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進行が早いタイプの乳癌

[管理番号:5003]
性別:女性
年齢:48歳
はじめまして、
先生の丁寧で誠実なお人柄に感銘を受けて、こちらに質問させていただきたいと思いました。
2年に1回自治体の乳癌検診を受けマンモグラフィーを定期的に撮影しておりました。
48歳になります。
左胸にシコリを感じ2週間くらい前に乳腺外来を受診しました。
針生検後の結果
浸潤性乳管癌と診断。
昨年の3月に撮影したマンモグラフィーには何も写ってなかったのに…
すなわち進行が早いタイプと言う事でした。
病理検査の結果は
トリプルネガティヴで、薬やホルモン治療は効かないタイプ
腫瘍の細胞も不規則で比較的タイプの悪い腫瘍だそうで数値30%
大きさは、1.5センチ
転移はなさそうとの事です。
先ずは抗癌剤が効くのかどうか診るために6週間様子を診て効くようなら半年先くらいにオペ、
効かぬなら8月中にオペになる予定と説明を受けました。
木曜日にCTの検査で転移が無いか確認します。
結果は7月(上旬)日になるそうです。
一般的にはガンを小さくしてから手術するそうで、ガンを先に切り取ってしまう選択もありますが、そうすると抗癌剤の感受性がわからないとの事。
抗癌剤の使用についてなども含めてセカンドオピニオンを検討中です。
進行が早そうとの事で、とても不安です。
田澤篤先生に診ていただきたいのですが、どうすれば良いでしょうか?
どうかよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問者は(当然ながら)今日にでも5000に達する、このQandAを全て読破はしていないでしょう。
もしも、そのようなツワモノであれば、私が「小さくして温存」以外の目的での術前化学療法は認めていないことに気づくことでしょう。
○もう一つ感じるのは、この医師のセンスです。
 現時点で1.5cmの腫瘍が1年以上前のマンモに写っていないことを「進行が早いタイプ」とは… (そもそも、そんな脅かす様なコメントをむやみに発する事自体…)
「3月に撮影したマンモグラフィーには何も写ってなかったのに…すなわち進行が早いタイプと言う事」
⇒??
 1.5cmの腫瘍が1年以上前のマンモで写っていないことは、全く普通のことです。
「腫瘍の細胞も不規則で比較的タイプの悪い腫瘍だそうで数値30%大きさは、1.5センチ 転移はなさそうとの事」
⇒それにしても…
 数値30%とはKi67(MIB-1)のことでしょうが…
 特別高い値ではありません(中間くらいです)
 「比較的タイプの悪い腫瘍」とは核グレードが3などを表現しているのかもしれませんが…
 
 ★シンプルに1.5cmの早期乳癌(ステージ1)であることが「最も重要」なのです。
  頭でっかちに「瑣末な数値に踊らされて、それらを示す事が、あたかも専門家っぽいような気になっているだけ」です。
  予後はステージと関連し、「サブタイプ(腫瘍の性質)は(あくまでも)治療法とのみ関連する」
  それが正しい理解です。
「先ずは抗癌剤が効くのかどうか診る」
⇒全く無駄な行為です。
 ★今度、担当医に会ったら、こう聞いて見てください。
 『何のために、抗癌剤の効果をみるのですか?』
 『(効果の有る無しにかかわらず)トリプルネガティブである以上、術後に抗癌剤はやるべきではないですか?』
 『(術前術後に行う)抗癌剤はアンスラサイクリンとタキサンしか適応がないのに、抗癌剤が効くか試す意味があるのですか?(効果が乏しくても、それに替る抗癌剤は無いのです)』
 『(今なら確実に手術が可能なのに)もしも術前抗がん剤が効かなくて(その為に)転移したり、(腫瘍が増大して)手術不能状態となってしまった場合、先生はそれでいいのですか(責任とれるのですか)?』
 ☆物事はシンプルに考えなくてはなりません。
  抗癌剤は「術前に行っても、術後に行っても予後は変わらない」という大原則があるのです。
  現時点で十分温存手術ができるのに「術前に抗癌剤を行う意味は全くない」
  使う抗癌剤は「アンスラサイクリンとタキサン」しかないのです。他に選択肢が無い以上、(効くとか効かないとかではなく)「再発予防として術後に手堅く行うべき」なのです。
「木曜日にCTの検査で転移が無いか確認」
⇒無駄な被爆です。
 
 1.5cmの癌で「遠隔転移」を調べる必要はありません。(遠隔転移などありません)
「一般的にはガンを小さくしてから手術する」
⇒全くの誤りです。
 質問者自身が「良く考えるべき」です。
「ガンを先に切り取ってしまう選択もありますが、そうすると抗癌剤の感受性がわからない」
⇒(再発しない限り)「術前術後に使用できる抗癌剤は決まっている」のです。
 「感受性とやら」を調べても(それに代わる抗癌剤が無い以上)「全くの無駄」
 (感受性などとは無関係に)「やるべき抗がん剤を粛々と行う」そういうことでです。
『今週のコラム76回目 「手術不能乳癌と転移再発乳癌」は添付文章では「手術不能又は再発乳癌」と一括りにされていることからも解るように、『手術不能乳癌と転移再発乳癌の扱いは一緒』なのです。』をご一読ください。
「進行が早そうとの事で、とても不安」
⇒1.5cmの早期乳癌を…
 患者さんに、そんな「極めて無駄な心配をさせている」ことを、真摯に受け止め、担当医は(術前化学療法中毒になる前に)まず反省すべきです。
「田澤篤先生に診ていただきたいのですが、どうすれば良いでしょうか?」
⇒セカンドオピニオンなら「江戸川病院代表に電話して予約」(現在、江戸川では「セカンドオピニオン」以外、新患予約は行っていません)
 
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