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乳ガンと診断されました。

[管理番号:561]
性別:女性
年齢:42才
こんにちは、初めて相談させてもらいます。
マンモグラフィ、エコーの結果
マンモグラフィには異常なし、エコーでは境界明瞭なしこりと言うことで、念のために6月8日に針生検をしました。
結果は浸潤がんでした。
腫瘍は11mm、核異形グレード3、ki67 70%
言われています。
CT、MRIも済ませ30日に、乳房温存手術を受けることになりました。
ホルモン療法も、有効ですが
抗がん剤も使用します。との話で
バタバタと決まりすぎて、これで大丈夫なのか。
今後の治療も、不安で仕方がありません。
脇のリンパ節が腫れていると言われたことも不安です。脇のリンパ節が腫れているということは、転移しているのでしょうか?
このまま、手術に望んでも大丈夫でしょうか?
まとまりのない、文章ですみません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 文章内に、様々な情報が散りばめられており、状況が完全に解りました。

回答

「ホルモン療法も、有効ですが抗がん剤も使用します」
⇒ここからluminal Bというサブタイプであることが解ります。
 cT1c(11mm), cN(?), luminal B(Ki67=70%)
(参考に)
◎サブタイプとは?
 組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
 エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
 HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
 ⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
 ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
● トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
 ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 
「脇のリンパ節が腫れていると言われたことも不安です。脇のリンパ節が腫れているということは、転移しているのでしょうか?」
⇒リンパ節が「腫れている」というだけでは「転移か、どうかは不明」です。
 リンパ節の「腫れている」原因は①リンパ節転移によるもの、②(針生検などの侵襲による)反応性腫大 の2つがあります。
 転移と決めつけてはいけません。
 ♯腫瘍径11mmという「小ささ」からは②の可能性も十分あります。
 コメントからは担当医が①と②のどちらをより強く疑っているのかは不明です。
 ただ、術中に必ず「センチネルリンパ節生検を行う筈(必ず担当医に確認してください)」なので、その際に「判明」します。
 
「このまま、手術に望んでも大丈夫でしょうか?」
⇒大丈夫です。
 腫瘍径も小さくこのままでも「安全に温存できる」ので、術前抗癌剤の適応はありません。
◎ただ、必ず「センチネルリンパ節生検」を行う事の確認が必要です。
 
 

 

質問者様から 【感想2】

田澤先生、分かりやすい回答ありがとうございます。
あまりにも、早くに手術まで決まってしまって、セカンドオピニオンもできない状況だったので、少し安心しました。
センチネルリンパ生検は、次回診察の際に
担当の先生に確認してみます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは
先日、先生からセンチネルリンパ生検に確認をということだったので、センチネルリンパ生検の有無を聞き
きちんと、担当の先生から検査の内容等を伺い手術に望みました。
センチネルリンパ生検の結果、リンパ節への転移が4個あったため腋窩リンパ節郭清を行いました
腫瘍も小さいため、転移が無いことを祈りながら手術に望みましたが、こういう結果になり
がっかりしています。
他にも、転移しているのでは?など、いろいろ考えて不安になってしまいます。
私のような場合、今度どのような流れで治療が始まるのでしょうか?
痛みもまだ強く、肘の辺りまでしびれているような違和感もあり、なかなか回復している感じがなくこの先の治療もやっていけるのか、予後は大丈夫なのか、先生はどのように思われますか?
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 まずは手術が終り、一息ついた所だと思います。

回答

「センチネルリンパ生検の結果、リンパ節への転移が4個あったため腋窩リンパ節郭清を行いました」
⇒腫瘍径11mmでは、リンパ節転移があったことは残念なことでした。
 ただ、「リンパ節転移」はあくまでも「局所」です。
 術後の「放射線照射で局所治療をきっちりやる事」で大丈夫です。
 
「他にも、転移しているのでは?など、いろいろ考えて不安」
⇒心配なのは解りますが…
 他にも転移(つまり遠隔転移)は「リンパ節(局所)とは全く別」です。
 心配ありません。
 
「今度どのような流れで治療が始まるのでしょうか?」
⇒ルミナールBなので「抗がん剤を行う」こととなります。
 「抗がん剤」⇒「放射線」♯ホルモン療法は併用となります。
 抗がん剤のレジメンとしては「アンスラタキサン」>「TC」の選択となると思います。
 アンスラタキサンは6ヵ月程度となります。
 
「痛みもまだ強く、肘の辺りまでしびれているような違和感もあり、なかなか回復している感じがなく」
⇒手術の精度の問題はありそうですが…
 必ず回復するから心配ありません。
 
「この先の治療もやっていけるのか」
⇒大丈夫です。
 乳癌の術後補助療法としての「抗がん剤」は必ず完遂できます。
 心配ありません。
 
「予後は大丈夫なのか」
⇒大丈夫です。
 
 リンパ節はあくまでも「局所因子」です。
 放射線治療が鍵となります。
 私の感覚では「腫瘍径」が小さいのは「最大の武器」です。
 きちんと「やるべき治療」をしてください。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

