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乳腺症なのか、乳がんなのか、わからなくて悩んでいます。

[管理番号:2567]
性別:女性
年齢:72歳
田澤先生、よろしくお願いいたします。
72才の母のことで、悩んでいます。
① 昨年12月下旬に、初めて個人病院で乳がん検診を受けました。
マンモグラフィーと超音波検査をしてもらい、画像では何もなく大丈夫と先生は言われました。
ただ、母は2日前ぐらいに1時間ぐらい左胸が痛い時があったのを思い出して先生に伝えたところ、細胞診をして、結果は脂肪だけでした。
念のため大学病院の紹介状を出しますと言われました。
②大学病院で2月の上旬に再びマンモグラフィーと超音波検査をしました。
放射線部?の先生の診断結果は、
マンモグラフィーでは石灰化が散在性で左胸C領域に小腫瘤が区域性に集族して内部に石灰化を伴う。
構築が乱れており乳頭方向に小結節状、管状の構造が連続しており、同部にも石灰化を随伴してます。
右乳腺にも楕円形の小腫瘤を認めます
超音波では左C領域には区域性に不整な拡張乳管と小嚢胞が分布しています。
内部には石灰化と思われる高エコースポットを認め、ドプラーでも血流が増加しています。
DCIS、乳頭腺管癌などの管内病変主体の乳癌の可能性があります。
マンモトームなど、精査をしてください。
NT=20mm。
右乳腺にも小嚢胞を散見します。
左腋窩リンパ節の皮質がやや肥厚しています。
細胞診でも確認ください。
右腋窩に有意なリンパ節腫大は認めません。
総合して、左C乳管拡張、石灰化でDCISの可能性があり、左腋窩リンパ節は細胞診でも確認ください。
と書いてありました。
担当医の先生は、特に超音波でもみてはいただけず、放射線の先生の診断結果で、マンモトームをしましょうと言われました。
③個人病院と大学病院で診断結果が違いすぎて悩んでいます。
マンモトームを受けてしまえば、はっきりして良いのかもしれませんが、母はすごいアレルギー体質で造影剤でも嘔吐が止まらなかったり、麻酔も大量に使ったこともなく、とても不安に感じています。
喘息で治療中で、咳が出だすと止まらなくなり、少しの咳でもマンモトームの刺す場所が変わるから、咳も我慢して、1時間以上動かないでくださいと言われ、検査に恐怖を感じています。
あと十代の時に腎炎をしてから内出血をふだんでもしやすく、刺したあとに血が止まらなくなるのではと言う恐怖もあるようです。
④一ヶ月の間に診断結果が、こんなに違い、どちらを信じれば良いのかわからず、違う病院に最初からみていただこうと思いますが、大学病院でマンモトームを受けたほうが良いのでしょうか?
母の体質や体調がマンモトームを耐えれるか、とても心配ですが大丈夫でしょうか?
今度みていただこうとしている国立系の病院は年間手術数は190ぐらいで、手術担当医は3人のようです。
大学病院より良い病院なのでしょうか?
母は現在は左胸の痛みは、ほとんどなく、たまに少しチクチクするぐらいのようです。
まとまりのない文章で、わかりずらいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「マンモグラフィーでは石灰化が散在性で左胸C領域に小腫瘤が区域性に集族して内部に石灰化を伴う。構築が乱れており乳頭方向に小結節状、管状の構造が連続しており、同部にも石灰化を随伴」
「超音波では左C領域には区域性に不整な拡張乳管と小嚢胞が分布」
⇒これは(典型的な)「腫瘤非形成性病変」です。
 これを診断するには「マンモトーム生検が有用」です。
 ○トップページの「腫瘤非形成性」を是非参考にしてください。
 そこには、「診断に、(通常のバネ式針生検ではなく)マンモトーム生検が勧められる」理由も記載してあります。
 
「左腋窩リンパ節の皮質がやや肥厚しています。細胞診でも確認ください。」
⇒これは絶対やってはいけません。
 腋窩リンパ節の細胞診は全く無意味です。
 そもそも「乳癌の診断もないのに、リンパ節の細胞診は無意味」であり
 (もしも乳癌の診断が付いた際には)術中にセンチネルリンパ節生検を行うべきなのです。
 
「喘息で治療中で、咳が出だすと止まらなくなり、少しの咳でもマンモトームの刺す場所が変わるから、咳も我慢して、1時間以上動かないでくださいと言われ、検査に恐怖を感じています。」
⇒マンモトーム生検は、そんなに「大それた」検査ではありません。
 構える必要は一切ありません。
 咳で多少、体動があっても問題ないし、
 そもそも「1時間以上」もかかりません(慣れた術者が行えば) 20分位で終わってしまいます。
 
「十代の時に腎炎をしてから内出血をふだんでもしやすく、刺したあとに血が止まらなくなるのではと言う恐怖もあるようです。」
⇒圧迫するから大丈夫です。
 
「一ヶ月の間に診断結果が、こんなに違い、どちらを信じれば良いのかわからず、違う病院に最初からみていただこうと思いますが、大学病院でマンモトームを受けたほうが良いのでしょうか?」
⇒大学病院がいいかは疑問ですが…(あまりマンモトームが上手くなさそうです)
 しかし、「マンモトームは是非受けるべき」です。
 
「母の体質や体調がマンモトームを耐えれるか、とても心配ですが大丈夫でしょうか?」
⇒全く問題ありません。
 私はいままで膨大な数のマンモトーム(ステレオガイドも超音波ガイドも)をしていますが、「患者さんの年齢や体質で、できない」と判断した事は1度もありません。
 
「今度みていただこうとしている国立系の病院は年間手術数は190ぐらいで、手術担当医は3人のようです。大学病院より良い病院なのでしょうか?」
⇒大学病院よりはいいとは思います(一般論として)
 
「母は現在は左胸の痛みは、ほとんどなく、たまに少しチクチクするぐらいのようです。」
⇒症状は無関係です。
 せっかくの「早期発見(となるかもしれない)のチャンス」是非、最短距離でいきましょう。