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乳腺炎が治らず不安です。

[管理番号:5256]
性別:女性
年齢:30歳
現在13週の妊婦です。
乳腺炎と診断されましたがなかなか完治せず困っております。
6月下旬頃から右胸が張った感じがあり、触るだけで痛みを伴うようになりました。
妊娠によるものかと思い経過を見ましたが、しこりができ、赤み・しこりの熱感・乳房の変形が見られたため乳腺科を受診したところ、7月(中旬)日乳腺炎と診断されました。
原因は
①上の子(2歳10ヶ月)の授乳中、右胸の母乳が出ずらくなり、3ヶ月ほど左胸のみで授乳していました。
2歳6ヶ月・今年の3月まで授乳していました。
その際の右胸の母乳の処理をあまりしなかったこと。
②つわりにより体重が5kg落ち、免疫力が低下していたため何らかの形で細菌が入ったと診断されました。
高熱が出たこと、抗生剤での改善が見られなかったため、7月(中旬)日切開しました。
膿はチーズ状のものが出て、広範囲にありそうと言われました。
その後自分でも押して出すようにとのことでしたが難しく、7月(下旬)日右胸の左側のしこりからドロっとした膿が大量に出ました。
しかし右上のしこりが未だに大きく、赤みを帯びており常に痛みがあります。
膿が出る気配もなく、右肩甲骨付近も針で刺すような痛みが出てきて眠れません。
妊娠初期ということで麻酔も少量しか使えず、最小限の処置と言われました。
歩くときも痛いので実家でほぼ寝ている状態です。
治る見通しがなく不安です。
今後このまま様子を見るしかないのでしょうか?江戸川病院にて診察した場合、違う治療方法もありますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を読む限り肉芽腫性乳腺炎だと思います。
「適当な理由」を説明されているようですが、「肉芽腫性乳腺炎を知らない」乳腺外科医による「苦肉の解釈」のようにしか思えません。
是非、『5206 乳癌について』を参照してください。
理由としては
1.乳腺炎は授乳期の①「鬱滞性乳腺炎」もしくは陥没乳頭による②「乳輪下乳腺炎」しか通常ありません。(その「どちらにも当てはまっていない」ようです)
2.「乳房の変形」「抗生剤が無効」「ドレナージしても改善しない」
「今後このまま様子を見るしかないのでしょうか?」
⇒ステロイド治療ですが…
 妊娠中であることがネックとなります。
 産科との連携が必要となります。
「江戸川病院にて診察した場合、違う治療方法もありますか?」
⇒問題は妊娠中であることです。
 肉芽腫性乳線炎だとして、治療法は
 1.ステロイド
 2.マンモトームで削り尽くす
 3.手術的に肉芽を除去する。
 となります。一般的には1で(場合によっては2を併用しながら)肉芽は(1年以上かけて)消退していきます。
 糖尿病などでステロイドが駄目な方には2のみで粘ることとなります。
 3が必要となることは極めて稀です。
☆妊娠中なので「そもそもステロイドが使えるのか?」とか(マンモトームをするために)「麻酔薬はどの位使えるのか?」という問題があります。
 当院は婦人科が実質機能していないので、妊娠中の方には不向きなのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

その後の対応について
性別:女性
年齢:30歳
お忙しい中ご返答ありがとうございます。
現在は右胸・右上部分の固かったしこりが赤みを帯び、ぶよぶよとしている状態です。
たまに針でチクチクと刺すような痛みがあります。
前回のご返答に対し、再度お聞きしたく思いご質問させていただきました。
①ステロイド剤が有効とのことですが、やはり使用しないと完治は難しいでしょうか?
現在通っている乳腺科では自壊するかもと言われており、膿が出れば多少は治る見込みがあるのか、ステロイド剤を使用しないと根本的には治らないのか教えていただきたいです。
産婦人科では、使用上限はありますがステロイド剤は使用できなくもないと言われましたが、私自身は使用したくないと思っております。
②千葉県・東京都近辺で産婦人科、乳腺科の両方を備えている病院ではどちらが適しているでしょうか?差し支えなければ教えていただきたいです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
肉芽腫性乳腺炎は(幸い)「良性疾患」です。
(おそらく)大部分の患者さん達は(肉芽腫性乳腺炎を知らない)乳腺外科医に「不適切な治療」をされながらも「いつかは治癒(時間はかかるとは思いますが)」していっていると想像しています。
その意味で「ステロイドは必須ではない」わけです。
「①ステロイド剤が有効とのことですが、やはり使用しないと完治は難しいでしょうか?」
⇒上記通りです。
 前回の回答に記載したように…
 肉芽腫性乳線炎だとして、治療法は
 1.ステロイド
 2.マンモトームで削り尽くす
 3.手術的に肉芽を除去する。
 となります。一般的には1で(場合によっては2を併用しながら)肉芽は(1年以上かけて)消退していきます。
 糖尿病などでステロイドが駄目な方には2のみで粘ることとなります。
 ○局麻がどの程度使用できるのか?という問題がありますが、2によるvolume reductionも有効です。
「ステロイド剤を使用しないと根本的には治らないのか教えていただきたいです。」
⇒上記通りです。
 糖尿病などでは「マンモトームで根気よく削る(volume reduction)」場合もあるし、(妊娠中はできませんが)「手術して肉芽をそっくり取り除く」という方法もあるのです。
「②千葉県・東京都近辺で産婦人科、乳腺科の両方を備えている病院ではどちらが適しているでしょうか?
差し支えなければ教えていただきたいです。」

⇒残念ながら「肉芽腫性乳腺炎」を認識して適切な治療をしている病院を私は知りません。(本当に残念です)