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乳頭分泌

[管理番号:3220]
性別:女性
年齢:40歳
現在、両胸各一か所ずつから出ている乳頭分泌についてご相談です。
左(薄黄色)は2月に市川を受診し、乳管造影をしていただき、異常なしとの結果がでました。
右(くすんだ黄色)は分泌量が少ないため、検査をしなくても大丈夫でしょうとの診断を頂きました。
その節はありがとうございました。
その結果を受け安心し、その後は押したりもせずに過ごしておりましたが、
最近、両胸とも症状が変わってきており、特に左からは血液と思われる濃い赤茶色(透明感のないもの)の液体が出ている事に気が付き、
非常に心配しています。
5月に左側の下着に濃い茶色のシミを発見し、血液の様に見えましたが、
どこから出たか分からず様子を見ていました。
6月に入り押してみると、一つの穴から薄黄色の分泌液が出ましたのでティッシュに取ってみたところ、薄黄色に丸く染みた中央に小さいですが濃い赤茶色のシミができました。
やはり血液の様に見えます。
そして7月、つい先日も同じ様な事がありました。
薄黄色の分泌液は押せば簡単に出てきますが、毎回茶色のシミが確認できるわけではありません。
薄黄色だけの時も溶け込んでいて、目には見えないだけではないか?と心配しています。
2月に検査をして頂いた穴だろうと思いますが、確実ではありません。
また、右も以前より分泌量は増え、色も若干濃くなっているように感じ、こちらも心配しています。
やはり一つの穴からで、押せば必ず出てきます。
5月中旬に初期流産(6週)し、今後も体外受精の胚移植を控えており、かなり神経質になっています。
(現在治療は休んでいて、3か月ほど薬は使っていません)
正直この二つの分泌のために最近は生きた心地がせず、次の胚移植も前に進めなくなりました。
日常生活にも支障が出てきているため、両方とも検査をお願いして、スッキリしたい気持ちが強くあります。
ただ、左は検査するとなると数か月は空いているとは言え、同じ乳管に2度目となります。
造影剤を同じ乳管に複数回入れて検査する事で身体(その乳管)に害が出る事はありますか?(一時的にも将来的にも)
1年半前にも線維腺腫の手術時に左胸は造影MRIを行っていますので実際は3回目となります。
その他、造影剤は卵管造影でも使用した事があります。
正常であれば正常と言う結果をいただき、平常心を取り戻したいです。
検査をお願いできますでしょうか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
乳頭分泌に神経質になる気持ちも解りますが…
ひとまずは冷静になりましょう。
左は2月に私が乳管造影しているのですね。
(その結果)正常乳管だったわけだから
そして「左右」とのことですが…
確率論的に言って、「左右同時に乳管内病変が出現」<「ホルモンバランスによる分泌」 となることには異論はないでしょう。
●通常、「両側」と聞いた時点で「経過観察」としてもいいくらいです。(極端な話)

「1年半前にも線維腺腫の手術時に左胸は造影MRIを行っていますので実際は3回目となります。その他、造影剤は卵管造影でも使用した事があります」
⇒「乳管造影の造影剤」は極めて少量(僅か0.2~0.3cc程度 しかも血中ではなく乳管内)なので、全く無関係です。
「正常であれば正常と言う結果をいただき、平常心を取り戻したいです。検査をお願いできますでしょうか?よろしくお願い致します。」
⇒それは構いません。
 但し「正常乳管と診断」しても「不安が残る」ようならば、「診断的治療として、いきなり乳管区域切除を行う」という選択肢もでてきます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回、両胸各一か所ずつから出ている乳頭分泌について相談をした者です。
先生、お忙しい中、回答を下さりありがとうございました。
先生からのメールを読んで、自分が神経質になり過ぎていて、本来はさほど心配のいらない症状なのだと理解しました。
今はもう少し様子を見るほうが良いかと考えています。
その上でいくつか質問をさせてください。
私が一番気になっているのは、左から血液のような赤茶色の分泌液が時々でることです。
(一度は自然に下着についた)
しかし、2月に乳管造影で正常だったところに、4か月ほどで新たな病変が発生したと言う可能性はやはりかなり低いと思われますか?
多少の赤茶色が出ても、それはホルモンバランスによる分泌と考えて大丈夫でしょうか?
今後どれくらいの頻度で分泌物を確認すればいいですか?
また、様子をみていく中で、どのような症状になれば受診をするのが妥当でしょうか?
質問が多いですが、回答いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「先生からのメールを読んで、自分が神経質になり過ぎていて、本来はさほど心配のいらない症状なのだと理解しました」
⇒それは良かったです。
 是非『今週のコラム 36回目 もしも本当に「乳管内病変が存在」すれば、「浮きの方から沈んでくれる」ので心配ありません。』も、ご一読ください。
 
