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線維腺腫と葉状腫瘍

[管理番号:2346]
性別:女性
年齢:39歳
現在39歳、既婚、不妊治療中(妊娠経験なし)です。
1年2か月前に左胸より7cm大の大きな線維腺腫を大学病院で摘出しました。
発見の経緯としては、かなり昔(少なくとも10年以上前)から胸の大きさに左右差がある事は認識していましたが、まさか腫瘍だとは思わず検査をしたことがありませんでした。
(2,3年前より左右差が開いた気もしましたが気にしていませんでした)
38歳で初めて受けた検診で腫瘍が発見され、摘出となりました。
手術前には「線維腺腫と思うが、良性の葉状腫瘍の可能性もある」と説明を受けていました。
摘出後の病理診断で「線維腺腫」と診断され、安心し、その後の定期検診も問題なく過ごしています。
ところが最近、葉状腫瘍について詳しく調べてみたところ、線維腺腫と診断されているが、本当に葉状腫瘍ではなかったんだろうか?と心配になる記事を見つけてしまいました。
自分の年齢、腫瘍の大きさは手術当初から気になっていたのですが、加えて「葉状腫瘍の特徴として腫瘍の中に嚢胞部分が見られる」と言う物を読んだからです。
自分の病理診断のコピーをもらい、持っていますが、その中に「嚢胞状拡張を伴いながら・・・」と言う文章を見つけ、とても心配になっています。
病理診断に書いてある事は
約62×45ミリ大の境界明瞭な結節で、組織学的にはいずれも豊富で密な繊維性結合組織の増生を主体として、所々嚢胞状拡張を伴いながら異形に乏しく、二層性の保たれた乳管様構造が増生しています。
所々foamy cell やリンパ球の浸潤もみられます。
fibroadenomaの像であり、pericanalicular pattern とorganoid pattern が主体です。
悪性を示唆する所見はありません。
phyllodes tumorを疑う像もありません。
切除断片は陰性と判断します。
となっています。
はっきりと「phyllodes tumorを疑う像はありません」と書いてあるものの、「嚢胞状拡張を伴い・・・」の部分が気になって仕方ないのですが、やはり嚢胞状の物があったと言う事は葉状腫瘍の所見と似ている部分もあったと言う事なのでしょうか?
線維腺腫でも嚢胞状の物があって不思議ではないのでしょうか?
摘出後の結果は確定であり、心配はいらないのでしょうか?
心配をし過ぎなのかもしれませんが、気になって仕方がないので質問させて下さい。
お忙しい中すみません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
結論から言うと「全く問題なし」です。
「7cm大の大きな線維腺腫」「摘出後の病理診断で「線維腺腫」と診断」
⇒確かに「大きさは気になる」ものですが、診断には問題ありません。
 
「葉状腫瘍の特徴として腫瘍の中に嚢胞部分が見られる」
⇒これは正しいですが、
 
「約62×45ミリ大の境界明瞭な結節で、組織学的にはいずれも豊富で密な線維性結合組織の増生を主体として、所々嚢胞状拡張を伴いながら異形に乏しく、二層性の保たれた乳管様構造増生」
⇒この「嚢胞状拡張」と(葉状腫瘍でできる)「腫瘍内部の嚢胞構造」は全く別物です。
 質問者の病理では「乳管が嚢胞状に拡張」して増生しているだけで、「線維腺腫でも普通に見られる」構造です。
 
「やはり嚢胞状の物があったと言う事は葉状腫瘍の所見と似ている部分もあったと言う事なのでしょうか?線維腺腫でも嚢胞状の物があって不思議ではないのでしょうか?」
⇒前述した通りです。
 もともと「線維腺腫と葉状腫瘍」はどちらも「fibroepithelial tumor」として似た構造をしています。
 「葉状腫瘍」は(線維腺腫とは異なり)間質系細胞の増殖が激しいのが特徴です。(乳管の嚢胞状拡張は無関係です)
 
「摘出後の結果は確定であり、心配はいらないのでしょうか?」
⇒上記通りです。
 全く心配ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田沢先生、回答をありがとうございました。
全く問題ないとの事で安心致しました。
専門用語でなかなか理解が難しい部分をもう一点だけ質問させて下さい。
「約62×45ミリ大の境界明瞭な結節で、組織学的にはいずれも豊富で密な繊維性結合組織の増生を主体として、所々嚢胞状拡張を伴いながら異形に乏しく、二層性の保たれた乳管様構造が増生しています。」
の中の「乳管様構造」について。
1、嚢胞状拡張を伴った乳管が増生している。
と言う意味ですか?
2、嚢胞状拡張を伴った乳管の様な何かの(乳管ではない何かの)構造が増生している。
と言う意味でしょうか?
2であれば葉状腫瘍にできる腫瘍内部の嚢胞構造になるのではないか?と思ってしまうのですが・・・。
また、「腫瘍内に所々嚢胞状拡張を伴いながら」と言う意味にはなりえないでしょうか?
お忙しいところ、何度も申し訳ありません。
専門知識のない私にも理解できるような解説をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
『約62×45ミリ大の境界明瞭な結節で、組織学的にはいずれも豊富で密な繊維性結合組織の増生を主体として、所々嚢胞状拡張を伴いながら異形に乏しく、二層性の保たれた乳管様構造が増生しています。」の中の「乳管様構造」について。』「1、嚢胞状拡張を伴った乳管が増生している。と言う意味ですか?」
⇒その通りです。
 あくまでも「増生しているので」「乳管様」と表現しているのです。 実際は「乳管」です。
 
