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乳ガンといわれ不安です

[管理番号:3276]
性別:女性
年齢:40歳
はじめまして。
先週月曜日に乳癌の告知を受けて、こんなことしてても不安になるばかりと思いながらもネット検索をやめられずにいたところ、
こちらに辿り着きました。
組織診をした結果などの用紙はまだもらっておりませんが、先生の話やカルテ画面をチラッと見た限りでは、腫瘍は右の外側の下1/4のところに、
5.5mm×5.5mm×6.5mmくらい。
ER 陽性、PgR 陽性、
HER2 +1
というのは見えました。
他は覚えてないです。
先生は、「腫瘍も小さいしエコー上はリンパにも無さそうだからたぶん右下4分の1の切除でも大丈夫そうだけど…全摘出か温存か選べる状況だと思います。」とのことです。
昨日今日と術前検査で、範囲の広がり確認のためMRIもやりました。
これは、全摘ならいらないよと言われたけど、私がまだどちらにするか決めかねていたので、広がりが万が一大きければ心置きなく全摘にできるなと思ってあえて希望したのでMRIも行うことになりました。
その検査結果をそろえてから、来週同じ病院内の乳腺専門医の外来受診をします。
(ここまでお世話になったのは一般外科の先生)。
日にちが経つにつれ、
ネットを見るにつれ、本当に自分が早期発見できた
初期の乳ガンということで治療すれば治っていくのかどうか、再発するんじゃないか、不運にも手術ミスとかにぶち当たって死ぬんじゃないかとか、考えてもどうにもならないことばかり 考えてしまってます。
針生検をして以来、しこりの周辺も固くなっているのかしこりが大きくなったようにも思えてしまいます。
右の脇のリンパのあたりが痛いような気もするし、リンパにまで癌が行ってしまったのかなとかもう悪い方へばかり考えています。
そもそも、全摘も温存も再発や転移の可能性は変わらないということが言われているそうですが、
全摘をしても切った下の部分に再発することがあるということでしょうか?
それとも転移の可能性のことでしょうか?
なぜ全摘でもデータ上変わらないのかが調べてもよくわからなくて…。
私がやるべきことはまずは全摘か温存か決めておくこと(手術当日に変更してもいいですよとは言ってくれてます)、術前検査を受けること、乳腺専門医の受診をして詳しい話を聞くこと、この3つだなということはわかっているのですが、不安に押し潰されそうです。
子供も二人いて、母子家庭なので余計に途方に暮れてしまってるのかもしれません。
術後の治療は温存なら放射線になるということは説明を受けた覚えがありますが、
全摘の説明を受けたかは頭も真っ白で記憶がないです。
どれもこれもまた外来受診で聞けばいいことなのですが、
田澤先生からみて、私の状況は早期発見できた初期の乳癌だと思いますか?
根治の可能性はありますか?
どうしても死ぬことばかり考えてしまいます。
弱すぎて嫌になりますが、ここでみなさんや先生のコメントを一つずつ見させてもらいながら勉強していきたいと思います。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(6mm), pN0, luminal
完璧な早期癌です。
癌と言われてショックなのは仕方がありませんが、ここが前向きに頑張るターニングポイントです。
「そもそも、全摘も温存も再発や転移の可能性は変わらないということが言われているそうですが、全摘をしても切った下の部分に再発することがあるということでしょうか?」
「それとも転移の可能性のことでしょうか?」
⇒質問者が混乱させられている一番の原因は「用語」です。
 「再発」と「転移」の意味が曖昧なため起こる現象です。
 実際は
 「遠隔転移再発」と「局所再発」に分けるべきです。
 ○全摘でも温存でも「遠隔転移再発」は同じです。
  一方で「局所再発」に関しては「温存の場合には(放射線照射しても)10年で5%程度」となるのに対し、「全摘の場合には(放射線もありませんが)ほぼ0%」となります。
 
「なぜ全摘でもデータ上変わらないのかが調べてもよくわからなくて…。」
⇒お解りでしょうか?
 「全摘でもデータ上変わらない」のは「遠隔転移再発」の事です。
  遠隔転移再発は「乳房を残そうが、全部取ろうが」全身におこることなので「無関係」なのです。
 
