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乳がん治療について

[管理番号:5635]
性別:女性
年齢:40歳
はじめまして。
2016年3月に右胸外側上部にしこりを自覚し受診。
マンモ(異常なし)、超音波で1.5cmほどの腫瘤ありと診断されるも、その形状から悪性の可能性は低いとの判断。
念の為、針生検も行い良性の診断。
2016年9月に不安を感じ受診。
(マンモ+超音波)するも変化なしとの診断。
2017年3月も前回と同様の検査をするも変化なし。
2017年10月、しこりの肥大を自覚し受診。
マンモは異常なしとの診断だったが、超音波では約3cmの腫瘤を確認。
針生検の結果、悪性腫瘍、リンパ節への転移はおそらくないだろうとの診断。
【病理組織診断結果】
Invasive ductal carcinoma,papillotubular type,of the right breast,needle biopsy
[臨床所見]
右Cに3cmのhard mass。
半年前は1.5cmでCNBではmastopathyと診断。
size upあり、再度CNB。
[病理所見]
right,C,f(-),ly(-),v(-),Tis(+),necrosis(-),
HG tubule:2,HG nuclear atypia:3,HG mitosis:1,N-SAS:2,B&R:2 ER(+)>80%, PgR(+)>80%,HER2(-)score 1.
乳腺針生検標本には、大型不整形核をもつ異型細胞が管状あるいは充実
性胞巣を形成して浸潤増殖する腫瘍がみられる。
浸潤巣内にはわずかに
乳管内癌成分がみられる。
乳頭腺管癌と診断します。
標本中に、脂肪織
への浸潤、脈管侵襲はみられない。
Ki-67の陽性率は30%程度。
背景乳腺には、軽度に腫大した核をもつ上皮よりなる乳管の集簇巣がみられ、その部分には拡張腺管も混在している。
非常に低異型度の平坦型
乳管内癌を完全には否定できないが、核形態、核配列に均質性はやや乏しく、ERの陽性率も100%近いといえるほどではない。
良悪境界的な像だが、adenosisと考える。
前回生検時の変化と同等と思われる。
CTの結果、遠隔転移なし。
1週間後のMRIの結果、患部付近に複数の小さな腫瘤がみられた。
脇のリンパ節に明確なしこりは見つからなかったものの、多少の腫れは見られるとのこと。
検査時点での転移はおそらくないとの判断。
ステージ2、ルミナールBと言われ、
手術は全摘、センチネルリンパ節生検
最短で11月(下旬)日。
術後、抗ガン剤半年、ホルモン療法5年を推奨。
●術日について
上記のような状況で転移の不安があるのですが11/(下旬)は妥当なのでしょうか?
後述の同時再建との兼ね合いも含めご回答をお願い致します。
●再建について
同時再建を希望するも年内は空きが無く不可能。
主治医によると、もしもの再発のことも考え、再建は術後2年ぐらい経ってからの方がよいとのことなのですが、二次再建になる場合、術後どれくらいで行うのがよいのでしょうか?
●術後の治療について
副作用の事もあり、できることなら抗ガン剤は避けたいと思っております。
術前Ki-67 30%はグレーゾーンだと思われるので、術後の病理検査でのKi-67の値がグレーであれば、オンコタイプDXを実施し、その結果により抗ガン剤をするかどうか決めるという考えで良いのでしょうか?
私の場合、今からの転院は危険でしょうか?
また田澤先生の手術を受けることは可能でしょうか?
御多忙とは存じますが、何卒よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
それにしても質問者が診断が確定されないまま(無意味な)1年半を過ごしたことを、とても残念に思います。
(担当医は何とコメントしているのか解りませんが)このようなことがあるので(私は)「他人の針生検(細胞診なら、更に)を信頼できない」のです。
★本来「確定診断」であるべき組織診でこのような経緯となっていることに警鐘を鳴らします。(これを読んでいる閲覧者へ向けたメッセージ)
「●術日について 上記のような状況で転移の不安があるのですが11/(下旬)は妥当なのでしょうか? 後述の同時再建との兼ね合いも含めご回答をお願い致します。」
⇒(診断までの長い期間を考えれば)
 焦る気持ちも理解できますが…
 状況的には「全く許容範囲」と思います。
 ただ、「年越し」となると(感覚的には)あまり勧めません。
「二次再建になる場合、術後どれくらいで行うのがよいのでしょうか?」
⇒(抗癌剤がなければ)「半年後」
 (抗癌剤があれば)「抗癌剤終了後半年」
 が目安でしょう。
「術後の病理検査でのKi-67の値がグレーであれば、オンコタイプDXを実施し、その結果により抗ガン剤をするかどうか決めるという考え」
⇒100%正しい理解です。
「私の場合、今からの転院は危険でしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 私からコメントするのは支障がありますが…
 診断に難がある病院での手術は(私からは)お勧めしません。
「また田澤先生の手術を受けることは可能でしょうか?」
⇒現時点では「1カ月~1カ月半」の手術待ちとなっています。(ただ、同時再建は年内に可能か微妙なラインだと思います)
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質問者様から 【質問2 術後の治療について】

性別:女性
年齢:40歳
先日はお忙しいところ、ご回答いただきありがとうございました。
