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乳がんと診断されました

[管理番号:607]
性別:女性
年齢:50歳
半年前に、乳がんの無料クーポンがあったのがきっかけで
乳がん検診をうけました。(エコーとマンモグラフィー)
両側の乳房にのう胞が多発していると言うことと、
左の乳房に『多分』線維腺腫と思われるものがあると言われました。
ただし、これは組織を採って調べなければ断言できないので
気になるようであれば紹介状を書きますが、経過観察で半年から一年後に
再検査を受ける事でもいいと思います。
と、言われたので経過観察にしました。
たまたま今月中旬、右の乳房が変形している事に気が付き、近くの病院の乳腺外来を
受診しました(右の乳房の変形はのう胞が原因で、中の水を抜きました)
その時にエコーを撮ったのですが、担当の先生が左の乳房のしこり(約8~9ミリ)が
気になるのでと(半年前に指摘された、多分線維腺腫であろうと思われるしこり)
針生検で組織を三か所採取しました。
結果は『乳管ガンの所見』でした。
その時にもらった組織検査報告書には
 二相性の保たれた乳管ならびに小葉構造が疎な間質とともに増生しており
 線維腺腫ないし腺症に相当する像が大部分をしめるがその中に混在して
 異型性を伴う上皮の乳頭状ないし篩状構造を認め、Nuclear grade3の
 乳管癌の所見である。浸潤はあきらかではない。
と、書かれていました。
担当医から『ガン』と伝えられて、頭が真っ白で先生に何を聞いたらよいのか
又考える事もできませんでした。
お尋ねしたい事は
・報告書の文言が難しく『ガン』と『グレード3』以外はどのような意味なのかが、よくわかりません(grade3の意味はネットで調べ、少しショックを受けています)
・線維腺腫ないし腺症の中に『ガン』が発生するものなのか
・ガンであるならば、この報告書の結果からすれば初期ガンと考えてよいのかです。
ガンの事実を受け入れているつもりですが、心のどこかでまだあきらめがつきません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 検診超音波で「線維腺腫と思われる所見」
 50歳で新たにでた所見であれば、そもそも「乳癌」を考えなくてはいけません。
 50歳で「線維腺腫」ができることは「絶対に無いとはいいませんが」可能性はグンと低くなるのです(20代~30代に比較して)

回答

「報告書の文言が難しく『ガン』と『グレード3』以外はどのような意味なのかが よくわかりません」
⇒それぞれ解説します
「二相性の保たれた乳管ならびに小葉構造が疎な間質とともに増生しており線維腺腫ないし腺症に相当する像」
⇒「二相性の保たれた」
:良性の増殖では上皮細胞に必ず筋上皮細胞が裏打ち(上皮細胞と筋上皮細胞をセットで二相性と表現)しているのです。
 逆に「癌の場合には、(筋上皮細胞を伴わずに)上皮細胞だけが増殖」するのです
:これを二相性の喪失といい癌の根拠の一つとなります。
 つまり、「二相性=良性」と考えて結構です。
 
「乳管ならびに小葉構造が疎な間質とともに増生」
:これは線維腺腫の所見です。
 線維腺腫は(二相性の保たれた=良性)の上皮及び間質の両方が増殖した腫瘍なのです。
 腺症も乳管の(良性の)増生を認めます。
 ♯線維腺腫と腺症は同時に存在することは多いのです。
 
「異型性を伴う上皮の乳頭状ないし篩状構造を認め、Nuclear grade3の 乳管癌の所見である。浸潤はあきらかではない。」
⇒「異型性を伴う上皮の乳頭状ないし篩状構造」
:(異型性を伴う上皮=癌細胞)が乳管内に増殖している所見です。
 これは「浸潤はあきらかではない」と記載通り、「非浸潤癌の所見」です。
 
「線維腺腫ないし腺症の中に『ガン』が発生するものなのか」
⇒「線維腺腫ないし腺症の中」と記載されていますが、実際の「成り立ち」としては
 別々に発生した「線維腺腫」と「乳癌」が『衝突』したと思います。
 決して「線維腺腫から乳癌が発生する事は無い」のです。
 ♯私は病理医ではありませんが、以前『乳腺病理の第1人者に、稀にそのような事がある』と聞いた事があります。
 
「ガンであるならば、この報告書の結果からすれば初期ガンと考えてよいのかです。」
⇒早期癌(非浸潤癌)です。
 しかも「かなり狭い範囲」と考えられます。
 
 
◎私の印象では、「きちんと摘出」すれば、「放射線治療さえも不要」という状態でしょう。
 
 

 

質問者様から 【感想2】

ガンと診断され、検査結果の内容もよくわからないまま
毎日不安な日々を送っていました。
先生のわかりやすい説明と回答で、気持ちが少し楽になりました。
これで前向きに治療に取り組めそうな気がします。
ありがとうございました。