Site Overlay

乳癌と診断されたが悪性葉状腫瘍の可能性があるのか

[管理番号:2332]
性別:女性
年齢:44歳
こんにちは。
先日人間ドックで腫瘤があり再検査で乳癌と診断されたため色々と心配になりこのサイトにたどり着きました。
紹介状を書いていただいたので3日後に大きな病院で診てもらう予定ですが、人間ドックで診ていただいた際に先生に幾つか気になることを言われたので質問させて下さい。
私は5年前に腫瘤があり細胞診をした際、葉状腫瘍で経過観察と言われました。
その後も毎年人間ドックを受けておりましたが、毎年乳腺腫瘤で経過観察となっており、精密検査まではいきませんでした。
しかし、昨年の11月中旬の人間ドックで腫瘤が大きくなっているので再検査しましょうと言われ細胞診しました。
その時は細胞が上手く採れていなかったらしく、1ヶ月後にまた来てくださいと言われ再度細胞診をした結果、がん細胞があります。
乳癌です。
と宣告されました。
検査病院だったこともあり大きい病院へ紹介状を書いてくださるとのことでした。
どこの病院に行きたいのか決めてくださいと言われ思いつく大きい病院に紹介状を書いて頂きました。
予約は診断されてから10日後です。
その際気になったことがあるのでお伺いします。
①私の場合腫瘤がかなり深いところにあり細胞がとりにくかった。
②1ヶ月で腫瘤が大きくなっている。
③境界線が分かりにくい。
④脇のリンパが波打っていないので転移は大丈夫かと思う。
⑤全摘手術だと思う。
と言われました。
ガンと言われているので悪性だがリンパ節転移も今の所なく、腫瘤の大きくなる速度が速いということは悪性葉状腫瘍であることも考えられますか?
今の所悪性葉状腫瘍の場合、切除後に転移していても治療法がないと聞きます。
病院に行くまで不安でなりません。
何かわかることがあれば教えてください。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「私は5年前に腫瘤があり細胞診をした際、葉状腫瘍で経過観察」「毎年乳腺腫瘤で経過観察となっており、精密検査まではいきませんでした。しかし、昨年の11月中旬の人間ドックで腫瘤が大きくなっているので再検査しましょうと言われ細胞診しました。その時は細胞が上手く採れていなかったらしく、1ヶ月後にまた来てくださいと言われ再度細胞診をした結果、がん細胞があります。乳癌」
⇒「5年前から(同じ検診機関で経過観察していた)腫瘍」が今更「乳がん」と言う事ですか?
 質問者には「あまりに気の毒」だと思ってしまいました。
 
「①私の場合腫瘤がかなり深いところにあり細胞がとりにくかった。」
⇒そんなことは(精度の悪い事にたいする)言い訳には「全く」なりません。
 
「②1ヶ月で腫瘤が大きくなっている。」「③境界線が分かりにくい。」「④脇のリンパが波打っていないので転移は大丈夫かと思う。」「⑤全摘手術だと思う。」
⇒これらの特徴は「癌でも全く矛盾しません」
それよりも重要な事は「細胞診で癌と悪性葉状腫瘍を間違うことはない」事実です。
○質問者は「悪性」という括りで「癌と悪性葉状腫瘍が細胞診でも解りがたい」というイメージを持っているようですが、「実際は全く別物であり、細胞診でこれらを間違う事はありません」
 ♯悪性葉状腫瘍は「あくまでも葉状腫瘍」であり、(癌とは違って)「間質の細胞が悪性化」するのです。(癌は上皮細胞の癌化なのです)
 
