Site Overlay

質問

[管理番号:4183]
性別:女性
年齢:37歳
先生はじめまして。
年明けに温存手術を予定している者です。
年明け早々の質問にて恐縮ではございますが、
年末年始に気になる症状があり質問させて頂きます。
前の病院にてモンマトーム生検を行った20日後に
現病院にて再度マンモグラフィを行った際、どす黒い血が出ました。
先生は、モンマトームの影響であろうとのことで年末年始を迎えましたが、
年末年始の間、乳頭からの分泌物(黄色)が若干下着に付着していることに気づきました。
血は出ていませんが、乳輪にはひきつれや硬いぼつぼつがあり、かさかさしています。
初診日以前はこのようではなかったと認識しております。
以下が現在の病理結果ですが、単なるモンマトームの影響なのか、
乳頭まで浸潤?(飛躍しすぎかもしれませんが皮膚転移??)
している可能性があるのかを危惧しております。
左乳房外側下に1.2mmの硬がん主体の浸潤がん
核異度:Grade1(NA2,MI1)
ER:Totale score:8(PS;5,IS;3)
PgR:Totale score:8(PS;5,IS;3)
HercepTest:スコア1+
切片上の腫瘍細胞で細胞膜の20-30%にHER2弱陽性を示しているのでスコア1と判定。
Ki67:腫瘍細胞の10-20%に陽性。
ルミナルA、超音波・MRIではリンパへの転移所見なし。
モンマトームによる内出血は未だ残っています。
①分泌物はモンマトームの影響なのか。
②この状態で全摘ではなく、温存で問題ないのか。
③術前に乳頭についての検査を追加する必要はないのか。
③浸潤?している場合、最適な治療法の順序(手術、放射線、薬物療法)はどうなるか。
(現状、温存手術→放射線→薬物療法を予定。)
④手術は急いだ方がいいのか。
について先生のご見解を賜りたく思います。
お忙しい中恐れ入りますが、宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
マンモトーム後の内出血に起因する症状ですね。
全く気にする必要はありません。
それを機会に進行することは決してないし、皮膚転移は1000%考え過ぎです。
「現病院にて再度マンモグラフィを行った際、どす黒い血が出ました。先生は、モンマトームの影響であろう」
⇒その通り、全く間違いありません。
「単なるモンマトームの影響なのか、」
⇒その通りです。
「乳頭まで浸潤?」
⇒全く無関係です。
 「乳頭分泌」と「乳頭までの浸潤」には関係は全くありません。
「(飛躍しすぎかもしれませんが皮膚転移??)」
⇒飛躍し過ぎです。
 全く、想像する必要もありません。
「①分泌物はモンマトームの影響なのか。」
⇒その通りです。
 そもそも乳癌は乳管から発生するので乳管に連続しています。
 (マンモトームで)出血して、それが乳管を流れて乳頭から出てくることには何の不思議もありません。(普通のことです)
 ◎そもそも(マンモトームとは無関係に)乳頭分泌は、乳管から発生した以上「どんな乳癌でも起こりうる」現象であり「乳頭への浸潤とは全く無関係」なことなのです。
「②この状態で全摘ではなく、温存で問題ないのか。」
⇒上記コメントでお解りいただけたでしょうか?
