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乳管内乳頭腫

[管理番号:6553]
性別:女性
年齢:43歳

田澤先生、初めまして。
43歳女性です。

毎年、会社の健康診断で乳房のエコー検査を受けていて右胸にのう胞があると記載されていました。

2017/10に受けたエコー検査後、初めて検診センターから連絡があり、のう胞の中に8~9ミリの影がある。

多くの場合は分泌物だが、悪性も否定できないので再検査をして下さい。
そんなに心配することはないけ
ど、何ヶ月も放置することはないようにと話がありました。

翌週11月、近くの総合病院にてマンモとエコー検査を実施。
マンモには何も映っておらず、エコー検査ではやはりひょうたん型ののう胞の中に8ミリほど影が確認できる。
細胞診をしましょうということで、翌週細胞
診検査を受けました。
細胞診検査の結果、判別困難、第1に乳管内乳頭腫を疑うというものでした。

主治医の先生は、エコーの画像がいびつだったので心配したが、先生ご自身でエコーで観たら変な形ではなかった。
細胞の画像を見てもおそら
く乳管内乳頭腫だろうと、経過観察で3か月後、再受診して下さいということになりました。

2018/2再受診
エコー検査では、大きさは変わらず。
先生は少しでも大きくなっていたら、針生検しようと思ってたけど、どうしようかな?前回、判別困難だったので、造影剤を入れてのMRI検査をしましょうということになりました。
結果、画像でハッキリと腫瘍が確認でき、針生検をしようということになり、悪性の疑いと言われました。
そして良性でも悪性でも、摘出手術は必要と言われました。
針生検時、15分ほどで終わると聞いていましたが、30分ほどかかり、採取するのにかなり苦戦されているように見えました。
バチッ、バチッと2回くらい採取していたと思います。

2018/3/○○針生検の結果、乳管内乳頭腫とのことで、手術してもしなくても私の好きにしていいということでした。
半分は悪性を覚悟していて手術も受けるつもりでしたので、良性で安心はしましたが、手術の件は即答できず、それではまた経過観察3か月後の6月でいいのでは?という話になりました。

2018/6/○○再受診、エコー検査を行い、大きさは変わらず、前回、乳管内乳頭腫の可能性になってるので(→前回は確定診断じゃなかったの??と
思いましたが)手術するかしないかは貴方がもう不安で不安で仕方がないなら取ってしまった方がいいし、このまま経過観察でもいいし、どうしますか?と言われました。

この先、悪性が発生するかもしれないという
不安を抱え過ごすのも辛いので、手術をお願いすることにしました。
主治医の先生は
6月で退職するので、新しい先生に引き継ぐ。

7/○に新しい先生の外来を受診して下さい。
手術は全身麻酔で1時間程、シコリの周りを含め、切除し病理検査に回す。
入院期間は2泊から3泊
との話でした。

①手術をすることを決意したのですが、本当に手術が必要なのか?経過観察でいいのか?

②針生検で乳管内乳頭腫と診断されたが、細胞がうまく取れてなくて、
悪性の可能性もあるのか?細胞がうまく取れてなかった場合、病理検査時にわかるのか?

③この手術の難易度はどうなのか?
(前回、手術の内容を聞いた時は、シコリが触れないので、エコーを見ながら、手探りで摘出するので、時間がかかるとおっしゃってました。)

⑤他の病院へかかった方がいいのか?それとも新しい先生に話を聞いてみた方がいいか?とりあえず、手術を受けて、病理検査へ回してもらった結果をみた方がいいのか?

