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温存手術後の抗がん剤について教えてください

[管理番号:2679]
性別:女性
年齢:50歳
田澤先生
こんにちは。
いつもQ&Aで勉強させていただいております。
2016年 3月(上旬)日に部分切除温存手術が終わり、病理検査の結果説明を昨日受けました。
放射線とホルモン剤治療は決まっていますが、
主治医はKi67の値が微妙なグレーゾーンなので、抗がん剤をやるかやらないか4/(上旬)までに決めて下さいと言われました。
センチネルリンパ節生検は0/1で転移なしでした。
針生検の時からおとなしいガンと言われ、抗がん剤の話は出ていなかったので少々戸惑っています。
やるとしたらCMFで脱毛や吐き気の少ないタイプと言われましたが、田澤先生なら抗がん剤を勧められますか?
上乗せ効果は3%程で、それを大きいと思うか、出来るだけのことをしたいと思うならやった方が、とのことでしたが、半年間かかるそうで、全く副作用がない訳でもない、仕事にも家事にも差し支える、と思うと躊躇します。
上乗せ効果が3%というのも大きいのか小さいのかわかりません。
また、主治医はHER2:マイナスとメモを書いて説明して下さいましたが、
下記のレポートには1+となっています。
ハーセプチンの話は全くありませんでした。
放射線とCMFは併用して行いますとのことで、そうなると仕事と両立出来る自信がないです。
抗がん剤をやらない選択をしてもよいでしょうか?
放射線は5月の連休明けから開始予定です。
色々迷っています。
教えてください。
よろしくお願いします。
Breast carcinoma,C area,about 12×9×7mm,Invasive ductal carcinoma,papillotubular carcinoma,g,f,ly(-),v(-),right breast, Bp+SN
右乳腺:5.5×4×2.5cm
類円形の腫大濃染核を有する腫瘍細胞が、小型~融合腺管構造、索状、
小胞巣状に増殖しています。
Invasive ductal carcinoma,papillotubular
carcinomaが主体と考えます。
乳管内進展を伴います。
comedo patternは認められません。
浸潤巣の大きさは約12×9×7mmであり、乳管内進展巣を含む腫瘍の大きさも同程度です。
腫瘍は乳腺周囲脂肪織に浸潤しています。
リンパ管侵襲、静脈侵襲は明らかではありません。
切除断端に腫瘍細胞は認められません。
Nuclear atypia score:2点
Mitotic counts score:1点
Nuclear grade:Grade1
Tubule and grand formation:score1
Nuclear pleomorphism:score2
Mitotic counts:score1
Histological Grade:Grade1(well differentiated) ER:(+)98% PgR:(+)98% HER2:1+
Ki67 labeling index:24%
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, NG1, luminal type
十分な早期乳癌です。
心配は良くありません。
 
「Ki67の値が微妙なグレーゾーン」
⇒Ki67=24%は、たしかに定義では「グレーゾーン」とはなりますが、「NG1を考慮すると」限り無く「luminalA」と考えます。
 
「やるとしたらCMFで脱毛や吐き気の少ないタイプと言われました」
⇒標準治療ではありません。
 (もしも)やるのであれば、「TC」でしょう。
 
「田澤先生なら抗がん剤を勧められますか?」
⇒「上乗せ効果は3%」なので、(私は)勧めません。
 
「また、主治医はHER2:マイナスとメモを書いて説明して下さいましたが、下記のレポートには1+となっています。」
⇒HER2 1+は「陰性」です。
 間違い易いところです。
0/1+ :陰性
2+ :FISHで確認
3+  :陽性
 
「ハーセプチンの話は全くありませんでした。」
⇒HER2 1+は「陰性」なのです。
 
「抗がん剤をやらない選択をしてもよいでしょうか?」
⇒私は勧めません。