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母の病状について

[管理番号:4456]
性別:女性
年齢:67歳
 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:4631「HER2陽性の手術不能乳癌の化学療法

 
 
67歳の母に病状についてご質問させていただきたくよろしくお願いいたします。
一昨年の夏頃から胸のしこりに気づきながらも検査をせず、段々としこりが大きくなり
10センチを超えており、そこから出血したことで病状が発覚しました。
近くの○○総合病院で翌週から検査を開始し、CT、MRI、胃カメラ、骨など全身検査を行っていただき、本日告知がありました。
突然のことで何を聞けばいいのかわからず、ただただ医師の話を聞くだけになってしまいました。
病状としては浸潤性の癌でステージは3bかc、他部位への転移は今のところ認められず、腫瘍が皮膚外にと出、一部胸筋に浸潤しています。
リンパ線には腫れがありますが手術は今すぐは不可能であり、リンパの転移は手術を行わないとはっきりとは確定できないとのことでした。
今後の治療としては、残った腸の検査を入院で行い、その後に抗がん剤投与での治療を開始、その後腫瘍の大きさを診ながら手術の可否を決定。
ホルモン療法の効かない種類とのことでした。
また放射線治療も行う予定ということでした。
腫瘍がガッチリと胸筋にはりつき、もう少しで胸の骨に達するところでした。
胸、脇のあたりにあるリンパ線がCTでも腫れていることはわかっています。
質問1:今のところ転移はないという回答だったのですが、放射線治療もとおっしゃられているのは手術ができずリンパへの転移が不明なためでしょうか。
質問2:手術をしたいが手術できるかどうかわからないと言われましたが、現状の部位を残すことに不安しかありません。
抗がん剤で腫瘍が小さくなっても手術は難しいのでしょうか。
質問3:腸の検査のあと再度家族を呼び、抗がん剤投与についての説明をするとのことでしたが、その際にどのようなことを伺えば良いのかご教示いただけませんでしょうか。
質問4:母本人は、全身転移告知も覚悟していたようなので、転移がないことにホッとしておりましたが、私としては「完治が難しい」と言われたことが気がかりです。
確かに腫瘍が10センチを超えてしまうまで放置していたのですからまったくもって健康体になるのは難しいかもしれませんが、やはり今後の転移のことを考えられての回答なのでしょうか。
以上、お忙しいとは思いますが何卒よろしくお願申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
局所進行乳癌ですね。
現時点で「手術不能」と言う状況を「手術不能乳癌」とも表現します。
その状況はおよそ以下のいずれか(もしくは「いずれも」)です。
1.皮膚浸潤(皮膚への拡がり)が今範囲で「手術で取りきれない」
2.胸壁浸潤(胸筋浸潤なら、手術で合併切除できますが、更にその奥の肋間筋や肋骨への浸潤があり、腫瘍が固定されている)
3.リンパ節転移が広範囲であり、(特に腋窩静脈との固着がある)郭清が困難
「質問1:今のところ転移はないという回答だったのですが、放射線治療もとおっしゃられているのは手術ができずリンパへの転移が不明なためでしょうか。」
⇒そうではありません。
 局所進行乳癌では「局所治療」として(手術が可能となった場合は)術後に照射は必須となるのです。
「抗がん剤で腫瘍が小さくなっても手術は難しいのでしょうか。」
⇒冒頭の3項目から外れれば可能となります。
 現状がどうなのか、不明なのでこれ以上のコメントはできません。
「腸の検査のあと再度家族を呼び、抗がん剤投与についての説明をする」
⇒「腸の検査をする」というのは大変珍しいですね?
 通常は「消化管転移」などありえないので、そんな検査はしませんが…
「その際にどのようなことを伺えば良いのかご教示」
⇒「どんな抗がん剤」を「どの位の期間」行う予定なのか?
 ○勿論、「抗ガン剤の実際の効果次第なので、予定通り行くかは解らない』と言われることは当然です。
  ただし、(そんな当然のことではなく)その医師の今までの経験からの『ビジョン』が聞きたいのです。 と「もうひと押し」してみましょう。
 ○私であれば、
  Bevacizumab + paclitaxelをまず3クール(3カ月)
  ここまでの効果によっては、「手術可能かの見通し」が有る程度解ります。
  その後、更に「3カ月bevacizumab+paclitaxel 継続」とするか、「薬剤を変更して3カ月」とするか?
  