⑥田澤先生でしたら、どのような処置をされるのか?どのようにアドバイスされるのか?
乳房は鏡で見る限り、形に変化はなく、シコリも触れません。
乳頭から
分泌もありません。
シコリの場所は乳頭から2センチくらい下辺りです。
お忙しいところ、申し訳ありませんが、お返事頂けますと有難いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「①手術をすることを決意したのですが、本当に手術が必要なのか?経過観察でいいのか?」
→当然、手術すべきです。
 そもそも「嚢胞内腫瘍」は「細胞診で悪性が否定できない」時点で「摘出生検すべき」なのです。
 理由
  1.病変全体で評価しないと診断確定は困難
  2.嚢胞内腫瘍は針生検など太い針を刺すことは好ましくない(液体と一緒に細胞が離散する可能性)として(私は)嚢胞内腫瘍では針生検は原則として行いません。(乳腺外科医の考え方によって行う医師もいます)

「②針生検で乳管内乳頭腫と診断されたが、細胞がうまく取れてなくて、悪性の可能性もあるのか?」
→「大いに」あります。(上記参照)

「細胞がうまく取れてなかった場合、病理検査時にわかるのか?」
→(手術で)「病変全体を摘出」することが「真の確定診断」となります。

「③この手術の難易度はどうなのか?」
→簡単な手術です。
 通常「局麻(入院せず)」で行う手術です。

「手術を受けて、病理検査へ回してもらった結果をみた方がいいのか?」「⑥田澤先生でしたら、どのような処置をされるのか?」
→上記コメントのように…
 そもそも「細胞診をした時点」で、(無駄な経過観察やMRIなどせずに)「外科的生検」を勧めます。

 
 

 

質問者様から 【質問2 外科的生検の結果】

性別:女性
年齢:43

田澤先生、こんにちは。

管理番号:6553 乳管内乳頭腫でご回答を頂きましたものです。
先日はアドバイス頂きありがとうございました。
7月下旬に乳房切除術を受けました。
10mm程の腫瘤でピンポン玉くらいの大きさ程摘出して頂きました。
非触知であり奥の方にあるということで全身麻酔で4日間の入院でした。

先日、病理検査の結果を聞いてきました。
結果は
ADENOMYOEPITHELIOMAということででした。
悪性は見られず、良性と思われるということでした。

主治医から細胞診と針生検で診断された乳管内乳頭腫だったら、良かったけど、経過観察と言われました。

私自身も今までと違う診断だったので、ADENOMYOEPITHELIOMAの
ついてNETで色々と調べていたら、悪性も見られて、再発と転移を繰り返すとあったので、恐ろしくなっております。

私の経緯は
2018/2 MRI検査結果がカテゴリー5乳がん疑い
2018/3 針生検の結果がINTRADUCTAL PAPILLOMA
2018/7 外科的生検の結果がADENOMYOEPITHELIOMAです。

これは外科的生検を、受けても確定診断はできず、経過観察が必要な状態なんでしょうか?手術で取ったところ以外に悪性のものが潜んでいるかもしれないので経過観察ということなんでしょうか?
良性と診断したが、やはり悪性だったということもあるのでしょうか?

外科的生検をすれば、白黒ハッキリするものと思っていたのですが、
ADENOMYOEPITHELIOMAがとても稀な病変とNETで記載があり、また主治医からも経過観察と言われ、混乱しております。

田澤先生の見解をお聞かせ頂きたく、またメールさせて頂きました。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「これは外科的生検を、受けても確定診断はできず、経過観察が必要な状態なんでしょうか?」
→自分で手術をしているのでコメントは難しいですが…

 せっかく全身麻酔で手術をしているところからは、(incisional biopsyではな
く)病変全体を確実に切除する「excisional biopsy」となっているはずです。『今週のコラム 134回目 これでADHならば「ADHは確定診断」してもいいのです。(FEAも同様)』をご参照のこと。

「手術で取ったところ以外に悪性のものが潜んでいるかもしれないので経過観察ということなんでしょうか?」
「良性と診断したが、やはり悪性だったということもあるのでしょうか?」

→考えすぎです。
 せっかく「全身麻酔」なのだから、「余裕を持った切除をしているはず」です。
 ご安心を。

「ADENOMYOEPITHELIOMAがとても稀な病変とNETで記載」
→それほど(ネットで言われているほど)稀な疾患ではありません。

 私は少なくとも20症例以上の経験がありますが、何か問題(再発や転移)があったことは一切ありません。

「主治医からも経過観察と言われ、混乱」
→単純に…

 その主治医にとっては「珍しい」のかもしれませんね。
 それであれば、経過観察したくなるのかもしれません。
 ご安心を。