以上の病変が見つからなければ『乳癌ではない』ことになります。

②2つの病変が「十分小さい(少なくとも乳頭傍の病変は小さいと思われます」とすれば、両方の病変を十分に含む「乳房温存が可能」である。
 

◎私であれば、上記理由で「全切除は勧めない」両病変を十分に含む「温存術を勧める」でしょう。
 ただ、(乳頭傍の病変が癌確定の前提で)ご本人が強く希望された場合は「当然、全摘出」を行います。
 ♯「乳房温存を勧める」のは「病状と治療のバランスを考えての上」であり、『純粋に治療に絞って言えば、全摘出が最も安全』である事もまた事実なのです。
 

「センチネル生検は必要ないと言われましたがリンパ転移はありえないのでしょうか?」
⇒(他の病変が癌では無かった場合)ADHではセンチネルリンパ節生検は不要(してはいけない)と思います。

 (センチネルリンパ節生検と言えども)腋窩の操作をする事は、「癌の確定診断無しでは、ありえない」と理解してください。

◎それでは「他の病変でDCISとでた場合」はどうかというと、
⇒センチネルリンパ節生検の適応はあります。(少なくとも日本ではセンチネルリンパ節生検が推奨されます)

 但し「石灰化(しかも極めて小範囲)だけの所見」であれば「センチネルリンパ節転移は殆ど無い」です。
 「ありえない」と言っても過言ではありません(私のステレオガイド下マンモトーム生検で診断した症例経験上)
 

「先日の針生検から3日がたちますが、左胸に大きく内出血があり見るのもつらい状態になっています。また右はおさえるとかなり熱感があるのですがこれは普通なのでしょうか?初めの針生検の時はこのようなことはありませんでした。」
⇒(バネ式に比べて)吸引式の針生検では「周囲の組織も引き込む」ので「採取できる組織量も比較にならない位多い」かわりに、(小血管などを引っ張りこんだりするので)どうしても皮下出血しやすくなります。
 「普通」といえるかは(実際に見ていないので)不明ですが、「特別ではない」とは思います。
 

「これほど内出血して、もし悪性であった場合癌細胞が広がる心配はないのでしょうか」
⇒大丈夫です。
 その心配はありません。
 内出血は「小血管の破綻」によるもので、「癌細胞がそれで拡がる(流出した血液の中で生存する)」事はありません。

 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、

先日はお忙しい中迅速にご回答頂き本当に有難うございました。

先生のご回答を何度も読み直し、自分なりに気持ちの整理がつきました。

明日金曜日に病理結果が出ますが、主治医の意見に従おうと思っています。

今までの経緯と田沢先生が書いていらっしゃることと照らし合わせて、主治医を信頼できると思っております。

マンモグラフィーからすぐ針生検をしていただいたことや、とことん質問できる雰囲気等、恵まれていると思います。

このサイトを読んでいると日本では気の毒な診療が多いようで、先生のやっているお働きが大変有意義であると感じました。

明日の結果が分かり次第、ご迷惑でなければまたメールさせていただいてもよろしいでしょうか。

最後にもう一つ質問させてください。
今回全摘出か温存か迷いのある右胸ですが、例えば今回温存すれば放射線治療があると思います。

その後万が一再発した場合、乳房全摘出後の再建はできるのでしょうか。

放射線治療を一度してしまうと再建は難しいと聞いたことがあります。

この質問は決して急ぎませんのでお時間のある時にで結構です。

緊急の質問のある方をどうぞ優先してください。

 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 私もメール内容を読んで、「質問者が(海外で)きちんとした診療を受けている」事を改めて感じました。
 大変、幸運なことです。

「このサイトを読んでいると日本では気の毒な診療が多い」
⇒私もこの「QandAをするまでは、こんなに酷い診療が横行している」事に全く気付いていませんでした。
 ただ、「そもそも、きちんとした満足のいく診療をされている」方は「このQandAに投稿する必要がない」のかもしれません。
 全国には「きちんとした診療をされている人たちが多くいる」事を願うばかりです。
 つい、自分の感想を述べてしまいました。 
 聞き苦しい(見苦しい?)ところは「愚痴」と思って、御容赦ください。

回答

「明日の結果が分かり次第、ご迷惑でなければまたメールさせていただいてもよろしいでしょうか。」
⇒是非、メールください。

 私も日常的にステレオガイド下マンモトーム生検をしている身(毎週3件ずつ行っています)なので、「石灰化の診断」には興味があります。(興味などと言っては質問者に、失礼かもしれませんが…)
 また、手術(どの術式であれ)後に「ADH」の診断が、どうなるのかも注目しています。
 

