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乳がんの広がり

[管理番号:2259]
性別:女性
年齢:48歳
初めまして
よろしくお願いします
11月上旬に乳がん検診で再検査となり、
12月にエコーとマンモをうけて
シコリが1つみつかり
1月上旬にMRIをうけて
シコリが4つ見つかり
その中の一番大きい15mmのしこりを
マンモトーム生検で調べたところ
ガンが見つかりました
4つのシコリは同じ乳腺でつながっているそうです
今は、転移の検査(CT、シンチ)の結果待ちと
ガンの悪性度の検査の結果待ちです
お聞きしたいのですが…
この状態で他の臓器への転移の可能性はありますでしょうか?
がんはかなり進行しているのでしょうか?
最近しこりや肺に痛みを感じます
検査結果を聞くのが怖くなってきています
お忙しいところ申し訳ありませんが
ご回答よろしくお願いします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「その中の一番大きい15mmのしこりをマンモトーム生検で調べたところガン」「4つのシコリは同じ乳腺でつながっている」
⇒これは「乳癌は乳管の細胞が癌化し、乳管内を進展(拡がり)し、シコリを形成する」からです。
 つまり「(全く別の乳管系からの、厳密な意味の)多発ではなく」「同一乳管内の多発浸潤」となります。(良くある事です)
 
「今は、転移の検査(CT、シンチ)の結果待ちとガンの悪性度の検査の結果待ちです」
⇒全く無駄な検査です。
 「15mmの早期乳癌に遠隔転移」などありません。
 ○私であれば「CTも骨シンチもやりません」
  今週のコラム6回目「無駄どころか、有害なのです」を是非、参照してください。
 
「この状態で他の臓器への転移の可能性はありますでしょうか?」
⇒全くありません。
 「CTも骨シンチ」も「医療被曝どころか、患者さんの心理へも悪影響」を与えている事が解ります。悲しい事です。
 
「がんはかなり進行しているのでしょうか?」
⇒「15mm」であれば早期乳癌です。
 同一乳管系の「多発浸潤」は大した意味はありません。(MRIで認識できるかどうかの違いはがあるだけで、通常もその傾向はあるのです)
 
「最近しこりや肺に痛みを感じます」
⇒全く無関係です。
 
「検査結果を聞くのが怖くなってきています」
⇒無駄どころか、「患者さんを無用な不安にさせるような」検査をする施設が多い事を悲しく思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