「悪性だがリンパ節転移も今の所なく、腫瘤の大きくなる速度が速いということは悪性葉状腫瘍であることも考えられますか?」
⇒その「特徴」だけからは「葉状腫瘍」も鑑別に挙がりますが、上記でコメントした様に「細胞診で癌と(悪性)葉状腫瘍を間違う筈がない」のです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
先日乳癌と診断されたが悪性葉状腫瘍の可能性もあるのかと質問させて
いただいた者です。
(管理番号2332)
回答してくださって本当にありがとうございました。
昨日紹介状を書い
ていただいた大きい病院へ診察に行ってまいりました。
人間ドックの結果と、その時行った針生検の結果と超音波検査結果の写真を持って行きましたが、再度超音波検査を行いながら、先生にも今までの経過をお話ししました。
田澤先生にご相談していた悪性葉状腫瘍の件も超音波を見る限り葉状腫瘍ではないと言われました。
しかし、がん細胞は確実にあるので乳癌であることは間違いないとのこと。
その後、組織診、CT、レントゲン技師による超音波検査を行いました。
転移しているかについても伺ったのですが、全ての検査結果が出ないとなんとも言えないが、毎年人間ドックで検診を受けていたのなら多分大丈夫だと思うと言われました。
検査の順番として、超音波、組織診、CT、最後にレントゲン技師による超音波だったのですが、念のため右側も診ておきますと言われ検査したところ、右の乳房にも何かあるようで、先生に右は無いって言われましたか?と質問されました。
右胸は検査機関でも何も言われなかったので安心していたのですが、もしかしてこの1ヶ月で転移した?と心配になりました。
また、組織診をしている際に先生が、細胞が硬くて形状がはっきりしていない為、的が定まらず3本採ればいいところ、採れないなーと言いながら7回くらいパチン、パチンととっていました。
どうゆうことですか?
と質問したところ、私の場合、がん細胞のまわりにモヤっとした物があり、エコーでみながら針を刺しても分かりにくいと言われました。
益々わからなくなりましたが、それ以上は気持ちが焦ってしまい聞けませんでした。
右胸にも何かあると言われましたし、進行の早い乳癌では無いかと不安でなりません。
そこで先生に質問なのですが、①毎年人間ドックを受けているなら転移の心配は無いのか。
②右胸にも何かあると言われましたが1ヶ月で転移することがあるのか。
もしくは新たに出てきたのか。
③細胞が硬くて形状がはっきりしない。
周りにもやっとしたもの(触ると何となく硬い)があるのはどの様なガンの種類なのか。
また、今度結果を聞きに行く際に聞いておいたほうが良いこと等教えてください。
情報が少ないのに質問が多くて申し訳ありませんがどうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「悪性葉状腫瘍の件も超音波を見る限り葉状腫瘍ではないと言われました。しかし、がん細胞は確実にあるので乳癌であることは間違いない」
⇒前回コメントした様に…
 (仮に、画像で似ていたとしても)細胞診では「癌と悪性葉状腫瘍」は全く別物であり、区別ができるのです。
 
「安心していたのですが、もしかしてこの1ヶ月で転移した?と心配になりました。」
⇒ありえません。
 最も重要な事実をお話しましょう。
 「乳癌が対側乳房に転移すること」は絶対に無いのです。
 ○もしかして、(診療経験が十分でない医師だと曖昧に答えるかもしれませんが)
私は膨大な数の症例を見ているので自信を持ってコメントしますが、「右乳腺と左乳
腺は天と地ほども離れていて、絶対にお互いに転移などしない」のです。
  唯一の例外は「局所進行(腫瘍が皮膚を破り潰瘍を形成し、これが片胸全体に拡がったりすると、皮膚転移から体側乳房へ転移する」ことがあります。(ただし、これは相当物凄い状態であり、毎日ガーゼを何枚も取りかえたりする程の状況で質問者が心配する事では一切ありません)
「また、組織診をしている際に先生が、細胞が硬くて形状がはっきりしていない為、的が定まらず3本採ればいいところ、採れないなーと言いながら7回くらいパチン、パチンととっていました。どうゆうことですか?」
⇒本来、患者さんに心配されるようではいけません。
 「硬くて針が通り難い」などなのでしょう。
 私なら、「硬そうだ」と判断したら、最初から「マンモトーム生検」します。
  ♯マンモトーム生検であれば、どんな硬い組織でも「バターにナイフが通るように」きれいに入ります。
 
「右胸にも何かあると言われましたし、進行の早い乳癌では無いかと不安でなりません。」
⇒(前述したように)右胸は無関係ですし、「5年前からあった」わけですから「進行が早い」というのはナンセンスです。
 
「そこで先生に質問なのですが、①毎年人間ドックを受けているなら転移の心配は無いのか。」
⇒ここでいう「転移」とは「遠隔転移」ですか?
 乳癌の初期治療の段階で「遠隔転移」など、そもそも心配する必要ありません。
 