  其の程度のビジョンは示してもらいましょう。
「「完治が難しい」と言われた」「やはり今後の転移のことを考えられての回答なのでしょうか。」
⇒乳癌が幾ら予後が良い。といっても、それは常識的な範囲内での話です。
 厳しい様ですが「ここまで放っておいた」責任はご本人にあります。
 「手術不能乳癌」にも様々な段階があるので一概には言えませんが…
 
 状況的には(いきなり、根治を目指すという考え方ではなく)
  1.まずは手術可能な状況まで頑張る
  2.術後は(可能な限り)再発予防に努める
  上記を段階的に達成する事でのみ「根治の可能性が開ける」のです。
  いきなり「遥か先」を見ることなく、「目の前の目標にむけて一歩一歩進む」ということです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回浸潤性の癌でステージは3bかc、他部位への転移は今のところ認められず、腫瘍が皮膚外に吐出、一部胸筋に浸潤しています でご相談させて頂いた者です。
あれから私なりに勉強をして、本日お医者様に詳しくお話を伺ってきました。
手術不能状態については、1.皮膚浸潤(皮膚への拡がり)が今範囲で「手術で取りきれない」が正解のようです。
病理結果(針生検にて)硬がん 右側 転移なし(リンパはセンチネルをやっていないので不明)
ER(0,0%),PGR(0,0%),HER2(3+),MIB-1 labeling index 40 % Grade2
幸いにもHER2が効くとのことで、今後の治療に関しては癌センターのガイドラインに沿って行う。
1:CEF療法 3週毎×4回
2:パクリタキセル 1週毎
3:ハーセプチン 1週毎
これで癌の縮小化を図り、手術可能状態に持ち込み、最終目的は外科手術による摘出(乳房+胸筋の一部)として進めていきます。
リンパの検査(センチネル)について質問をしたのですが、適用外とのこと。
温存手術や初期段階の癌では検査をして一部を残すかどうかを調べるそうですが、
すでに3Bまで進行しているため、検査の意味がなく「すでにリンパは越えている」
体で治療を進めていく。
(当然手術では全摘出)ということでした。
乳腺外科を新設したばかりの病院で医師も乳腺専門というわけではなく(どちらかと言えば胃腸科専門の様子)症例数はあまり多くないということで不安に感じておりましたが、
先生自身の口から上記のことをおっしゃっていただき一安心しました。
治療はこれからですが、ひとまずはHER2への反応が高かったことが安心材料です。
上記の治療方針である1,2,3に関して、先生の見解はいかがでしょうか。
国立がんセンターのガイドラインに則ってということなのでご指摘はないかもしれませんが。
また、リンパ節の郭清とセンチネル生検については私も勉強不足でよくわからないのですが、生検をせずに郭清をするという(もちろん進行の度合いを鑑みてのことだとは思います)
のは先生にとっても最も再発や転移率の低くなることなのでしょうか。
先生に背中を押していただくことで不安から脱却できると幸いです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
その「ガイドライン」なるものは「古い」のではないかと思います。(私は「癌センターのガイドライン」には興味はありませんが…)
 現在の(抗HER2療法での)「手術不能、再発」乳癌の第1選択には「pertuzumab」が入る筈です。(担当医に確認すべきです。)
ただ「HER2陽性」だったのですね!(敢えて「!」を付けたのには理由があります)
○前回「bevacizumab + paclitaxel」を出したのは「HER2陰性を前提としての話」でした。
 現状、「抗ガン剤しか、手段がない」この状況では「HER2陽性」と言うのは「!」を付けたくなるくらい幸運なことです。
抗HER2療法は(抗癌剤の)「宝の山」です。
私であれば…
アンスラサイクリン(CEF)など行わず(現在、第1選択にはなりえません)
 まずは 「HER+pertuzumab+DTX(現在は、これが第1選択の筈です)」を行います。
       ↓
  おそらく、3カ月程度行えば「かなりの効果」が期待できます。
       ↓
 その次はというと、(通常)「カドサイラ」が「ガイドライン上」第2選択となります。
 ♯ただし、私は「ハーセプチンを温存」する観点から、(ここで)「bevaci
zumab+paclitaxel」とします。
       ↓
  ただし、ここは非常に選択肢が多い「HER+eriblinやHER+paclitaxelなど、HERとの組み合わせも十分に効果が期待できる」ので、「効果をこまめにチェック」して治療方針は「常にブラッシュアップ」していく必要があります。
「上記の治療方針である1,2,3に関して、先生の見解はいかがでしょうか。」
⇒上記とおりです。
 「誤り」と言えます。
「国立がんセンターのガイドラインに則ってということなのでご指摘はないかもしれませんが。」
⇒私は「国立がんセンターのガイドラインには興味ありません」が…
 さすがに、第1選択として「pertuzumab(パージェタ)」を用いないのは誤りでしょう。
「生検をせずに郭清をする」
⇒手術不能乳癌では(たとえ、抗ガン剤が著効して)「手術可能となった」としても「センチネルリンパ節生検の適応外」となります。
 ♯その点では担当医は間違っていません。
「先生に背中を押していただくことで不安から脱却できると幸いです。」
⇒「HER2陽性」であることは、「抗ガン剤を上手くマネージメント」すれば、「手術可能」となるチャンスが十分にありそうです。(実際に診察していないので、それ以上のコメントはできませんが…)
 きちんとしたビジョンで治療するようにしてもらってください。
 ★担当医に、せめて「pertuzumab(パージェタ)は使わなくていいのですか?」位は聞いてみてください。