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乳がん ルミナルB 遠隔転移あり、治療中です。

[管理番号:5524]
性別:女性
年齢:45歳
45歳の妻が今年の2月初頭、乳がんに罹りました。
先ず、診断書の内容と現状をご説明差し上げます。
【組織所見】
右乳房針生検:
組織学的に針生検標本には、大小不同濃染腫大核を有するN/C比の高い異形上皮が、
所々に不整管状・乳頭状構築を
形成しつつ小胞巣状~索状・小塊状に浸潤性増殖する硬癌相当の浸潤性乳管癌が認められます。
一部、invasive micropapillary pattern を呈しています。
腫瘍の組織学的garade
3(3+3+2) で、
免疫組織化学的には、Her2 score 3+, er5+2=7(strongly pojitive),pgr5+3=8(strongly pojitive),
ki67標識率は約50%を示します。
*核腫大、核形不整、核の大小不同、核クロマチン増量した異形細胞が小塊状や弧在性に多数認められます。
 癌腫のリンパ節転移が考えられます。
CTの画像診断では、肝臓・肺・背骨に影があり、肝臓については確実に転移巣だと言われました。
【治療】
ステージ4(とは言われませんでしたが)、手術不能で延命治療のみしか出来ませんと伝えられ、科学治療を即刻開始。
ファーストラインの「ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタ」を3週間間隔で、7回継続しました。
4回目以降は辛くて辛くて、3週間隔を4週、5週間隔にして継続し、7回目で医師から
「ここまで」で終わりましょうと告げられ、8回目(9月7日)から「ハーセプチン+パージェタ+ゾメダ」に切替。
9回目を9月(下旬)日に行いました。
2回のCT検査をしており、結果は下記の通りです。
≪5月(中旬)日≫
2月(上旬)日と比較して、右乳管癌原発巣及び娘結節は前回より縮小しています。
右腋窩リンパ節も縮小しています。
その他に病的リンパ節腫大は認めません。
両肺に径数ミリの小結節を多数認めます。
胸膜下の結節は炎症性結節と思いますが、
その他の結節は前回より
縮小しており、多発肺転移と考えます。
肺水は認めません。
肝s3の肝転移も著明に縮小しています。
s4の病変は今回同定困難です。
副腎転移は認
めません。
胆、膵、脾、腎に異常なし。
腹水は認めません。
脊椎々体、左腸骨など骨硬化性変化が多発しており、前回より骨硬化が目立ちます。
骨転移の増悪もしくは治療効果による
骨硬化を考える像ですが、一部前回は低吸収であった病変が高吸収に変化しており、
治療効果を見ている可能性があります。
≪9月(下旬)日≫
5月(中旬)日と比較して、右乳腺に指摘の腫瘤と複数の結節は縮小し、CT上では同定困難となっています。
左乳腺腫瘤は指摘出来ません。
右腋窩リンパ節転移も縮小しています。
新たに腫大したリンパ節は指摘出来ません。
両肺の結節に縮小しているものを複数認めます。
転移の縮小と考えます。
その他両肺に円形、多角形の結節も複数認め、
前回と著変ありません。
肉芽腫などの両性結節の可能性が考えられます。
肺水は認めません。
甲状腺左葉の小低吸収域は著変ありません。
肝s3、s4の転移を疑う腫瘤は著明に縮小し、不明瞭化しています。
新たな肝転移は指摘できません。
両側腎のう胞を認めます。
胆道系、膵、脾、副腎に異常は認めません。
子宮底部に筋
腫を疑います。
腹水は認めません。
脊椎や左腸骨だと、前回CTで骨に淡い溶骨性変化が認められた部位に一致して骨硬化像が出現しています。
骨転移の治療への反応を見ていると考えられます。
【現状】
乳がんのタイプはルミナルBで、その恩恵を受けた治療効果で、最悪の状況が少し改善したのかな、とやや安堵しております。
主治医は「ドセは7回くらいがガイドラインの平均だし、よく頑張ってくれました。これからはハーセプチンとパージェタとゾメダで様子を見ましょう。
休薬する人もいますが、大概はすぐ増悪します。継続をお勧めします、気を抜かないように。」
とのことで、このまま継続し、急変が無ければ4ヶ月先に又CT検査、と言う流れだと思われます。
【ご質問】
 薬剤の恩恵を受けれたこと、ドセ抜きになり強度の副作用から開放されたことで本人も明るさを取り戻りしました。
 寝たきりから動けるようにもなりました。
3回のまともな食事も摂れるようになりました。
状況が状況なので、根治は夢の世界と理解しておりますが、若いし、少しでも長く病状の無増悪を保てれば、と
 思っています。
①この状態から、その他の治療を追加することは可能(推奨できる)でしょうか?