「②右胸にも何かあると言われましたが1ヶ月で転移することがあるのか。」
⇒前述したように、「絶対に左乳癌の転移ではありえません」
 
「もしくは新たに出てきたのか。」
⇒おそらく、「左だけに注目していて」右には「そもそも前からあった」と思います。
 
「③細胞が硬くて形状がはっきりしない。周りにもやっとしたもの(触ると何となく硬い)があるのはどの様なガンの種類なのか。」
⇒「硬癌」もしくは「小葉癌」だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。
先日乳癌か悪性葉状腫瘤か質問させて頂いた者です。
(管理番号2332)
先日行った組織診の結果を聞きに昨日病院へ向かったのですが、3本検体をとったのに一本も細胞が取れなかったと言われました。
では癌ではないということですか?と質問したところ、がん細胞は確実にあります。
(針生検=他の検査機関での採取、エコー、CTの検査結果からすると)但し、手術は癌の大きさや種類等、きちんと調べてからでないとできませんと言われ、来週マンモトーム生検を受けることになりました。
今週はもう予約で埋まっているから来週になったのですが、人間ドックからすでに3カ月が経過しており転移や腫瘍が大きくなるのではと不安ですと申し上げたところ、がん細胞ですから1分1秒で絶対進行しないかといえばそうとは限らないが、やるべき検査はきちんとやらないと前には進めませんと言われました。
それはそうなのですが、そんなに検査は時間がかかるものなのでしょうか?
因みにCTの結果、転移は見られず、大きさは約2.6センチだそうです。
早期に入りますか?と伺ったところ、早期というのは腫瘍が2センチ以下なので大きさだけでいうと早期ではありませんとのこと。
そして手術する際は、私の場合、腫瘍が真ん中にあるため、全摘ですとはっきり言われました。
そこまでわかっていて組織診で組織がとれないことなんてあるのでしょうか?
不慣れな先生なのかと不安になってしまいました。
このくらいかかるのは普通でしょうか?また、その間に進行するのか不安です。
お忙しいのにすみません。
回答頂けますと助かります。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「3本検体をとったのに一本も細胞が取れなかった」
⇒「病変が2.6cm」ということを考えると「大変情けない」と言えます。
 ○「(バネ式)針生検で失敗した」訳だから、(お詫びの感覚で)「その場でマンモトーム生検してあげる」というのが「人の道」ではないかと思います。
 
「そこまでわかっていて組織診で組織がとれないことなんてあるのでしょうか?」
「不慣れな先生なのかと不安になってしまいました。」
⇒おっしゃる通り、そんな医師ばかりでは「困ったもの」です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

管理番号2332
田澤先生こんにちは。
お忙しいのにすみません。
先月マンモトーム生検してようやく検査結果が出ましたのでまた質問させてください。
浸潤性乳管癌
腫瘍系2.6センチ
HER2陽性3+
リンパ節転移なし
グレード2期A
治療法は左全摘後、センチネルリンパ節生検、自家組織による同時再建手術術後、HER2療法+化学療法+ホルモン治療〔3年間薬を服用〕とのことでした。
ただし、今回あまりに検査に時間がかかり不安なこともあったため、病院を変える予定です。
先生なら同じ治療法で勧めますか?
子供はいないのですが、フルタイムで仕事をしていてできるだけ休みたくはありません。
個人差はあると思いますが、先生の患者様で同じような症例の方でどのくらいで仕事復帰されていますか?抗がん剤使用していても仕事は出来るのかが不安です。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
5年前から乳腺腫瘍として経過を見てきた
細胞診も1度目を外し、2度目で乳癌 ☆ここは「危ない」ところでしたね。
 もしも「検体不良」でも「それでは半年」とされた可能性があります。 日常に(とんでもない)リスクが潜んでいることを痛感させられます。
更に針生検も外され、
ようやくマンモトームで診断
⇒とても悲しくなります。
 質問者だけではなく、世の中に「多くの方がこのようなリスクに曝されている」ことを改めて痛感させられました。
 ○自分の身は自分で守る大切さを、(質問者には大変気の毒でしたが)他の閲覧者が感じとってもらえば幸いです。
cT2(26mm), cN0, cStage2A, luminalB(HER2陽性)ですね。(ER, PgRの記載はありませんが、ホルモン治療の予定より推測しました。 それにしても「3年間」とは?)
 