 全く状況に変化はありません。
 ♯そもそも乳頭分泌を気にする必要がありません。
「③術前に乳頭についての検査を追加する必要はないのか。」
⇒(上記コメント通り)全く不要です。
「③浸潤?している場合、最適な治療法の順序(手術、放射線、薬物療法)はどうなるか。」
⇒全く無意味です。
 普通に手術しましょう。
「④手術は急いだ方がいいのか。」
⇒状況には、なんら(以前と)変化はありません。
 余計な心配はせずに、「予定通りの日程」で「予定通りの治療」をしましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
先日は、「モンマトーム後内出血」の件でご回答を頂き、誠にありがとうございました。
迅速なご対応で、主治医の診察の前に先生のご回答を拝読でき、大変心強かったです。
先生が仰ったように、「予定通りの日程」で「予定通りの治療(温存)」を致しました。
現在、術後の病理結果待ちで、病理結果の診察を前に、
術後の治療方針についてある程度の心づもりをしたいと考えております。
□モンマトーム結果
左乳房下外側に1.2cm 硬がん主体の浸潤がん
核異度:Grade1(NA2,MI1)
ER:(+) PgR:(+) 10%以上を陽性とする。
ER:Totale score:8(PS;5,IS;3)
PgR:Totale score:8(PS;5,IS;3)
HercepTest:スコア1+
切片上の腫瘍細胞で細胞膜の20-30%にHER2弱陽性を示しているのでスコア1と判定。
Ki67:腫瘍細胞の10-20%に陽性。
□術後変更点
術前超音波、MRI、CTではリンパへの転移所見なしでしたが、
術後センチネルリンパ生検で1個中1個のマイクロ転移(1.5mm)が判明。
リンパ郭清は省略、当該センチネルリンパ節のみ切除。
上記を踏まえ、以下について質問をさせて下さい。
①モンマトーム後の病理結果から変更がないと仮定した場合、
ルミナルAにつき抗がん剤はしないと考えてよろしいのでしょうか。
ルミナルAでも、4個以上のリンパ転移の場合は検討の余地ありと「ある本」を読み理解したのですが、
(間違っていたらご指摘下さい。)私はリンパ郭清しておらず、実際何個あったのかは不明なので
他の基準で該当していない限り、上記基準では必然的にやらないことになるのではと思ってしまいます。
②マイクロ転移の場合、非センチネルリンパへの転移確率は約20%とのことですが、
再発予防として脇も放射線の対象になると考えてよろしいですか。
また、対象となる場合、脇の照射位置はどのように決定されるのでしょうか。
万一、予防的照射をしない場合、3ヶ月ごとの超音波が望ましいとのお話も読みましたが、
大学病院につき、技師が行うことになると思うと不安があります。
(診察室にも超音波はあり、主治医が必要と判断すればすぐに診て頂ける環境ですが、
術後の定期検査は技師になると思われるので予防的照射を希望しています。)
③放射線治療を行う場合、トモセラピーが望ましいでしょうか。
現病院は1台メンテ中につき、なるべく他院を紹介しています。
リニアックでも、無関係部位への照射を防ぐ制御ができるとの主治医の話でしたが本当ですか。
④脇への照射、胸へのブースト照射をした場合、万が一の再発時に制約は出ますでしょうか。
また、胸へのブースト照射の位置はどのように決定されますか。
術前MRI、CTまたは超音波などでしこりのあった場所を判断するのでしょうか。
⑤ホルモン療法でリュ―プリン追加は希望できますか。
色々無知で申し訳ありません。
予後には変わりないと思いつつも、精神衛生の観点からいまさらながらに
全摘+リンパ郭清を希望しておけば良かったとも思ってしまいます。
日々の診察、検査、手術、Q&A、ランニング(!?)等に大変ご多忙な中、
先生の貴重なお時間を頂き誠に恐縮ではございますが、
田澤先生のご意見を頂きたく宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①モンマトーム後の病理結果から変更がないと仮定した場合、ルミナルAにつき抗がん剤はしないと考えてよろしいのでしょうか。」
⇒実際は「KI67は手術標本で測定すべき」となりますが、「変更がない」と仮定しているわけですから、その通りです。(MI:mitotic indexも1だから可能性は高いようです)
「ルミナルAでも、4個以上のリンパ転移の場合は検討の余地あり」
⇒あくまでも「昔風の考え」にすぎません。(St. Gallen2015ではそうなっていますが、実際は無関係と思います)
「私はリンパ郭清しておらず、実際何個あったのかは不明」
⇒微小転移なので、それ以上はないと考えましょう。
「再発予防として脇も放射線の対象になると考えてよろしいですか。」「また、対象となる場合、脇の照射位置はどのように決定されるのでしょうか。」
⇒微小転移であれば、放射線は必須ではないと思います。(IBCSG 23-01)
 「放射線が必須」としているのは「腋窩(肉眼的)転移2個までで省略した場合」のデータです。 (ACOSOG Z0011)
「③放射線治療を行う場合、トモセラピーが望ましいでしょうか。」「リニアックでも、無関係部位への照射を防ぐ制御ができるとの主治医の話でしたが本当ですか。」