乳がんと診断されてから、こちらのサイトをを拝見させていただいております。
わかりやすく解説していただいておりますので、とても勉強になります。
このようなサイトを立ち上げてくださいまして本当にありがとうございます。
それでは、よろしくお願いいたします。
新年早々乳がんと診断され、温存手術を終えました。
病理結果
…………………………………………………………………………
Location and tumor size;
left, c, 浸潤径 1.4 × 1.0 cm
Histological type:
invasive ductal carcinoma, Papillotubular ca > scirrhous ca.
Local tumor growth: f, ly0, v0
Ductal component: 1(<80%)
Nuclear grade: 2
(nuclear atypia : 2, mitotic counts:2)
Respected margin;
close to margin(ductal component: #8)
Lymph node metastasis: n:0/2
Stage(UICC 7th Ed.):
PT1cN0M0, R0, Stage 1A
リンパ節転移(ー) (0/2) SLN1:0/1, SLN2:0/1
肉眼的所見にほぼ一致して、腫瘍が認められる。
腫瘍細胞は腫大した核を持ち、篩状構造や小胞巣、素性配列を形成しながら湿潤性に増殖している。
脂肪は脂肪織に浸潤している。
核分裂像は多い部分では6個/10HPF見られる。
拡張した乳管内で腫瘍細胞が篩状あるいは乳頭状に
増殖する所見が多数認められる#8では側方断端から1mm以内の部分に乳管内成分が認められ、断片陽性の可能性がある
Ki67はわかりません。
…………………………………………………………….
現在の治療(閉経前)
・タモキシフェン1日2回(4ヶ月服用)
・ゾラデックス1ヶ月に1回(3回目が終了)
・放射線25回+ブースト5回終了
(断片陽性の疑いがあったため)
質問内容
①病理結果の
Ductal component: 1(<80%)
Histological type:
invasive ductal carcinoma, Papillotubular ca > scirrhous ca.
とはどういう意味なのでしょうか…
②ゾラデックス1回目をしてから10日くらいで、持病の腰ヘルニアからくる坐骨神経痛(特に足首と膝裏痛)がひどくなってしまいました。
めまい、関節痛、頭痛、肩こりもひどくなってしまい辛いです。
ゾラデックスの影響なのでしょうか…?
③もし、ゾラデックスの影響だった場合は休薬または止めたいと思っておりますが、
断片陽性の疑い グレード2 多発(最終的に並んで2つ)だったため、ゾラデックスを止めた後の予後が気になってしまいます…
しかし、こちらのQ&Aを拝見させていただいておりますと、私には必要な治療ではないように思われましたので…
主治医にやめたい…とお話ししましたが
主治医の了解はいただけておりません…
どのような理由が考えられますでしょうか…
そして、私のような病理結果でもゾラデックスを止めても大丈夫でしょうか…?
④現在生理は止まっている状態です。
もし、ゾラデックスをやめてタモ
キシフェン単独にした場合、生理が再開してしまった時は…再発率が高まる可能性があるのでしょうか…
周りに乳がんの方もおりませんので…他の方の治療方法なども聞けず…
1人で考えているとどうしたらよいか…わからなくなってしまいました。
先生のご意見をお聞かせいただけますでしょうか…
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0, luminal, NG2
十分な早期癌です。
それにしても「Ki67を測定していない」というのは如何なものか?
現在の「標準療法:luminalBでは化学療法は考慮されるべき」と言う事を「まさか(担当医が)ご存知ない?」そんなことは無いでしょうが…(もしも乳腺外科ではなく、一般の外科で治療している場合には、いまだにあるのかもしれません)
「low riskのステージ1」「48歳」
どう考えても現行のガイドライン(ASCO 2016)では「LH-RHagonistの適応外」となります。
 
「①病理結果のDuctal component: 1(<80%) Histological type: invasive ductal carcinoma, Papillotubular ca > scirrhous ca.とはどういう意味なのでしょうか…」
⇒(&lt;80%)という表記は「文字化け」でしょうか?
 後半は「浸潤性乳管癌で、乳頭腺管癌と硬癌が混在(乳頭腺管癌が優勢)」という意味です。
 ♯浸潤性乳管癌は①乳頭腺管癌 ②充実腺管癌 ③硬癌 の3つに分けられ、これらが混在していることは「良くある事」です。
 
「②ゾラデックス1回目をしてから10日くらいで、持病の腰ヘルニアからくる坐骨神経痛(特に足首と膝裏痛)がひどくなってしまいました。めまい、関節痛、頭痛、肩こりもひどくなってしまい辛いです。ゾラデックスの影響なのでしょうか…?」
⇒その通りです。
 
「断片陽性の疑い グレード2 多発(最終的に並んで2つ)だったため、ゾラデックスを止めた後の予後が気になってしまいます…」
⇒「断端陽性」も「多発」も、あくまでも「局所因子」であり「予後とは無関係」です。(局所再発のリスク要因ですが、全身の再発とは明確に区別する必要があります)
 「グレード2」は「全くの標準」であり、心配する要因にはなりません。
 