「先生なら同じ治療法で勧めますか?」
⇒luminalB(HER2陽性)であれば
 ①抗HER2療法 ハーセプチン+化学療法(TCなど)
 ②ホルモン療法 タモキシフェン5年(何故3年となっているのでしょうか?)
 手術は26mmだから「温存も可能」に思いますが、「変形や乳房内再発のリスク」などを回避しての選択でしょう。
 
「個人差はあると思いますが、先生の患者様で同じような症例の方でどのくらいで仕事復帰されていますか?」
⇒仕事復帰はほぼ100%です。
 ただ、「抗がん剤中に仕事を継続するか、(その期間中には)休職するのか」は人それぞれとなります。
 
「抗がん剤使用していても仕事は出来るのかが不安です。」
⇒メニューによります。
 HER+TCならば、「点滴後3-4日」は大変かもしれません(2日間くらいは仕事を休むor 時間短縮)
 ♯それでも、4回だけです。
 その後のHER単剤14回は「何の副作用もありません」
○仕事復帰事態には「何ら問題無」です。
 最初の4回だけは「対処が必要」となるだけです。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生こんにちは。
以前に抗ガン剤を使用しても仕事復帰は可能かと
質問させていただいたものです。
4月頭に左乳房全摘し、(丁度真ん中あたりあり、術後形がいびつになるということで全摘にしました)センチネルリンパ陰性、腫瘍浸潤径24㎜、ER80%、PGR20~50%、HER2 +3のステージ2という結果でした。
病院からは術後補助療法として、ドセタキセル+ハーセプチン3週毎投与を4回、その後ハーセプチン単独を9ヶ月間、その後ホルモン療法5年~10年という治療方法を呈示していただきました。
これはアンスラサイクリンレジメンということですよね?
いつも田澤先生はHER2療法は普通の抗ガン剤治療より副作用の点から言うとlowriskと仰っていますが、分子標的薬のハーセプチンと合わせて点滴するから副作用が少ないのですか?
それともその後のハーセプチン単独の際は副作用が少ないということですか?ドセタキセルだけではいい細胞も攻撃してしまうがハーセプチンを一緒に投与すると悪い細胞のみを攻撃し、副作用が比較的らくという解釈であっているのでしょうか?
また、同時再建する予定でしたが、そこの病院は切除術と同時にはできないと言われたため、まだ再建していません。
いつのタイミングで再建するのが良いでしょうか?
遅くともどのくらいまでにはという目安があれば教えてください。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「ドセタキセル+ハーセプチン3週毎投与を4回、その後ハーセプチン単独を9ヶ月間、その後ホルモン療法5年~10年という治療方法を呈示していただきました。これはアンスラサイクリンレジメンということですよね?」
⇒「非」アンスラサイクリンレジメンです。
 アンスラサイクリンはAC(A:アドリアシン)/EC(E:ファルモルビシン)/FEC(E:ファルモルビシン)などで投与されます。
 質問者はlow riskなので「非アンスラサイクリンレジメン」でいいと思います。
 ちなみに「ドセタキセル単剤を用いた非アンスラサイクリンレジメンは珍しい」とは思います。
 一般的には「TC ドセタキセル+エンドキサン」とするか「パクリタキセル」とすることが多いです。
 ♯パクリタキセルは毎週なので「通院が可哀想」という理由かもしれませんね。
 
「分子標的薬のハーセプチンと合わせて点滴するから副作用が少ないのですか?
それともその後のハーセプチン単独の際は副作用が少ないということですか?」
⇒ハーセプチン単剤の際には副作用は「少ないというよりは、無い」と言っていいと思います。
 
「ドセタキセルだけではいい細胞も攻撃してしまうがハーセプチンを一緒に投与すると悪い細胞のみを攻撃し、副作用が比較的らくという解釈であっているのでしょうか?」
⇒残念ながら(ハーセプチンと同時に投与するからといって)「ドセタキセルは正常細胞もターゲットとしてしまう」ことになります。
 ○ハーセプチンを行う分、(併用する抗ガン剤を)「タキサン単剤」としても十分に効果が期待できるということです。
 それに比較すると(抗HER2療法ではない)「通常の化学療法では、十分効かせるにはアンスラサイクリンも必要なことが多い」ということです。
 
「いつのタイミングで再建するのが良いでしょうか?」
⇒ドセタキセルが終了し「ハーセプチン単剤となれば、いつでも可能」です。
 
「遅くともどのくらいまでにはという目安があれば教えてください。」
⇒遅い場合には何年でも(例え10年以上でも)全く構いません。