⇒腋窩照射では殆ど差はでないでしょう。
「胸へのブースト照射の位置はどのように決定されますか。」「術前MRI、CTまたは超音波などでしこりのあった場所を判断するのでしょうか。」
⇒その通りです。
「脇への照射、胸へのブースト照射をした場合、万が一の再発時に制約は出ますでしょうか。」
⇒無関係です。
「⑤ホルモン療法でリュ―プリン追加は希望できますか。」
⇒年齢的にも、それでいいでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生
毎日お疲れのところ、Q&Aの運営ありがとうございます。
また、先日は術後の治療方針についてご回答頂き誠にありがとうございました。
正式な術後病理結果が出ましたが、またいくつか疑問が湧いたため、ご回答を頂きたく存じます。
□モンマトーム結果
左乳房下外側に1.2cm 硬がん主体の浸潤がん
核異度:Grade1(NA2,MI1)
ER:(+) PgR:(+) 10%以上を陽性とする。
ER:Totale score:8(PS;5,IS;3)
PgR:Totale score:8(PS;5,IS;3)
HercepTest:スコア1+
切片上の腫瘍細胞で細胞膜の20-30%にHER2弱陽性を示しているのでスコア1と判定。
Ki67:腫瘍細胞の10-20%に陽性。
□術後病理結果
# 簡単な説明のみで詳しい結果は頂けませんでした。
後日改めて頂く予定です。
左乳房下外側に1.2cm 浸潤がん
核異度:Grade1
ER:(+) PgR:(+)
HercepTest:スコア0
Ki67:10%
断端陰性(距離不明)
術前超音波、MRI、CTではリンパへの転移所見なしでしたが、
術後センチネルリンパ生検で1個中1個のマイクロ転移(1.5mm)が判明。
リンパ郭清は省略、当該センチネルリンパ節のみ切除。
現在、リンパ節含めた放射線治療中でブースト照射も行います。
終了後はホルモン療法を予定しています。
上記を踏まえ、以下について質問をさせて下さい。
①HercepTestがモンマトームで「1+」→病理で「0」となることはあるのでしょうか。
モンマトームの結果では、組織の染色写真も付いており、上記コメントでした。
②主治医が術中しこりがあった部分に目印の金属を入れていたと放射線科医から聞きました。
初耳で驚いたのですが、そのような対応はよくあることですか。
また、想像で結構ですので、それはどんなもので、埋めたままで問題ないと思われますか。
放射線科医に聞いたところ、手術のことなので主治医に聞いてくれと言われました。
③ホルモン療法で、ジェネリックを使用するようです。
私は先発を希望していますが、田澤先生の病院でもジェネリックですか。
こちらのサイトでは、先発の方も多いようですが…。
大学病院だと先発を処方しにくいとかあるのでしょうか。
④リュ―プリンも希望していますが、主治医は難色を示しています。
リュ―プリンの有無で再発率と生存率は変わりますか。
関係あるか分かりませんが、生理は重い方で最近早くなり23,24日周期です。
⑤2年前から鉄欠乏性貧血です。
主治医は無関係と言いますが、関係あるように思えてなりません。
手術をしたので、改善しますでしょうか。
⑥今からでも卵子保存はできるものでしょうか。
手術前は考えられなかったのですが、多少考えるようになりました。
⑦ハイパーサーミアについて、田澤先生のご見解をお教え下さい。
当然のごとく、標準治療ではありませんが、気になります。
質問多数で、ほとんどが主治医に聞くべき内容で恐縮ですが、診察が来月であり、主治医は標準治療を徹底される印象で、患者の希望が組み込まれにくいと思われます。
お忙しい中大変恐れ入りますが、田澤先生のご意見も伺いたく、宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「①HercepTestがモンマトームで「1+」→病理で「0」となることはあるのでしょうか。」
⇒ごくごく、普通のことです。
 HER2の「1+」と「0」を区別する必要等全くありません。
「術中しこりがあった部分に目印の金属を入れていた」
⇒クリッピングといいます。
 
 これは(少なくとも私の認識では)「乳房温存術が普及し始めた初期の頃に、(術後照射の目印として)良く行われていた」やり方です。
 乳房温存術自体が普通になってくるに従って、クリッピングをすることはなくなってきました。(私自身は、この10年以上は全く行っていません)
「初耳で驚いたのですが、そのような対応はよくあることですか。」
⇒前述のように
 過去には良く行われていました(温存術後10年以上のマンモなどで、時々遭遇します)
 しかし、現在はあまり行われなくなっていると思います。(少なくとも私の知る限り)
「また、想像で結構ですので、それはどんなもので、埋めたままで問題ないと思われますか。」
⇒チタン製のホッチキスのようなものです。
 問題ありません。
「私は先発を希望していますが、田澤先生の病院でもジェネリックですか。」
⇒患者さんからの希望がなければ、「先発」にしています。
「大学病院だと先発を処方しにくいとかあるのでしょうか。」
⇒病院事情はありそうです。
「④リュ―プリンも希望していますが、主治医は難色を示しています。」
⇒??