早速、回答いただき ありがとうございます。
リンパ節転移も、心配ないとのことで安心して次の治療に入れます。
手術→抗がん剤…との事ですが、
私の父が、この春に亡くなり初盆も控えており人に会う機会の多いお盆を過ぎてから、抗がん剤というのは術後1か月以上たってしまうので、やはり無理でしょうか?
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 術後の化学療法は、再発予防であり「急を要するものではありません」

回答

「術後1か月以上たってしまうので、やはり無理でしょうか?」
⇒3カ月以内であれば、問題は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問5 病理結果が出ました】

先日の、手術の病理結果を聞きに行ってきました。
あまりにも、驚いてしまって
途中、良く話しが聞けてないのですが
先日の11ミリの腫瘍は、リンパ節転移したものであり、癌の本体は乳頭下、乳房の筋肉側にびまん性の癌があり、手術中のエコーで怪しい影があるとの事で切除したそうです。
病理の結果は、ER100% PGR100%
異形度グレード3 MIBI ki67 70% リンパ節転移5個
腫瘍周囲の脈菅浸潤あり
病理学的腫瘍径5.0cm HER2(0)
pT2 pN2a Mo stageⅢA
と、説明されました。
状況もまだ飲み込めてませんが、11ミリと思って
たものが、50ミリなんて
動揺してしまい、温存で良かったのか
(主治医は、きちんと取りきれてますと言われました)
以前に増して、予後は大丈夫なのか?と不安になってます。
今後の治療は、
TC療法4回
AC療法→ドセタキセル+内分泌療法4回
放射線療法30回
ホルモン療法
となるそうです。そもそも、CTやMRIまでして本体のびまん性の癌が見逃されることがあるのでしょうか?
主治医は、エコーは技師の技術力によって見落とされる事もあると言われましたが、術中のエコーで見つけられたので、大丈夫ですと言われましたが本当に大丈夫なのでしょうか?
動揺しているので、文章にまとまりがありませんが、田澤先生はどのように思われますか?
このまま、この主治医にお任せしていても大丈夫なのでしょうか?いまさらですが、セカンドオピニオンをしたほうが良いのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 手術前に、(乳頭下で解り難い部位とはいえ)原発巣が解らなかったとは!
 かなり驚きました。
 「エコーは技師の技術力によって見落とされる事もある」というコメントは、そもそも術前に超音波を自分で行っていないという事ですか?
 全く信じられません。私の常識外にあります。
 自分で超音波することが「基本の基本」です。
 どこかのブランド病院ですか??

回答

「そもそも、CTやMRIまでして本体のびまん性の癌が見逃されることがあるのでしょうか?」
⇒信じられません。
 当然、術後再検討している筈ですが…
 主治医に「再検討の結果、所見はどうなのか(今更ではありますが…)」確認が必要です。
 
「術中のエコーで見つけられたので、大丈夫ですと言われましたが本当に大丈夫なのでしょうか?」
⇒術後病理診断で断端陰性ならば大丈夫だと思いますが…
 
 術前の画像診断の再確認は最低限必要です(当然、既に主治医は行っているとは思いますが…)
 
「動揺しているので、文章にまとまりがありませんが、田澤先生はどのように思われますか?」
⇒同様するのは当然と思います。
 やはり、問題なのは術前に執刀医が超音波検査をしていない事です。
 患者さんに対する責任感がそもそも欠如していると思います。
 
「いまさらですが、セカンドオピニオンをしたほうが良いのでしょうか?」
⇒それでもいいでしょう。
 内容としては
 ・手術の妥当性 画像所見を見直して、追加手術(乳房切除など)が本当に不要なのか?
 ・術後療法の内容について(私はACx4⇒ドセタキセルx4がいいと思います)
 
 

 

質問者様から 【質問6 抗がん剤】

回答ありがとうございます。
なかなか話が聞けてないので、説明の内容が曖昧ですみません。抗がん剤の説明が間違っていました。
田澤先生のご意見と同じように
AC療法×4回→ドセタキセル×4回でした。
術後病理診断の書類に、断端陰性と記入されています。
少しですが、安心しました。
病院は、数年前に新病棟に移転し、乳腺外科を設けたそうです。
担当医は、年輩で経験は豊富なのようですが、検査はそれぞれ検査室にて行っています。
私としては、自宅からも近く交通の便も良いので今後の抗がん剤、放射線治療はできることなら今の病院に通いたいのですが、今回の件で悩んでいます。
先日の説明の際は、質問も出来ない状態だったので、次回診察の際は、田澤先生から頂いた内容を質問してみます。
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
「検査はそれぞれ検査室にて行っています」
⇒術前に1回も自分で超音波していないのですか?
 そんな執刀医は見た事がありません。(大学病院で教授などが執刀する時には、こうなりますが…)
 
 それが今回の様な事態を招いている事は間違いありません。

回答

「自宅からも近く交通の便も良いので今後の抗がん剤、放射線治療はできることなら今の病院に通いたいのですが、今回の件で悩んでいます」
⇒術後補助療法(放射線や抗がん剤)は何処で行っても同じですが…
 ただ、きちんと「画像診断の妥当性」について説明ができないようなら考え直すべきです。
 
「次回診察の際は、田澤先生から頂いた内容を質問してみます」
⇒絶対に必要です。
 不利益をこうむるのは(主治医ではなく)質問者本人なのです。
 説明に納得できないなら、やはり「セカンドオピニオンの検討」が必要です。