「温存すれば放射線治療があると思います。その後万が一再発した場合、乳房全摘出後の再建はできるのでしょうか」「放射線治療を一度してしまうと再建は難しい」
⇒正しい知識です。

 (私も、形成外科医ではないので)あくまでも「形成外科医からの聞きかじり」なのですが…

 「自家組織再建」であれば、それ程問題無いと思います。(皮膚ごと、移植するので)皮膚への放射線照射の影響が「それ程強くない」のです。

 ただ、「シリコンインプラント」による再建はやはりリスクがあり「勧められません」
 「放射線がかかって拘縮気味の皮膚に負担がかかって」合併症(インプラントが皮膚を破って出てきた)などが実際にあるようです。
 また、見た目も「満足できる仕上がり」には厳しいのです。

 
 

 

質問者様から 【質問3 組織診結果】

田澤先生

先日金曜日に追加で行った組織検査の結果が出ました。結果は右胸追加部分、左胸とも良性でした。明日月曜日に今までのプラン通り右乳房温存手術を受けます。最悪の場合、右胸全摘、左胸も部分摘出を覚悟していましたし、多発となると他にもありそうでとても心配でしたが、やっと安心して手術を受けられます。田澤先生には遠く離れているにもかかわらずいつも暖かいお言葉と迅速で的を得た回答を頂き、本当に力づけられました。有難うございました。後日術後の病理結果が出ましたら、またわからないことなどありましたら質問させて頂ければ有難いです。
どうぞよろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 追加の生検が、どちらも陰性との事。
 とても良かったです。

 「ADHの乳腺部分切除」病理組織検査結果に注目しています。
 是非、教えてください。
 そして、その結果「力になれる事があれば幸い」に思います。

 
 

 

質問者様から 【質問4 術創について】

田澤先生、先日ドイツより両胸の石灰化について質問させて頂いた者です。お陰様で15日に無事に右温存手術を受け、まだ傷の痛みはありますが体力も十分回復し、順調だと感じています。先日(23日)術創のチェックを受けた際、主治医より、まだ公式なレポートが来ていないので100パーセント確定とは言えないのだけれど,と前置きをされた上で、病理結果を口頭で伝えられました。今のところ摘出標本からはAEDT(日本でのADH?)以上の病変は見つかっていないとのことで、もしこのまま確定すれば放射線治療はしなくてもよいとのことでした。術前に「自分の執刀経験の中で、術後もAEDTだった例はまだ2件しかなく、ほぼ99パーセント放射線治療をすると思っていてください」と告げられていたのであまりの幸運が信じられない思いです。田澤先生には、まだ確定ではないし、正式なレポートを頂いてからお知らせしようと思っていたのですが、少し気になることがあるのでその前に質問させてください。

質問1 術創の位置についてです。何となくイメージで針生検の入り口を中心に切開すると思っていたのですが、術後の創はかなりそこからは離れています。初めの組織診の結果に右11時の方向、乳頭より5,6センチの位置に石灰化有りと書かれているのですが、実際の切開部分は9時から10時くらいの部分で乳頭からの距離もかなり近くなっています。むしろ良性であった2度目の追加の組織診の場所に近い感じで、間違ったマーカーをターゲットにしてしまったのではないかと、不必要な?心配がよぎります。まさかそのようなことはないとは思いますが、田澤先生のご経験の中でこのように位置の離れた切開になったことは有りましたでしょうか。

質問2 もしADHが確定し放射線治療が不要となると、前述しましたように針生検の通った入り口の皮膚は全くフォローされない状態になってしまいますが、大丈夫なのでしょうか。以前放射線治療はその皮膚の部分をフォローする意味もあると読んだ記憶があるのですが。

以上、先生にとって初歩的な質問とは思いますが、もしご回答頂ければ非常に安心することができます。どうぞよろしくお願いします。また正式なレポートを頂きましたら追ってご連絡させて頂きます。

 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 手術後2週間ですね。
 順調な経過のようで何よりです。

回答

「経験の中でこのように位置の離れた切開になったことは有りましたでしょうか」
⇒あまり、質問者を心配させるつもりは無いのですが…

 私はステレオガイド下マンモトーム生検ではマーカーを留置していません。
 「針の刺入部」から超音波で「針のルート」を確認して、「切除範囲」を決めています。
 そうすると、刺入部からターゲットまで「それ程距離がない」ことが解ります。

 「癌の可能性を考えて」切開ラインに「針刺入部」を含めています。

○マーカーをいれているのであれば、術後にマンモグラフィーを撮影すれば確認できます。担当医に聞いてみてください
 

「針生検の通った入り口の皮膚は全くフォローされない状態になってしまいます」
⇒結果的にADHの診断となれば、「ルート(皮膚を含めて)に癌細胞が生着するリスク」はほぼ無いと考えていいです。





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