「2、嚢胞状拡張を伴った乳管の様な何かの(乳管ではない何かの)構造が増生している。と言う意味でしょうか?」
⇒違います。
 
「2であれば葉状腫瘍にできる腫瘍内部の嚢胞構造になるのではないか?と思ってしまうのですが・・・。」
⇒考え過ぎです。
 そもそも「葉状腫瘍の中の嚢胞構造」とは「病理所見ではなく、画像所見(超音波所見)の話」なのです。
 
「また、「腫瘍内に所々嚢胞状拡張を伴いながら」と言う意味にはなりえないでしょうか?」
⇒全く考え過ぎです。
 
 

 

質問者様から 【感想3】

田澤先生
ご回答を下さりありがとうございました。
はっきりと「全く考え過ぎです」と言って頂けて、胸のザワザワが取れました。
あまり考え過ぎず、過剰に心配しすぎず、毎日を楽しく過ごしていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生
先日「線維腺腫と葉状腫瘍」と言う題名で質問をさせていただいた者です。
その節はご回答下さりありがとうございました。
今回、別件として田澤先生に新たに相談させて頂きたい事があります。
よろしくお願いいたします。
乳頭分泌があります。
以前マンモグラフィー検査の際、左胸のみから分泌があり、びっくりして技士の方に「これは大丈夫なんでしょうか?」と聞いたところ、「透明のようなので、心配しなくてもいいです」と言われ、サッと分泌液を拭かれてしまいました。
私も大丈夫と言われ安心し、医師に相談する事もありませんでした。
自宅で自分で左胸を強く押すと、少量ですが分泌があります。
色は透明に見えます。
分泌は必ず一か所のみからです。
(単孔性と言うのでしょうか?)
今まで気にしておりませんでしたが、こちらのQ&Aを読ませていただいたところ、「血性でも非血性でも、単孔性の乳頭分泌は注意が必要」との内容を目にしました。
自分に当てはまっているので不安になり、乳管造影の検査を受けたいと強く希望しています。
できれば田澤先生にお願いしたいと思っているのですが、一度検査をして頂けませんでしょうか?
現在、不妊治療中で体外受精の胚移植を控えており、移植、妊娠する前に不安事項を早くクリアにしたい気持ちが強いです。
お忙しい中、大変恐縮ですがよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
自宅で自分で左胸を強く押すと、少量ですが分泌があります。色は透明に見えます。分泌は必ず一か所のみ」「できれば田澤先生にお願いしたいと思っているのですが、一度検査をして頂けませんでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 単孔性であれば、是非「乳管造影」しましょう。
 ただ、診察してみたら「多孔性だった」とか、「殆ど分泌が無い」などで「乳管造影の適応から外れる可能性」についても御承知ください。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生
ご回答ありがとうございました。
先生に乳管造影をして頂けるとのことで、安心いたしました。
場合によっては検査適応外になる事も承知しました。
予約はどのように行えばよろしいでしょうか?江戸川病院へ「乳管造影の予約」として電話をすればよろしいでしょうか?市川での検査の方がよいでしょうか?どちらが最短でできるでしょうか?
個人的な理由で大変恐縮ですが、胚移植を控えております。
その前にこの不安を解決しなければいけないので、お忙しいのは重々承知ですが、
なるべく早くの検査を希望しています。
検査終了まで妊娠は避けたほうがよいですよね?
正直申し上げると、この2件が重なり精神的にかなり参ってきてしまっています…。
何度も申し訳ありません。
何卒よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
乳管造影は「江戸川」でも「市川」でもできますが、「市川の方が望ましい」と思っています。
その理由は
①市川の方が「診察室とマンモグラフィー撮影室の距離が近い」
②照明が明るくて見易い(乳管孔は非常に小さいので重要)
③スタッフの介助が慣れていて(私自身が)やりやすい(こんな事情もあります)
ただし、注意点としては「市川は土曜日しかマンモグラフィーが撮影できない(乳管造影も同様)」ところです。
そこに注意して予約をとってください。
「乳がんプラザ2346 乳管造影希望」とお話すれば、スタッフに伝わる様にしておきます。
ただ、上手くいかない際には秘書へご連絡ください。
「秘書室メール」はこちらをクリックしてください。