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偽リンパ腫?

[管理番号:4180]
性別:女性
年齢:31歳
田澤先生、サイトをいつも有難く拝見させていただいております。
非常に勉強になります。
私も組織診を行い病理検査がでたので、いくつか質問をさせて下さい。
先生はいつもお忙しいのに、こちらの質問が多いですが、宜しく御願い致します。
先日エコーで左胸にしこりが見つかり、針生検(バネ式で3本)をして病理結果が報告されました。
その結果、しこりはPseudolymphoma(no malignancy seen)でリンパ球の集合体のようなものと診断され、
見てくださった医師の方も非常に珍しく見たことがないとおっしゃっていました。
エコーでは、カテゴリー3あるいは4くらいで、悪性か否かは半々くらいの所見でした。
(不均質で、前方境界線断裂+)
確かはじめの病院のエコーでは7*9*6mmで、次の病院では8*8*6mmと計測されました。
以下が病理結果です。
・英語は訳せばわかるのですが詳しいところが、専門的でよくわかりません。
 なるべく素人でもわかるよう解説していただきたいです。
【免疫組織化学検査】
●乳腺組織内に濾胞を伴う小型リンパ球のdenseな湿潤を認める
●CD3:(+)のTリンパ球とCD20:(+)のBリンパ球には明瞭な棲み分け
があり、主として濾胞にはBリンパ球が、濾胞間にはTリンパ球が分布
●濾胞はCD10:(+)、bcl-6:(+)だが、bcl-2:(-)
●Cytokeratin(AE1/AE3)は乳管に一致して陽性を示すが、リンパ球湿潤による乳管破壊を示唆lymphoepithelial lesionは確認されない
●上記の結果より、Pseudolymphoma(no malignancy seen)と判断
・この乳腺腫瘤は悪性ではないそうですが、悪性に変わるようなことはありますか?
 先生は悪性ではない、経過で消える可能性もあるとおっしゃていました。
・4か月後の3月末に再びエコー検査となりましたが、田澤先生から見ても経過を見るしかない診断でしょうか?
・自分でしこりの大きさなどを確認したいのですが、リンパ球の集合体なので
 あまり刺激は与えないために、再検査前はしこりのチェックなどはやらないほうがよいですかね?
・今回しこりがあったのでバネ式で検査しましたが、マンモトームでなく十分なのでしょうか?
 (先生はバコラ生検は石灰化しかやらないと言っていましたが、そもそも今回エコーのみでマンモグラフィは受けていません)
結果が乳がんでなく嬉しかったのですが、聞いたことのない診断で非常に不安です。
調べるとPseudolymphomaとは偽リンパ腫のことで、それを調べると悪性ではないが良性とも言いきれないみたいな
悪いことばかり目についてしまい落ち込んでいます…。
もしかしてこれから何か悪いものになり治療が必要または治療困難なのではと悲観的になってしまいます。
・むしろリンパのことなので、血液内科にもいったほうがよろしいのでしょうか…?
医師からは、その辺りをぶつけたりケガしたことはないかと聞かれましたが、
特に覚えはありません。
しいて云えば、バストマッサージをしていること(乳がん疑惑後はしておませんが)。
あとは就寝時、寝がえりをしないので、そこを圧迫している可能性くらいです。
(でもしこりは内側でありA領域、乳頭から3.2cm11時の方向なので、
局所的な圧迫はなさそうな気がします。)
これも関係はないとは思いますが、5年ほど前にマンモグラフィを受けています。
・これらで乳腺腫瘤ができた可能性はありますか(なんとなく想像ではあざができるようなケガでできそうなイメージです)?
 また偽リンパ腫がケガ以外で、他の疾患の影響であらわれた可能性はありますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
Pseudolymphomaですね。
どうやら、病理医の世界では「使わない方が望ましい用語」と位置付けられており、
其の概念では「外傷などに対する過剰なリンパ球による反応」も含まれ、「low
grade B-cll lymphomaが鑑別に挙がる」ものの、『腫瘍と判断できるだけの決定的所見がない』除外診断のようです。
「・この乳腺腫瘤は悪性ではないそうですが、悪性に変わるようなことはありますか?」
⇒腫瘍ではないようです。
 腫瘍では無い以上、「悪性にかわる」ことなどありません。
「・4か月後の3月末に再びエコー検査となりましたが、田澤先生から見ても経過を見るしかない診断でしょうか?」
⇒気になるなら、(局麻下に)「摘出」するといいでしょう。
「あまり刺激は与えないために、再検査前はしこりのチェックなどはやらないほうがよいですかね?」
⇒神経質になる必要はありません。
「・今回しこりがあったのでバネ式で検査しましたが、マンモトームでなく十分なのでしょうか?」
⇒(腫瘤非形成性病変ではなく)「均一な9mmの腫瘍」であれば、バネ式で十分でしょう。
「もしかしてこれから何か悪いものになり治療が必要または治療困難なのではと悲観的になってしまいます。」「むしろリンパのことなので、血液内科にもいったほうがよろしいのでしょうか…?」
⇒考え過ぎです。
 全身性のものではありません。
「・これらで乳腺腫瘤ができた可能性はありますか(なんとなく想像ではあざができるようなケガでできそうなイメージです)?」
⇒無関係です。
「 また偽リンパ腫がケガ以外で、他の疾患の影響であらわれた可能性はありますか?」
⇒ありません。
 そのような疾患が除外されたので「偽血管腫」となったのです。