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手術法について

[管理番号:385]
性別:女性
年齢:50歳
乳がんの手術を再来週に控えています。
左胸(乳輪と胸の境目)に1.7センチのしこりがあります。
針生検の結果はホルモン受容体は3b、ki-67は12.4%、HER2-FISHは1.16遺伝子増幅なしでルミナールAタイプと診断されています。
MRIでは、このしこりのほかに2つ白い塊(胸の奥のほうです)が見えていて、手術を担当する医師にはこれもたぶん癌だと思うから、全摘したほうがいいだろうと言われています。(CTの結果ではリンパ節転移なしです)
MRIで見えた白い塊が本当に癌であれば全摘もやむなしと思っていますが、本当にそうなのかがわからないこともあり、かなり躊躇しています。
何がなんでも温存でとは思っていませんが、入院期間が2週間ということや再建手術を2回行わなければならないということを考えると温存の気持ちが強くなっています。
再発率やしこりの場所などもあるのでしょうが私の場合、温存は難しいでしょうか?
温存でホルモン治療+放射線治療では再発率は高くなるのでしょうか?
最終的には自分で決めることですが、ぜひ先生のご意見を伺わさせていただけらと思います。
お忙しいところをすみませんが、よろしくお願いいたします。
(2015年5月の質問)
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 このメール内容は、「かなり問題のある」ものだと思います。

回答

「MRIでは、このしこりのほかに2つ白い塊(胸の奥のほうです)が見えていて、手術を担当する医師にはこれもたぶん癌だと思うから、全摘したほうがいいだろう」
⇒きちんと「ほかの2つ」について超音波で調べているのでしょうか?
 当然、「そのMRIの所見」を「超音波で再現」して、本当に「癌の可能性がある」ようであれば、「針生検して確認する」べきです。
 『MRIでみると多分癌だろう、だから全摘を勧める』はかなり問題のある判断です。
 きちんと「超音波で確認」した上で「針生検」するべきです。
 
「本当にそうなのかがわからないこともあり、かなり躊躇しています」
⇒質問者が正しいと思います。
 主治医は、きちんと診断すべきです(他の2か所が癌であることを必要に応じて針生検で確認すべきです)
 
「私の場合、温存は難しいでしょうか?」
⇒(患者さんが)温存を望んでいる場合に「MRIの所見だけで、多発と決めつける」事は大問題です。
 まずは、主治医に「他の病変の組織診断」をしてもらうべきです。
※「組織診断で多発と証明」された場合には納得した治療が受けられるのです。
 
「温存でホルモン治療+放射線治療では再発率は高くなるのでしょうか?」
⇒(本当に単発であれば)温存+放射線治療でも十分「局所再発」は抑えられます。
 しかもlumnal Aなので、「全身療法としての」ホルモン療法も「局所にも」効果的だと思います。
◎「温存か全切除か?」という大事な判断を「MRIだけで」行うのは誤りです。
 きちんと「超音波で再現」して「針生検」をした結果で「最終判断すべき」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお忙しい中、回答いただきありがとうございました。
MRIでみつかった2つの塊については次回、しっかり検査してもらい温存か全摘かを決めたいと思います。
5月12日に全摘も視野に入れて形成外科の医師の診察を予定しているのですが、この医師なら信頼して再建をお願いしたいと判断する基準はありますか?
もしこれだけは確認したほうがいいというのがありましたらぜひ教えていただけますでしょうか?
お忙しいところを度重なる質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「全摘再建の可能性を考えて」ということですね。
 それでは回答します。

回答

「この医師なら信頼して再建をお願いしたいと判断する基準はありますか?」
⇒きちんと自分の言葉で説明できる医師です。
 良くある「問題のある医師」は「説明文書」という冊子だけを渡して「詳しい事は、これを読んでおいて」というような対応をします。
 きちんと、「手術手技」に自信を持ち、患者さんの質問に対して「自分の言葉で、自信をもって」応えてくれる医師がいいでしょう。
 
「これだけは確認したほうがいいというのがありましたらぜひ教えていただけますでしょうか?」
⇒どれくらいの執刀経験があるのか? また(形成外科ですから)「自身執刀の再建患者さんの写真」があれば、見せてもらうといいでしょう。