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手術温存後の断端陽性について

[管理番号:2779]
性別:女性
年齢:52歳
初めてメールを申し上げます。
乳がんと分かってから先生のQ&Aを毎日、拝見させて頂いております。
私は、4/(上旬)に右乳がん温存手術をしました。
本日(4/(中旬))、手術後の
取った部分の乳房箇所に水がたまりやすいという事で、抜きに今の大学病院へ行って参りました。
同時に、主治医から手術後の組織結果のお話しを聞くことが出来ました。
記した内容をそのまま写し書きしますと
①組織型       :浸潤がん(非浸潤がん5.6cm)
②しこりの大きさ   :浸潤がんの最大径1.3cm
③リンパ節転移の数  :0/4
④核グレード     :1
⑤エストロゲン受容体 :+
⑥プロゲステロン受容体:+
⑦HER2タンパク(染色):ほぼ陰性(2+)
⑧他         :FISH(現段階ではまだ分からないが、4/26
            に判明したら抗ガン剤が良く効くとおっ  
            しゃっていました)
病期 T(1C)N(0)M(0)(Ⅰ)期とのことでした。
田澤先生に教えて頂きたい事は、主治医のお話しでは採取したガン組織を数ミリ単位で検査した所、断端陽性部分が一か所あるということでした。
動揺して何ミリかは聞き逃してしまったのですが、非浸潤がんだから放射線治療でたたく事ができるので、それで行きましょうとおっしゃいましたが、放射線でガンは死滅させる事はできるのでしょうか?
もし、断端外科手術を追加で施す場合は日帰りで可能とおっしゃっていました。
心配なのは、数年後の再発の可能性です。
田澤先生でしたら、どちらがお勧めですか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(13mm), pN0, luminal, NG1
十分な早期癌であり、HER2 2+でFISHオーダーとなっていますが、NG1からも陰性の可能性が高いとは思います(統計的に25%程度が陽性となります)
 
「断端陽性部分が一か所ある」「非浸潤がんだから放射線治療でたたく事ができるので、それで行きましょうとおっしゃいましたが、放射線でガンは死滅させる事はできるのでしょうか?」
⇒放射線照射は「温存乳房照射の確率を1/3に減らす」ことが解っていますので、当然その効果が期待できます。
 断端の「非浸潤癌」といっても「核グレードが高い」と局所再発のリスクとなりますので、そのあたりも参考にして考えなくてはいけません。
 
「田澤先生でしたら、どちらがお勧めですか?」
⇒「核グレードが低く」かつ「範囲が狭い」のであれば「放射線照射でもいい」とは思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前、断端陽性で質問させて頂いた者です。
その節は丁寧なご回答を有難うございました。
断端1ケ所と言われて放射線照射でカバーするつもりでしたが、追加手術を施しました。
実は1回目の手術前に超音波検査で怪しい影があり、吸引式の針検査での結果は(-)と出ていたのですが、追加手術の時に主治医が念の為にと影の箇所をとって病理検査をかけた結果、非浸潤がんが残っておりました。
7月末に3回目の入院手術で行い、やっと断端陰性になりガンが取り切れたと報告をうけホッしているところです。
3回にもおよぶ手術でしたが、温存でいけましたので乳房内の水を取り乳房が落ち着いてきましたので、放射線治療が始まり説明を本日受けて参りました。
そこで田澤先生に質問なのですが「短期照射での全乳房照射照射に関する説明」を受けましたが、この方法で間違いないのか心配になってきました。
この病院では、米国放射線腫瘍学会のガイドラインに準拠して以下のすべてを満たす患者さんには短期照射をすすめているということでした。
条件が
①50歳以上
②5cm以下の浸潤ガン
③腋窩リンパ節転移がない
④化学療法を受けていない(HER2タンパク染色2+でしたが、FISH結果は陰性でした)
心配なのが、現在術後の乳房全体にまだ赤みがありながら、来週にはCT撮影後治療法思案を決め、放射線照射を1回2.66Gy、右腫瘍床1回
2.5Gyを受ける事になっています。
乳房全体に赤みがありながら、乳房に放射線照射を受けることによる炎症はないのかという事です。
CT撮影を受けるときに、受付で赤みが引かないと言えば乳腺科で診断を受けてから開始できるとはおっしゃっていましたが・・・
照射が、短期ですむため、あてる量が多い感じがするのでそれも不安があります。
お忙しい所恐縮ですが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「寡分割照射」ですね。
確かにASTRO:American Society for Radiation Oncologyの基準があります。
但し、注意点があるとすれば「人種間の体格差」があり「日本人にそのまま当て嵌めていいのか?」と言う点があります。(現在、日本での多施設共同試験が行われています)
「乳房全体に赤みがありながら、乳房に放射線照射を受けることによる炎症はないのかという事です。CT撮影を受けるときに、受付で赤みが引かないと言えば乳腺科で診断を受けてから開始できる」
⇒程度問題です。
 余程の事がなければ全く問題ありません。
「照射が、短期ですむため、あてる量が多い感じがするのでそれも不安」
⇒質問者の施設では(日本で行われている)「多施設共同試験」に参加しているのでしょうか?
 もしも「創部が不安定」など不安要素があるのであれば「敢えて、試験に参加せずに、通常照射を選択」することも考慮すべきです。
 ♯実際に私が診ているのでないので、なかなかその辺りのコメントはしずらいところです。