「どのような理由が考えられますでしょうか…」
⇒担当医の中では、「昔ながらの(その昔は、閉経前=LH-RHagonistの適応と言われていました)基準」が今も残っているのでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつも拝見してしております。
とても勉強になっております。
ありがとうございます。
今回もよろしくお願いいたします
去年2月に温存手術を受けました
PT1cN0M0, R0, Stage 1A リンパ節転移(ー) ki67-10%
腫瘍径1.4cm(すぐ隣にもう一つありました)
放射線30回(断片陽性の可能性あり)
3月からタモキシフェン
5月からゾラデックスを
始めましたが…
ゾラデックスは関節痛の副作用も出てしまい3回でやめてしまいました。
その後は…我慢できるくらいの副作用でタモキシフェンを1年服用してきましたが…
最近になって
ひどい肩こり、目のカスミ、頭が重く
気が遠くなる感じにおそわれ、車の運転がほとんどできず、歩くのもつらくて、仕事も休んでおります。
急に日常生活が出来なくなってしまったことにとても不安を感じております…
教えていただきたいのですが…
??飲み続けて一年後の上記の症状ですが、タモキシフェンの副作用でしょうか…?
??もしタモキシフェンの副作用だったとして休薬した場合どの位の期間で日常生活が送れるようになりますでしょうか…?
??目のカスミは、脳に異常があるかもと
通院している婦人科の先生が言っておりましたが、脳転移の可能性は気にしなくても大丈夫でしょうか…?
スイマセン
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
今回のQとは外れますが…
「ステージ1」の「49歳(去年は48歳だとしても)」で、そもそもLH-RHagonist(ゾラデックス)は推奨されませんが…
◎更年期にかかっている方がタモキシフェン治療を行うと
1.タモキシフェンによる直接の副作用
2.更年期症状
これらが混在となり、両者を区別する事は不可能となります。
♯つまり「エストロゲン欠乏症状」というべきものなのです。
「??飲み続けて一年後の上記の症状ですが、タモキシフェンの副作用でしょうか…?」
⇒上記通りです。
 タモキシフェンの副作用だけではないと思います。
「??もしタモキシフェンの副作用だったとして休薬した場合どの位の期間で日常生活が送れるようになりますでしょうか…?」
⇒更年期症状も重なっているので「休薬で完全に回復する」わけではないでしょう。
 ただし、日常生活が送れる程度にはなると思います。(2,3カ月か)
「脳転移の可能性は気にしなくても大丈夫でしょうか…?」
⇒考える必要はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

お世話になっております
先生のご意見が聞けて
とても助かっております。
ありがとうございます。
スイマセン
またよろしくお願いいたします
タモキシフェンを服用して1年後の
エストロゲン欠乏症状ですが…
念のため色々検査をしました
婦人科のホルモン数値 更年期ではない数値
眼科、耳鼻科、脳外科(かすみ目が気になるとMRI)
特に問題ありませんでした
心療内科には、行っておりませんが…
自律神経が乱れてしまったのか、
目のカスミ、目まい、不安な感情が
発作のように出て来てしまい
車の運転もあまりできず
まだ仕事も休んでおります。
現在の治療は、
タモキシフェンと加味逍遙散を服用しております。
スイマセン
教えていただきたいのですが…
??先生でしたらどのような治療をされますでしょうか…?
??心療内科にかからなくても
症状は改善されますでしょうか…
(肝機能の数値が少し高めなため
これ以上薬を増やしたくありません…)
??先生がコラムでおっしゃっていた
EQUELLE(エクエル)大塚製薬ですが…
私のような症状にも改善の可能性はありますでしょうか…
なんどもスイマセン…
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「先生でしたらどのような治療をされますでしょうか…?」
⇒タモキシフェンの休薬です。
 術後補助療法はあくまでも「再発予防」であり、QOLを著しく損ねない範囲内で行われるべきものです。
 
「心療内科にかからなくても症状は改善されますでしょうか…」
⇒本末転倒です。
 原因が解っているのだから、「まずは原因の除去に努める」そういうことです。
「EQUELLE(エクエル)大塚製薬ですが…私のような症状にも改善の可能性はありますでしょうか…」
⇒やってみる価値は十分にあります。
 ただし、主治医が勉強不足だと推奨してもらえない可能性もありますが…