Site Overlay

定期検診の頻度についてと遺伝について

[管理番号:579]
性別:女性
年齢:35歳
こんにちは。
市の定期検診でいくつかしこりが見つかり、クリニックにてマンモやエコー、生検を行い、良性と判断されました。
今は3ヶ月に1回の頻度で通っているのですが、良性と判断されたのにそんなに頻繁に通う必要はあるのでしょうか?
また、母が乳がんを患ったのですが、乳がんに遺伝的な要素はあるのでしょうか?
私が定期的に通っているクリニックの医師からはしこりが出来やすい体質と言われましたが、これはどういう意味でしょうか?
乳がんになりやすいという事でしょうか?
不安でたまりません。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 本来、良性と診断されれば「定期通院は不要」と思います。
 私の印象では「診断に曖昧さ」が残ってしまうと「頻回」となる傾向があります。

回答

「3ヶ月に1回の頻度で通っているのですが、良性と判断されたのにそんなに頻繁に通う必要はあるのでしょうか?」
⇒必要は無い筈です。
 私であれば、画像診断で「良性と判断できない」ものは全て針生検して、ほぼフォロー無しとしています。
 例外的には「針生検はしたくないから経過観察にしてほしい」という場合です。
 確定診断をしていなければ「経過観察しか無い」訳です。
 ○それにしても「生検で良性と判断」しているのに「3カ月」は頻回過ぎです。
 
「母が乳がんを患ったのですが、乳がんに遺伝的な要素はあるのでしょうか?」
⇒乳癌の5%程度が「遺伝性乳癌」と言われています。
 
 その中で特にvolumeが大きいのは「家族性乳癌卵巣癌症候群」です。
 御母さんは「何歳での発症」なのでしょうか?
 
 気をつけるべきポイントは「若年発症」「両側や多発乳癌」「家族に3人以上」「トリプルネガティブ」「卵巣癌」などです。
 どれか、ひとつでも当てはまる場合には、可能性はあります。
 
「しこりが出来やすい体質と言われましたが、これはどういう意味でしょうか?」
⇒「いくつかしこりが見つかり」という事から「線維腺腫ないしは嚢胞が多発」しているのだと思います。
 多発性線維腺腫にしろ、多発嚢胞にしろ、年齢的には「まだまだ同様のものが増える」可能性があります。
 その事を言っているのでしょう。
 実際には(嚢胞や線維腺腫など、良性腫瘍が多発していても「乳癌のリスクにはなりません」
 
 
「乳がんになりやすいという事でしょうか?」
⇒全く関係ありません。(上記のとおりです)
 ただ、多発腫瘍(良性)があると、「新しく腫瘍ができた時に、また良性か」と見過ごされるリスクにだけは注意が必要です。
 ★そう言う意味では「3カ月は短すぎだとしても」定期的に「同じ医療機関で経過をみる」ことがいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中、早々にご回答いただきありがとうございました。
やはり頻回と感じられるんですね。
しこりの数が増えていないか、大きくなっていないかを見ているようです。
マンモグラフィだとうまく写らないようで、毎回エコーのみなのですが、その点も気になっています。
母はつい最近乳癌の手術をしました。
2センチくらいの大きさで片方のみです。
年齢は64歳です。
乳房切除術後、細胞を検査したらあまり良くない種類の癌だったようで、今は通院にて抗がん剤治療をしています。
遺伝的なことも気になっているのですが、本当に完治するのか、母の事もすごく心配しています。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「経過観察とは都合の良い言葉」であり、内実は「診断に確信が持てない」という事です。
○本当に「診断が確定すれば」本来不要なものです。

回答

「マンモグラフィだとうまく写らないようで、毎回エコーのみなのですが、その点も気になっています。」
⇒若年者の場合には「乳腺濃度が高く」マンモグラフィーでは見ずらいことは珍しくありません。
 特に「小腫瘤のフォロー」(必要かどうかは別として)の場合には、マンモで確認できないことは多く「超音波中心」となります。
 ただ、「石灰化」はマンモでしか見えない所見なので、1年に1回(もしくは2年に1回程度は)は撮影した方がいいでしょう。
 
「遺伝的なことも気になっている」
⇒64歳であれば、「家族性乳癌の心配」はまず不要です。