 理由が解りません。
 37歳と言う年齢であれば「むしろ一般的」でしょう。
 ASCOのガイドラインでも、そのようになります。
「リュ―プリンの有無で再発率と生存率は変わりますか。」
⇒(タモキシフェンに)LH-RHagonistを併用することによる優位性はSOFT試験では以下の2群では「有意差を持って改善」というデータがあります。
1.35歳未満
2.化学療法を行った集団
○つまり、37歳である質問者には微妙に当て嵌まりませんが、(一般的に)40歳未満には行うことも多いわけです。
「2年前から鉄欠乏性貧血です。主治医は無関係と言いますが、関係あるように思えてなりません。手術をしたので、改善しますでしょうか。」
⇒無関係です。
 ただし、貧血の原因は「月経による出血が一因」でしょうから、LH-RHagonistをを行えば(それにより月経が止まるので)結果として「貧血も改善」することでしょう。
「⑥今からでも卵子保存はできるものでしょうか。」
⇒勿論です。
「ハイパーサーミアについて、田澤先生のご見解をお教え下さい。」
⇒特に勧めることはありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生
日々お疲れのところ、Q&Aの運営ありがとうございます。
毎日拝見しています。
また、先日は質問にもご回答頂きありがとうございました。
「クリッピング」の件、ご説明頂きありがとうございました。
温存手術の歴史を感じる手術だったということですね。
主治医は(おそらく)50代ですので、合点がいきました。
放射線医はやりやすいと仰っていたので、それはそれで良かったとします。
LH-RHagonistを主治医が難色を示している理由については、田澤先生が気分を害されるのではないかと思い省略していたのですが、
LH-RHagonistをあえてするなら、(保険診療外ですが)アロマターゼを併用するとのお考えだったからです。
私についてはそこまでの高リスクではないとの判断で、タモキシフェン単独(しかも後発)と考えていらっしゃるのだと思います。
主治医はとても気さくな方ではありますが、治療法のことになると別で、言い出しづらい雰囲気でどうしたらいいか今も困惑しています。
また、1点気になることがありますので質問させて下さい。
センチネルリンパ生検を行い、脇に1~2cm程度の傷があります。
術後、その傷の上と下に合計3つ位小さい塊が触れます。
ケロイド体質なので、術後の腫れのようなものかと思い気にしていなかったのですが、最近また急に気になり始めました。
病院に電話したところ、①水が溜まっているか、②手術による組織の凹凸のいずれかなので次回診察日(4月)で結構ですと言われました。
このようなことはよくあることでしょうか。
(微小転移1.5mmがあったので気になっています。)
お忙しい中何度も質問をしてしまい、大変恐縮ですが、田澤先生のご回答を頂きたく宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
微小転移があったことで気になる気持ちも解りますが…
どう考えても「術後早期にリンパ節転移が触れるようになる」など「想像する必要は全く」ありません。
病院のいうように4月に超音波してもらいましょう。
あまり細かいことを気にしていると「ストレス」となり、かえって良くありません。
「LH-RHagonistをあえてするなら、(保険診療外ですが)アロマターゼを併用するとのお考えだった」
⇒(担当医の考えは)全く「不可解」です。
 臨床試験で「LH-RHagonist+アロマターゼ」>「LH-RHagon
ist+TAM」となったからと言って、「LH-RHagonist+TAMが有効では無い」と言う意味ではないのですが…
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生
日々お忙しい中、Q&Aの運営ありがとうございます。
このような場に深く感謝致します。
また、先日も質問にご回答頂きありがとうございました。
外来にて、術後の詳細な病理結果を頂きましたので教えて頂きたく存じます。
長文となることをお許し下さい。
[病理診断] Carcinoma of the left
breast,BP+SNB;Darea,7x6x12mm,invasive ductal carcinoma,scrirrhous carcinoma, f(+),ductal spread(+),surgical margin(-),ly(-),v(-),pT1c,pN1mi(1/1),Stage
IB(UICC 7th ed.).Nuclear grade1(nuclearbatypiab2,mitotic counts 1).ER;>95%,PgR;>95%,HER2(IHC);score 0,Ki-67
LI;10%.HER2(FISH);HER2/CEP17 ratio 1.29.