 原発巣の摘出・肝臓の一部摘出・肝臓カテーテル治療、温熱療法など、標準内の治療でも何かとありますし・・・
 しかし、通院院は地域の癌指定病院で(田舎なので治療実績は不明)、ガイドライン通りの化学治療しかしなさそうです。
穿った見方をすれば、遠隔転移で多発してるし、色々試しても「予後」には大差なから・・・的な感じもして、
 じたばたでもしなければ・・・と思ってしまいます。
②この時期からでも、セカンドオピニオンを使う事は適切でしょうか?
 例えば「○○県がんセンター、○○○市立大病院」等、乳腺科の治療実績が高い病院も少し無理すれば行けます。
③今の治療に陰りが出た時、次の手法について、ご意見頂けませんか?
 主治医からは「ドセに戻すことはないですよ」とは伝えられており、又、「この後はカドサイラしか選択肢はないのですか?」
 と聞きましたところ「その時々で薬名は伝えますから」との回答でした。
④最後に、腫瘍マーカーの数値を毎回の血液検査で確認できません。
主治医は「あれは判定に時間を要するから」と説明
 を受けましたが、次回の時も前回の数値は示されません。
私的には腫瘍マーカーで一喜一憂されても困るから、
 あえて示さないのかなぁ?と解釈しておりますが、意図はわかりません。
配慮でしょうか?
 
現状の詳細説明が長文で恐縮です。
宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
抗HER2療法は最も効果を期待できる治療であり、
Pertuzumab+trastuzumab+docetaxelで病勢の改善を達成し、(docetaxel抜きの)
pertuzumab + trastuzumabとして(まずは)維持を測るという状況に辿りついていることは幸いです。
Pertuzumab + trastuzumabで増悪した際には、カドサイラもありますが、(docetaxelの替りに)eriblin他の薬剤を用いることもできますし、(一度trastuzumabから離れて)bevacizumab + paclitaxel やアンスラサイクリン(ECやACなど)もあります。
上記の薬剤を効果的に用いて、高いレベルでの維持に持っていくことです。(その先の先には超長期コントロールを副作用を抑えつつ目標とするのです)
「①この状態から、その他の治療を追加することは可能(推奨できる)でしょうか?」
⇒推奨されるのは、「原発巣の手術」ですね。(体表面だけに、局所コントロールは重要です)
 現時点では抗癌剤が効いているので「肝臓への照射(基本的に手術はしません)」や「骨への照射」も推奨されません。
「この時期からでも、セカンドオピニオンを使う事は適切でしょうか?」
⇒勿論、可能です。
「次の手法について、ご意見頂けませんか?」
⇒上記(冒頭)の通りです。
「配慮でしょうか?」
⇒治療効果判定としては重要です。
 きちんと見せてもらった方がいいです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 再質問 管理番号5524 「乳がん ルミナルB 遠隔転移あり、治療中です。」】

性別:女性
年齢:46歳
再質問 管理番号5524 「乳がん ルミナルB 遠隔転移あり、治療中です。」
随分期間が空いてしまいたしたが、迷いがあり、又、ご質問致した次第です。
前回質問時から2度のCT検査(1月(下旬)日と5月(下旬)日)を経て、病状は維持継続中です。
治療は、昨年10月よりドセタキセル抜きの「パージェタ、ハーセプチン、ゾメダ」で、
3週間ピッチを継続しております。
がん宣告から1年と半分が過ぎました。
5月(下旬)日の検査結果をかいつまんでご報告しますと以下の通りです。