当初の予定より早く、かつ同時再建も可能な別の病院にて再度超音波等の検査後、手術を行い、病理結果がでましたが、術前と状況が変わっておりましたので再度質問させていただきました。
術前の採血で腫瘍マーカーNCC-ST439が76.7でした。
右皮下乳腺全摘出+同時再建(エキスパンダー)
硬癌
浸潤径5cm以上 pT2~pT3
SBR Grade 2(3+2+1=6)
nuclear grade 1(2+1=3)
ly1,v1
IDS(+) 小葉へも浸潤
margin(-)
センチネルリンパ節生検 陽 SNL(+)1/1,
腋窩郭清 転移なし レベルⅠ0/9,レベルⅡ 0/7 N1
静脈に癌細胞入っている
皮膚、摘出した乳頭への浸潤なし
ER強陽性3b
PgR強陽性3b
HER2強陽性3+
ステージ3A
Ki-67 31.3%
《術後の推奨治療》
妊孕性を鑑みながら
?化学療法
エピルビシン+エンドキサン3週間に1回を計4回(3カ月)→タキソテール+ハーセプチン3週間に1回を計4回(3カ月)→ハーセプチン3週間に1
回を計14回(9カ月)ホルモン療法併用
?ホルモン療法
ノルバデックス 内服5年間
(再発リスクが高ければ卵巣機能抑制薬併用、内服10年)
副作用を考え、抗ガン剤は避けたかった為、ki-67の値によりオンコタイプを実施して決めるつもりで、ホルモン単独治療でいけるかもしれないと希望を抱いておりましたが、術前HER2 1+が3+強陽性となり、抗ガン剤+ハーセプチンを薦められ、こちらのサイトで浸潤径5mm以下では抗HER2療法の適応は一般的にないとの事でしたが、術後の結果は5cmと大きく、抗ガン剤が濃厚になり、再発率も80%、ホルモン感受性が強陽性だがホルモン単独治療ではリスク減少効果は20%程しかないと言われ、大変ショックを受け、不安でいっぱいです。
術前HER2 1が術後3に変わるのは仕方のない事でしょうか?
今からでもFISHを行うべきでしょうか?
ただコアニードル生検は前医によるものですし、手術標本は3でしたので受け入れるべきでしょうか?
HER2陽性ではオンコタイプは適応外、またハーセプチン単剤も勧められないと拝見しましたし、私の場合、浸潤径やリンパ転移、全ての状況を考えると抗ガン剤は避けられないのでしょうか?
主治医より中リスク以上の治療法を勧められているように思われますが、やはり私は早期乳癌ではなく高リスクなのでしょうか?
提示されている治療方針についてはどう思われますか?
また田澤先生ならどの治療を勧められますでしょうか?
妊娠出産についても悩んでいるのですが、卵子凍結後、どこかで治療を
空けて妊娠期間を設けるのは中高リスクであれば再発リスクがあがるのでしょうか?
私の場合はどうでしょうか?
田澤先生ならどのような治療と順序を勧めますでしょうか?
また、無治療、ホルモン療法のみ、ホルモン療法+抗HER2療法、それぞれの10年生存率、再発率はどうなるか示していただけませんでしょうか?
根治は可能でしょうか?
1年半前に自分でしこりに気付き受診していたのに、良性と言われ診断が確定されず、ステージ3Aという、腫瘍も大きくなり副作用もきつい治療を推奨される程の状況になってしまい、腹立たしさと悲しさでいっぱいです。
今後の治療や副作用、予後や再発においても全てが恐怖でずっと考えてしまい気分も落ち込みとても辛いです。
度々で申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「術前HER2 1が術後3に変わるのは仕方のない事でしょうか?」
⇒そもそも術前のCNBが診断に難の有った病院でしたよね?
 そうであれば、仕方がないでしょう。
「今からでもFISHを行うべきでしょうか?」
⇒3+では適応外です。
「ただコアニードル生検は前医によるものですし、手術標本は3でしたので受け入れるべきでしょうか?」
⇒そういうことです。
「浸潤径やリンパ転移、全ての状況を考えると抗ガン剤は避けられないのでしょうか?」
⇒「全ての状況」とか、そんな大げさな事では無く…
 単純に「浸潤径5mm以上」だから抗HER2療法は受けるべきです。(1cm以上は必須)
「やはり私は早期乳癌ではなく高リスクなのでしょうか?提示されている治療方針についてはどう思われますか?また田澤先生ならどの治療を勧められますでしょうか?」
⇒非アンスラサイクリンレジメンでもいいように思います。
「妊娠出産についても悩んでいるのですが、卵子凍結後、どこかで治療を空けて妊娠期間を設けるのは中高リスクであれば再発リスクがあがるのでしょうか?私の場合はどうでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
「田澤先生ならどのような治療と順序を勧めますでしょうか?」
⇒「卵子凍結」⇒「抗HER2療法」⇒妊娠出産⇒ホルモン療法
「また、無治療、ホルモン療法のみ、ホルモン療法+抗HER2療法、それぞれの10年生存率、再発率はどうなるか示していただけませんでしょうか?」
⇒ 抗HER2療法に10年のデータは無いし、無治療を考える理由もありません。
  抗HER2療法なし      3年死亡率4%  3年再発率16%
  抗HER2療法をすることで  3年死亡率3%  3年再発率 8%
 となります。
「根治は可能でしょうか?」
⇒勿論です。
「1年半前に自分でしこりに気付き受診していたのに、良性と言われ診断が確定されず」
⇒最近、似たような経緯で(最終的に)当院を受診した方が2名も立てつづけにあったので、大変心を痛めているところです。
「今後の治療や副作用、予後や再発においても全てが恐怖でずっと考えてしまい気分も落ち込みとても辛い」
⇒今は、そうだと思います。
 ただ、時間が全てを解決することもまた「まぎれもない事実」なのです。
 前向きに行きましょう。