[病理所見] 組織学的に、左乳腺部分切除術材料です。
26g、50x41x28mm大の乳腺組織が切除されており、検体中央部に6x5x8mm大の境界不明瞭な硬結を触知します。
組織学的に、比較的小型でN/C比の高い異形上皮細胞が、索上の小集塊を形成し、豊富な繊維性間質を伴って浸潤性に増殖しています。
一部でtargettoid patternの増殖もみられます。
腫瘍細胞はE-cadherin陽性です。
浸潤性乳管がんの所見で、硬癌の像です。
浸潤癌の周囲には充実性増殖を示す乳管内成分もみられます。
腫瘍は周囲脂肪組織へ浸潤しています。
浸潤径は7x6x12mm大で、腫瘍範囲径も同様です。
脈管侵襲は明らかではありません(CD31,D2-40の免疫染色を施行しました)。
切除段端は側部・深部・皮膚側ともに陰性です。
術中迅速診断で報告した通り、センチネルリンパ節には長径約1mmのmicrometastasisを認めます(1/1)。
[臨床所見] Bp+SNBレセプター検索をお願いします。
①「一部でtargettoid patternの増殖もみられます」、
「腫瘍細胞はE-cadherin陽性です」という文言が怖いのですが、硬癌の特徴なのでしょうか。
②「脈管侵襲は明らかではありません(CD31,D2-40の免疫染色を施行しました)」の捉え方について。
染色はしたが、わからなかったということですか。
それとも脈管侵襲はないということだと思われますか。
ly-,v-とはありますが…。
③「Bp+SNBレセプター検索をお願いします」…主治医に向けた文言と推定したのですが、どういうことでしょうか。
④「50x41x28mm大の乳腺組織」「浸潤径は7x6x12mm大」…
一番大きい12mmのところが28mmしか取っていないということですか。
安心できる結果ですか。
⑤放射線後初めての診察でしたが、術部は診察しませんでした。
そういうものですか。
前回質問させて頂いたセンチネルリンパ節の上下の凹凸の件を訴えたところ、切り口を手で軽く揉んで「問題なし」だけでした。
超音波で診て欲しかったのですが…。
主治医曰く、術後1年以内の再発は出会ったことがない。
1年後の超音波はするが、それも不要だと思っている。
とのことです。
手術直後主治医から告げられた1.5mmの微小転移は1mmだったようですが、郭清していないので超音波だけ田澤先生に診て頂くということはできないでしょうか。
術後1年にマンモと超音波(技師)だけとのことで、不安です。
⑥貧血で通院しているクリニックで乳癌を告げたところ、(勝手に)CEAの管理が追加されていました。
頻繁には不要と思いますが、CEAだけ見ておけばよいでしょうか。
CA15-3とは連動しますか。
お忙しい中いつも沢山質問して申し訳ございませんが、
ご回答を頂きたく宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「①「一部でtargettoid patternの増殖もみられます」、「腫瘍細胞はE-cadherin陽性です」という文言が怖いのですが、硬癌の特徴なのでしょうか。
⇒正確に言うと「targetoid pattern(間質浸潤した癌細胞が乳管を同心円状に取り囲むよう見える様子)」は浸潤性小葉癌と硬癌の「両方に特徴的」なので、その鑑別のために「E-cadherin」で染色するのです。
 つまり
 硬癌 targetoid pattern(+) and E-cadherin(+)