*右乳腺には瘢痕様の構築の乱れを認めますが、乳がん原発巣はCT上同定困難です。
左乳腺腫瘤は指摘出来ません。
*右乳腺CD領域辺縁の腺内リンパ節を疑う小腫瘤は軽度縮小しています。
経過観察下さい。
その他、新たなリンパ節腫大は認めません。
*1月(下旬)日のCT検査結果で認めた多発肺転移と思われる円形結節は縮小したままです。
新たな肺転移は認めません、甲状腺左葉の小低吸収域は著変ありません。
*肝s3、s4の転移も不明瞭化したままです。
新たな肝転移は認めません。
*胸水、腹水は認めません。
子宮底部に筋腫を疑います。
*脊椎、左腸骨などの骨硬化像は著変ありません。
骨転移の治療への反応を見ている疑いがあります。
診断:右乳癌、右腋窩リンパ節転移、肝転移、肺転移に対し、化学療法中。
各々縮小維持。
   右腺内リンパ節は軽度縮小しています。
【質問】
1月の検査結果後、そのデータを元にセカンドオピニオンに行って参りました。
内容は「手術すべきかどうか?」の判断なのですが、簡略化すると以下の様な話になりました。
因みに、治療中のガン〇〇病院は「初診の状況下では手術はしない方針なので当院ではしません。」です。
セカンドを仰いだがん〇〇病院の権威の方も「うーん、あと3、4ヶ月早い発見ならなぁ・・・するだろうけど、
現状ではしないなぁ。
この化学療法を継続して、今の組み合わせの効果が薄れてきたら、カドサイラだね。
エリブリン、ゼローダ+タイケルブなどは、そのあとの作戦になるかな。
タイミングが
合えばカドサイラの前に、
治験に参加してみませんか?効果が期待できる治験があるかもしれないから、そのときは、私に再確認してみて。」でした。
以上の内容は、田澤先生の方針と正反対に思えます。
情報を集めるとステージ4の場合でも条件に適った手術は、
「推奨しない」→「慎重に検討して手術する場合もあり」の潮流なので・・・
ただ、(東海)県の頂点の様な権威に「しません」の意見でしたので、迷いが深まって決断できず。
私は手術を勧めるのですが、当の妻は「手術は怖い」と言い積極的ではない事もあります。
田澤先生が「手術を推奨する理由」としては、憶測で恐縮ですが、
多大な経験値から「確率的に延命効果がある」「確率的にQOLに対して有効」等々の現場を見てきているからであり、
しかし、どうしてがん〇〇病院やがん〇〇病院が「手術しません」となるのか、こちらも多大なデータ集積はあるハズで・・・。
スッキリしませんでした。
無論、個人々々の症例により対応と結果は様々であり、一概に「手術しないデメリットはこうで、するメリットはこうです」
「手術するデメリットはこうで、しないメリットはこれ!」とは行かないのでしょう。
本Q&Aを読めば「あなた方の決断次第!手術すべき!」とおっしゃる先生のご回答かとも思いますが・・・
ご進言お願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
私は、それらの「権威ある」医師達の意見には全く興味ありません。
総じて論ずるとすれば、
現場で治療をしている医師は、しばしば「原発巣=乳腺の癌」がQOLを損なう。
時に「生命予後にも(新たな転移の原因となり)影響する」ことを実感しています。
個々の患者さんが、「どのような状況となると大変な思いをするのか?」という観点で診療していないような医師は「生存率に影響ない=やっても無駄」で片づけることでしょう。
さらに「実際に診療を殆どしていないような医師が沢山いる」大病院で勤務している医師達の中で、診療の中で「手術すべきと思った」としても、「カンファランス」なりで「エビデンスのないことは、やらない」で一蹴されてしまうことでしょう。