「全摘の説明を受けたかは頭も真っ白で記憶がないです」
⇒単純な話です。
 乳癌の治療は「局所療法」と「全身療法」に明確に分けて考えましょう。
 ○局所療法 これは「乳腺(とリンパ節)」をどうするか?です。
   全摘ならば放射線不要なので選択肢としては①か②となります。ここでMRIを参考にします。
   ①全摘
   ②温存+放射線
  ♯ リンパ節に関しては、当然「センチネルリンパ節生検」の話が有った筈です。
 ○全身療法 これは「ホルモン療法」と「抗がん剤」があります。(質問者の場合にはHER2陰性なので分子標的薬の対象には決してなりません)
   質問者の場合には「ルミナールタイプ」なので「ホルモン療法は必須」です。
   抗ガン剤の適応となる可能性は低いですが、術後の病理標本で「Ki67を測定」して、(Ki67が高値の場合:この場合ルミナールBとなります)抗癌剤の「上乗せ」を行います。
 
「私の状況は早期発見できた初期の乳癌だと思いますか?」
⇒「6mmの癌」
 申し分のない「早期発見」です。誰も文句は無いでしょう。
 
「根治の可能性はありますか?」
⇒「可能性」というか…
 これで「根治しない」ケースは殆どありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
以前は、取り乱したようなメールを送ってしまいご迷惑をおかけしました。
再発や転移の説明がとてもわかりやすくて、こんな私でもなんとか理解できました。
今はあのときよりは少し落ち着いています。
ありがとうございました。
あれから、右胸の温存手術を行いました。
術後2週間になります。
まだ、ひきつれのような痛さはありますが毎日リハビリしながら徐々に元の生活に戻りつつあります。
入院も手術も今となってはあっという間の出来事であり、これからの治療の方がはるかに長いなと気づきました(遅いですね)。
術後の結果が出まして、今後は放射線とホルモン療法をやっていくことになりましたが、田澤先生も同じ意見かどうかお聞きしたくてまたこうしてメールさせていただきました。
よろしくお願いします。
癌は2つ取りました。
「①Size0.6×0.5cm pT1
浸潤性乳管癌
核異型度 Grade1
脈管侵襲なし リンパ管侵
襲なし
LN:SNL(0/1)pNO
pStage1
② Size0.8×0.5cm pT1
浸潤性乳管癌
核異型度 Grade1
脈管侵襲なし リンパ管侵
襲なし
pStage1
ER 陽性
PR 陽性
HER2(1+) 陰性
Ki67陽性率 M2は50%、
②は5-10%
術後の治療→ホルモン療法、放射線治療」
という結果でした。
まだ全部出たわけではないけど…と医師がおっしゃってましたが、何が出てないのか私にはちょっとわかりません。
「断端まで広がってたようだけどまぁ大丈夫だよ」
「断端の外側まで癌があるかはわからないけど再手術の必要はなさそうだね」
「再発率はまぁそんなに高くないから気にしないで」
という言葉はありました。
私が今回気になるのは、
☆断端まで広がってるというのは断端陽性ということなのか?なのに再手術しなくて大丈夫なのか?放射線で消えるのか?再発しやすいのか?
☆ki67が50%で、抗がん剤はしなくて大丈夫なのか?
ということです。
田澤先生も、ホルモン療法と放射線で大丈夫だと思われますか?
ホルモン剤はノルバデックス20という薬で毎朝1錠です。
お手数をおかけしますが、先生の意見も教えていただけると心強いです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1b(6mm), pT1b(8mm)どちらもluminal type, NG1だしKi67の値は全く無視していいです。
この大きさでluminalAもBも気にする必要はありません。 ホルモン療法単独で文句無しです。
「☆断端まで広がってるというのは断端陽性ということなのか?なのに再手術しなくて大丈夫なのか?放射線で消えるのか?再発しやすいのか?」
⇒これは担当医にしかわからない(もしくは病理レポートにしか記載が無い)ものです。
 ただ「腫瘍径が非常に小さい」ので、もしも断端陽性だとしても「非浸潤癌」だということでしょう。
 あとは其の「程度」に関しては「担当医に確認が必要」です。
「☆ki67が50%で、抗がん剤はしなくて大丈夫なのか?」
⇒重要なことは「腫瘍径」と「核グレード」です。
 「8mmの腫瘍」はKi67=5-10%ですよね?
 「6mmの腫瘍」はKi67=50%といっても「僅か6mm」だし、「核グレード1」なので、(私なら)「抗ガン剤は全く」考えません。
「田澤先生も、ホルモン療法と放射線で大丈夫だと思われますか?」
⇒その通りです。
「ホルモン剤はノルバデックス20という薬で毎朝1錠です。」
⇒閉経前だから、それでいいのです。(LH-RHagonistは早期だから不要です)