浸潤性小葉癌 targetoid pattern(+) and E-cadherin(-)
となります。
「②「脈管侵襲は明らかではありません(CD31,D2-40の免疫染色を施行しました)」
の捉え方について。染色はしたが、わからなかったということですか。それとも脈管侵襲はないということだと思われますか。」
⇒脈管侵襲無です。
「ly-,v-とはありますが…。
③「Bp+SNBレセプター検索をお願いします」…主治医に向けた文言と推定したのですが、どういうことでしょうか。」

⇒この標本は「乳房温存+センチネルリンパ節生検」のものである。という確認記載と、(忘れずに)「レセプターも検索するように」という担当医へ向けたメッセージです。
「④「50x41x28mm大の乳腺組織」「浸潤径は7x6x12mm大」…一番大きい12mmのところが28mmしか取っていないということですか。安心できる結果ですか。」
⇒最大浸潤径(12mm)は、長軸方向(50mm)かもしれませんね。
 この文面からはわかりません。
「⑤放射線後初めての診察でしたが、術部は診察しませんでした。そういうものですか。」
⇒決まりはありません。
 そのような医師は多いようです。
「主治医曰く、術後1年以内の再発は出会ったことがない。」
⇒これは「その通り」だと思います。
 私の前回の回答『どう考えても「術後早期にリンパ節転移が触れるようになる」など「想像する必要は全く」ありません。』も参考にしてください。(せっかく、回答したのだから、少しは信用してもらわないと困ります。冗談です)
「郭清していないので超音波だけ田澤先生に診て頂くということはできないでしょうか。」
「術後1年にマンモと超音波(技師)だけとのことで、不安です。」

⇒同じ様な境遇の患者さん達が如何に多いか!
 特に「市川外来の看護師」は良く知っていると思います。
 緊急性は無いですが、大丈夫です。
「頻繁には不要と思いますが、CEAだけ見ておけばよいでしょうか。CA15-3とは連動しますか。」
⇒連動する事も多いですが…
 私の印象では…
 若干CA15-3の方が鋭敏のように感じています。
 やはり「CAE CA15-3(両方)」がいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問6】

質問
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
日々お忙しい中、Q&Aの運営ありがとうございます。
また、先日は質問にご回答頂きありがとうございました。
またしても、懸念事項がありメールさせてください。
これまでの経緯です。
昨年1月乳房温存術+センチネルリンパ節生検(微小転移あり、リンパ郭清省略)→放射線25+5回。
→ノルバ服用中(アゴニストなし)。
[病理診断] Carcinoma of the left
breast,BP+SNB;Darea,7x6x12mm,invasive ductal carcinoma,scrirrhous carcinoma, f(+),ductal spread(+),surgical margin(-),ly(-),v(-),pT1c,pN1mi(1/1),Stage
IB(UICC 7th ed.).Nuclear grade1(nuclearbatypiab2,mitotic counts 1).ER;>95%,PgR;>95%,HER2(IHC);score 0,Ki-67
LI;10%.HER2(FISH);HER2/CEP17 ratio 1.29.
