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副乳にできた 葉状腫瘍 or 線維腺腫 の 治療(手術)について

[管理番号:1782]
性別:女性
年齢:40歳
初めて田澤先生へ質問いたします。
私の今まで経緯ですが。。。
7月下旬 → 左 腋下に 5㎝ぐらいのゴムボールのようなしこりを発見。
9月4日 → 総合病院にて 乳がん検診(マンモグラフィー・触診)を受ける。
9月18日 → 再検査の連絡が来る。
10月1日 → 乳腺外科受診。超音波検査の結果「乳がんではないような。。。リンパ腫かな? とりあえず細胞診をしましょう」とのことで細胞診をする。
10月13日 → 細胞診の結果を聞きに外来受診。細胞診の結果は「副乳の乳腺症かな。良性の腫瘍でガンではない」とのこと。主治医の先生が「超音波検査の時の血流の量が気になる」とのことで10月30日 MRI検査を受ける。
11月5日 → MRI検査の結果を聞きに乳腺外科受診。MRI検査の結果「副乳の乳腺腫瘍(葉状腫瘍か線維腺腫)とのこと。
病名が二転三転して毎回の診察がドキドキで「ガンだったら。。。リンパ腫だったら。。。」と不安だった私は、「乳腺腫瘍をとってしまったらおしまいですよ。」という先生の言葉にホッと安心し、
12月7日 全身麻酔で一泊二日の予定で手術を受けることが決まりました。
11月5日は乳腺外科で手術日が決まると、術前検査をいろいろとして、麻酔科の先生の問診も受け、次は手術の日の朝 病院へ行けば良いようになりました。
帰宅後、インターネットで「葉状腫瘍」と検索すると「ガンとは違って・良性・悪性はあまり関係ない」「局所再発率が高い」「臓器転移をするとガンよりたちが悪い」「手術以外治療法がない」「最初の手術が
大切」などなど恐ろしい記載をたくさん見つけてしまいました。
改めて手術同意書を見てみると「病名:左乳腺腫瘍」「術式:左乳腺腫瘍摘出術」「全身麻酔下に、腫瘍部位皮膚を切開腫瘍を摘出します」としか記載がなく、診察時の手術説明も「左脇を切って、腫瘍を取り出し
ますね」としか聞いていないので
・手術は、葉状腫瘍・線維腺腫 どちらと思ってアプローチするのか
・1㎝以上の切除マージンはしていただけるのか
・切除した腫瘍は、病理検査をしていただき、しっかりと調べていただけるのか
などなど、疑問が増えてきました。(もしかしたら、お医者さんの間では説明しなくても当たり前のことなのかもしれませんが、初めての手術でかなり不安なので。。。)
このまま疑問があるまま手術をするのは。。。と思い、11月24日に外来の予約を急遽申し込んだのですが、どのようなことを確認・質問したらよいでしょうか?
葉状腫瘍といえば、乳腺腫瘍の0.5% しかも副乳に発生したものとなれば、かなりレアケースだと思うのですが、普通の先生でも手術できるものでしょうか?
気を付ける点などあれば、ぜひ教えてください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を読みました。
「葉状腫瘍について、良く理解」されていますね。
「担当医」が「質問者くらい、しっかりとした理解をしている」ことを願っています…
まず注意しなくてはならないのは「40歳で5cmの腫瘍」です。
「脇の下」という部位からは「今まで、気付かなかっただけ」ということは非常に考えにくい。
⇒「葉状腫瘍を考えなくてはならない」所見と言えます。
 ♯「「超音波検査の時の血流の量が気になる」という所見も矛盾しないものと言えます。
  
「乳腺腫瘍をとってしまったらおしまいですよ。」「左脇を切って、腫瘍を取り出しますね」
⇒きちんと理解しているのか、甚だ心配となります。
 「葉状腫瘍の恐ろしさ(確定はしていませんが、そのつもりでしゅじゅつするべきです)」を知らない可能性があります。
 もしも「5cmの大きさ」で「境界悪性葉状腫瘍」であったとしたら、「再発したら大変なこと」になります。
 「出たら、また取ればいい」などは「とんでもない話」です。
 ○「葉状腫瘍を理解している乳腺外科医」ならば、急に大きくなった5cmの腫瘍には「十分なマージン」を付けます。
 「副乳原発」ということですが、「正常な副乳部分がどれだけあるのか?」が焦点となります。
 安全性を考えたら「副乳は完全に切除」することも考えなくてはなりません。
 
「手術は、葉状腫瘍・線維腺腫 どちらと思ってアプローチするのか」
⇒当然「葉状腫瘍」と考えたアプローチとすべきです。
 
「1㎝以上の切除マージンはしていただけるのか」
⇒絶対条件です。
 ただし、「副乳」自体のvolumeはどうなのでしょう?
 「副乳として認識できるだけの組織量」があれば「全摘すべき」です。
 
「切除した腫瘍は、病理検査をしていただき、しっかりと調べていただけるのか」
⇒これは当然のことなので、心配ありません。
 
「どのようなことを確認・質問したらよいでしょうか?」
⇒これは質問者が気にしている上記内容です。
 「葉状腫瘍であることを前提とした、(再発防止を強く意識した)十分なマージン
をつけた手術と考えてよいか?」
 この一文に尽きます。
 
「普通の先生でも手術できるものでしょうか?」
⇒やるべき事は「簡単」ですが、実は「大変責任の重い」手術です。
 今回の目的は「腫瘍を摘出する」ことではなく、今後「再発させないこと」なのです。
 其の事を理解した「熟練者」のみが執刀すべきです。
  
「気を付ける点などあれば、ぜひ教えてください」
⇒どこぞの大学病院や(似たような)大病院で「手術入門者」に「君、これちょうどいい症例だよ」みたいに、手術されるのだけは避けてください。