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がんの腫瘍の大きさと乳頭腫の再発予防について

[管理番号:1455]
性別:女性
年齢:44歳
お世話になります。
いつも大変勉強になり、このQandAに感謝しています。
両側乳がんで、8月に両側とも部分切除しました。
左:浸潤性乳管がん(エコー19.2mm)
  11mm×9mm, pT1c, f
断端陰性
  Histological grade 1(腺管形成1)
  Ki67-index 8.3%
  センチネルリンパ生検陰性(0/2)
右:乳管内乳頭腫(エコー8mm)+DCIS
  pTis, 断端=乳頭腫陽性、DCIS陰性
  外科生検目的で左の手術時に同時摘出の結果が上記
左右とも、ER>90%, PgR≒100, Her2=1+(陰性)
9月8日からタモキシフェン単剤、9月25日から両側放射線治療中です。
10年前に卵巣内膜症により、片側+盲腸完全切除、もう片側部分切除、低用量ピル
を8年ほど飲み続け、自己判断でやめた一年半後の今年6月に上記乳がんが判明しま
した。
【質問1】
左の腫瘍の大きさが結局よくわかりません。エコーだと、初診の6月には「14.2mm」
と言われ、手術直前に「19.2か、もう少し幅をとって23くらい?いずれにしてもス
テージ1」と言われました。検査報告書は上記の通り(11×9)なので主治医に尋ね
たら「これは診断材料なので」とおっしゃいました。この経過から腫瘍の大きさの推
測はつきますでしょうか。
【質問2】
生理周期のせいか、乳頭腫側の乳房が中でプリプリと張って痛みがあります。乳輪に
沿って切開した手術傷の端から「乳汁か脂肪の溶けたもの(主治医の判断)」が溢出
しており、ホルモンが活発なのかと思うと、タモキシフェンだけで大丈夫なのか、と
ても不安になります。
私は、、がんはもちろん断端陽性だった乳頭腫も再発を避けたいのです。タモキシ
フェンだけではなくLH-RHアゴニストで生理を止められないかと希望したのですが、
主治医は「乳がん治療としてはいらない、生理をとめるなら婦人科で相談して」と言
います。
ちょうど、今回のMRIによって「(残した側の)卵巣が腫れている」と指摘があった
ので、婦人科を受診しましたが「ピルは、乳がんになったことと関係ない!」とわた
しが話をする前から医師は怒り出し、ちょっとどうしたらいいかわかりません。
婦人科にもまたがる話で申し訳ありません。乳頭腫の再発予防を考えても、LH-RHは
過剰でしょうか。このままプリプリと痛い感じや溢出は様子見でいいのでしょうか。
田澤先生のお考えをお聞かせいただきたく、お願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
左pT1c(11mm), pN0, luminal A
右pTis, cN0, luminal A
十分な早期乳癌です。
標準療法は「タモキシフェン単剤」です。
LH-RHagonistの適応は無いです。
 
「この経過から腫瘍の大きさの推測はつきますでしょうか」
⇒11mmです。 これが「最大浸潤径」となります。
 担当医の「これは診断材料なので」というコメントは意味不明です。
 
「タモキシフェンだけではなくLH-RHアゴニストで生理を止められないかと希望した」
⇒担当医のいうように「本来、LH-RHagonistの適応は無」ではありますが、ご本人が
希望するのであれば「やってあげてもいい」とは思います。
 
「乳頭腫の再発予防を考えても、LH-RHは過剰でしょうか。」
⇒LH-RHagonistが本当に「乳頭腫の再発」に有効なのかは不明です。
 ただ、「癌の再発予防」として、ご本人が「希望するのであれば」断らなくてもい
いとは思います。
 
「このままプリプリと痛い感じや溢出は様子見でいいのでしょうか」
⇒創部の治癒不全ということでしょう。
 いずれ治癒するとは思います。
 癌の再発とは無関係です。