[病理所見] 組織学的に、左乳腺部分切除術材料です。
26g、50x41x28mm大の乳腺組織が切除されており、検体中央部に6x5x8mm大の境界不明瞭な硬結を触知します。
組織学的に、比較的小型でN/C比の高い異形上皮細胞が、索上の小集塊を形成し、豊富な繊維性間質を伴って浸潤性に増殖しています。
一部でtargettoid patternの増殖もみられます。
腫瘍細胞はE-cadherin陽性です。
浸潤性乳管がんの所見で、硬癌の像です。
浸潤癌の周囲には充実性増殖を示す乳管内成分もみられます。
腫瘍は周囲脂肪組織へ浸潤しています。
浸潤径は7x6x12mm大で、腫瘍範囲径も同様です。
脈管侵襲は明らかではありません(CD31,D2-40の免疫染色を施行しました)。
切除段端は側部・深部・皮膚側ともに陰性です。
術中迅速診断で報告した通り、センチネルリンパ節には長径約1mmのmicrometastasisを認めます(1/1)。
元々左胸の方が大きかったのですが、術後左胸がさらに大きくなっている気がします。
最近は胸だけでなく、背中の方まで膨らんできて違和感があります。
再発か?はたまたリンパ浮腫なのか不安です。
先月診察があり主治医にも訴えましたが、そうだねぇのみであり、超音波は術後1年の年明けとなってしまいました。
しかも技師の超音波とわかり、かねてから田澤先生の超音波を希望していましたが、今回その気持ちが決定的となりメールした次第です。
去年と同じような不安な気持ちで正月を迎えることだけは避けたいと思うのですが、年内に診て頂くにはどのようにしたら良いですか。
やはり水曜の予約外外来が早いでしょうか。
(実は一度予約外外来に行きましたが、時間の制約があり途中で帰宅せざるを得ませんでした。)
さらに不安を増大させる事項として、①鉄欠乏性貧血で通院中の医院で測っているCEA(術前1.3→術後0.9→1.0→1.5)の上昇と②超音波での肝内結石の発見(同医院)があります。
①は誤差、②は乳がんとは無関係とは思うのですが、不安に拍車がかかっています。
毎日お忙しい中恐縮ですが、
ご返信を頂きたく宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。
「年内に診て頂くにはどのようにしたら良いですか。」
⇒主治医をもう少し信用してあげましょう。
 もしも「緊急性」があったら、さすがに主治医もみてくれるでしょう。
 
「やはり水曜の予約外外来が早いでしょうか。」
⇒緊急性がないのでお勧めしません。
「CEA(術前1.3→術後0.9→1.0→1.5)の上昇」
⇒これは1000% 無意味な心配です。(この程度では、上昇とは決していいません)
「超音波での肝内結石の発見」
⇒これも癌とは10000%無関係です。
 冷静になりましょう。
「①は誤差、②は乳がんとは無関係とは思うのですが」
⇒解っているのなら…
 もう少し主治医を信用して冷静になりましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問7 質問】

性別:女性
年齢:38歳
いつもお忙しい中ご回答頂きありがとうございます。
今回も宜しくお願い致します。
術後1年の超音波(技師)で、術部付近に青と赤の光がありました。
技師に緊張が走り、白黒画面からサーモグラフィー的画面に切り替え、その後再度脇をチェックして郭清はしていないかと聞かれました。
(センチネルのみ実施、微小転移ありで脇照射)
私は再発かと落胆しましたが、その後の主治医の診察では何もありませんとのこと。
画像は診察室に連携されておらず、技師の所見のみによる回答のようです。
このように、何もないのに(正常組織でも)青と赤の光が映ることはあるのでしょうか。
最初に癌と診断された時に見た青と赤の光が思い出され、不安を拭えません。
また、次回の超音波はさらに1年後となりそうですが、問題ないのでしょうか。
お忙しい中申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。
今回、質問者は「ドップラー」について誤解されているようですが、それ以上にご指摘したいのは…
担当医が「何もありません」と言っているのに、それを信用せずに不安となるようでは、「全く診療になっていない」という事実です。
「白黒画面からサーモグラフィー的画面に切り替え」
⇒ドップラーで「血流」を見ているだけです。
「このように、何もないのに(正常組織でも)青と赤の光が映ることはあるのでしょうか。」
⇒正常組織でも血流は(当然)あります。(血流が無ければ酸素も栄養も取り込めないですよね?)
「また、次回の超音波はさらに1年後となりそうですが、問題ないのでしょうか。」
⇒(実際に診察していない)私が回答すべき事とは思えませんが…
 冒頭でコメントした通り、「担当医をそこまで信頼できないようでは、全く診療の意味がない」ということを指摘しておきます。