「しかし、2月に乳管造影で正常だったところに、4か月ほどで新たな病変が発生したと言う可能性はやはりかなり低いと思われますか?」
⇒低いです。
 実際、私の経験上「本当に乳管内病変がある」場合には「分泌は本人が困るぐらいの量」となっています。
 逆に言うと「困る位の量」であれば、「例え、それが良性であったとしても」治療的意義として「乳管区域切除」すべきとも言えます(私はその考え方です)
  ♯一言付け加えるとしたら「乳管内病変がある乳管は(現在、癌が無いとしても)将来的に、その同一乳管から癌が発生するリスクが高い」ことは明らかなのです。
 『今週のコラム 12回目 「この乳管系を完全に切除」することで、それ(後で周囲に癌が発生する事)も予防できるのです。』も、是非ご一読を。
 
「多少の赤茶色が出ても、それはホルモンバランスによる分泌と考えて大丈夫でしょうか?」
⇒「赤茶色」は「乳管内の出血」でしょう。 それは「分泌亢進の際にたまたま起こる」ことがあります。
 
「今後どれくらいの頻度で分泌物を確認すればいいですか?」
⇒黙っていても下着につく訳でなければ…
 通常の自己検診のように…
 月に1回で十分(すぎ)です。
 
「また、様子をみていく中で、どのような症状になれば受診をするのが妥当でしょうか?」
⇒量が増えた時です。
 本当に乳管内病変があれば「必ず増え」ます。
 「浮きは沈むまで待つ」必要があります。 そして、「日常生活に不便な位でる」ようでは、(癌でなくても)「乳管区域切除すべき」と思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生、回答を下さりありがとうございました。
コラムも読ませて頂きました。
たいへん勉強になり、参考になりました。
前回の回答の中に分泌物の量についての内容がありましたので、
現在の私の様子についてもう一点質問をさせて下さい。
お忙しい中、何度もしつこく申し訳ありません。
左の分泌についてです。
現在、自然に下着について困っているという事はありません。
しかし、絞らないでも出てくる状態です。
これは最近気が付いたのですが、
分泌物が出ている穴のすぐ横の乳輪付近を、一本の指で軽く押しただけで出てきます。
(なので寝返りなどでも出ているかもしれません)
ポイント(場所)が決まっていて、そこを指の腹で押さえると簡単に必ず出てきます。
少し長く押さえつづけると垂れてきます。
このように、かなり出やすくなっている事と、あるポイントを軽く押さえると出ると言う変な出方をしますが、大丈夫でしょうか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「かなり出やすくなっている事と、あるポイントを軽く押さえると出ると言う変な出方をしますが、大丈夫でしょうか?」
⇒分泌の出方としては「確かに、気になる」状況ですね。
 「分泌量が増えている」のであれば「検査の対象」とはなります。
 しかも「ポイントを軽く押さえると分泌」というのは「そのポイントに乳管内病変がある際」に起こる症状です。
 
 本当に前回「乳管造影した乳管」なのですか?(乳管造影で正常なのに、乳管内病変が潜んでいるケースはかなり稀ですが)
 それでも…
 分泌の状況だけで判断すれば、
 ○乳管造影を「もう一度行う」か、「乳管区域切除」してしまうか。となります。