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癌が広範囲で乳房の半分が癌ではないかと言われました。

[管理番号:4222]
性別:女性
年齢:36歳
12月(下旬)日にしこりを見つけ診察してから、マンモ、エコー、細胞診、造影CTをやり細胞診クラスIIIb、がんの疑いで、
大きな病院に紹介、先日マンモトーム、造影MRIをして結果待ちですが、大きな病院に診察した時、しこりは2×3で、マンモとエコーの結果を見て乳房の半分はガンだろうから、がんが確定したら全摘だと言われました。
そこで、ステージがまだ出ないのはわかりますが、よく分類にはしこりが2センチで~とかかかれてますが、あたしはしこりの大きさで見るのか、画像のがんの広がりでみるのか、わかりません。
また、前の病院で細胞診が3bにもかかわらず、がんが広範囲ならもうすでに初期ではなく進行がんになりますか?
がんが見つかった時点で2.3センチでは遠隔転移はないと先生はここで言ってますがあたしは広範囲だしリンパや遠隔転移はあるように思いますか?
結果を待つだけなんですが、心配でメールしました
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問の主旨とは離れますが…
「癌を疑っている」のに細胞診でクラス3bというのは、殆ど診断能力の欠如としか思えません。
そのような医師が診断することには大変な危惧を感じています。
「よく分類にはしこりが2センチで~とかかかれてますが、あたしはしこりの大きさで見るのか、画像のがんの広がりでみるのか、わかりません。」
⇒最終的には「(病理学的)浸潤径」となります。
 術前ステージのための「画像上の大きさ」は各種画像所見(主として超音波、時にはMRI)を基準として考えます。
「また、前の病院で細胞診が3bにもかかわらず、がんが広範囲ならもうすでに初期ではなく進行がんになりますか?」
⇒少なくとも「しこりが2x3cm」であれば「進行癌ではない」と言えます。
 その「広範な拡がり」とは「石灰化の拡がり」や「(乳管内の拡がりである)乳管内進展」なのかもしれません。
 それらは、「癌の進行とは無関係」です。
 ○つまり「非浸潤癌としての拡がり≠浸潤径=進行度」なのです。
「がんが見つかった時点で2.3センチでは遠隔転移はないと先生はここで言ってます」
⇒私くらい、症例を経験していれば自ずと解ることです。
「あたしは広範囲だしリンパや遠隔転移はあるように思いますか?」
⇒前述したように…
 「広範囲≠浸潤径=進行度」です。
 遠隔転移は「ほぼ100%」ありません。
 ♯全身検索(全身CTやPET,骨シンチなどの医療被曝)は質問者の年齢(36歳、妊娠可能年齢)から考えて、決してお勧めしません(勇気を出して断りましょう)
 ○リンパ節転移に関しては、エコーで診てもらえば済む話です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前丁寧に答えていただきありがとうございました。
先生が言った通り、おっぱい半分のがんはマンモトーム生検の結果、非浸潤がんでした。
しこりが3センチあるのに非浸潤がんには驚きです。
ただ、リンパ節の1つに1センチの腫れがあり、本来2相のリンパ節は1相で怪しいので細胞診をしました。
リンパの転移がなければ0期ですが、あれば2bとのこと。
先生の経験から見て、マンモトーム生検で非浸潤がんにもかかわらずリンパ転移はあると思いますか?
炎症でもリンパの腫れはあると言われましたが、炎症でも1相に見えたりするものですか?
また、2bは初期で今後も長く生きれますか?
子供が小さく再発の心配もあります。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
非浸潤癌とのこと。とても良かったです。
ただマンモトームはあくまでもサンプリング検査だから、手術標本で「微小浸潤など」が見つかる可能性はあります。
○それよりも私が気になるのは「腋窩リンパ節の細胞診」をしていることです。
 ♯細胞診をまともにできない医師が非常に多い事はしばしば指摘している通りで
す。そもそも今回もクラス3bでしたね。(結局癌だった訳ですから)本来はクラス5が出せなくては診断能力の欠如と言えます。
 上記問題はさておいて…
 「今回、腋窩リンパ節の細胞診をする必要があるのか?」よく考えてみてください。
 『(術前組織診で非浸潤癌であっても)原則として、手術時には「センチネルリンパ節生検」が推奨される。』これが大前提です。
 つまり、質問者の場合(術中に)「センチネルリンパ節生検を行う」のであれば、
(術前に)「腋窩細胞診をする意味が全くない」のです。(もしも転移があれば、結果としてセンチネルリンパ節転移陽性となり腋窩郭清するわけですから…)
 もしも(腋窩リンパ節の細胞診が陰性ならば)「(術中に)センチネルリンパ節生検も行わない」という方針であれば、筋は通ります。(しかし、それは本来推奨される事ではありません)
 
 

 

質問者様から 【質問3】

続けてすみません。
結果を待つ不安な時に質問に答えてもらい、どんなに救われているか。
ありがとうございます。
リンパ節の細胞診についてはあたしもセンチネルリンパ生検をやるのにと思いましたが、気づいた時には検査は終わってました。
最初の診断で細胞診で3bとでたところは最初の病院で、今は大きな病院で検査しています。
非浸潤がんとマンモトーム生検で出ても微小の浸潤が見られる時もあるとのこと。
マンモトーム生検ではなにをもって非浸潤がんと浸潤がんが判断できるのですか?
しこりは3センチ以上あるけど、そこを検査しても非浸潤がんだと言われ、しこりとは別の場所に浸潤があるという事ですか?
あったとしても浸潤径は少ないってことですよね
この前も質問しましたが、
リンパ節のニ相性が失われている場合は炎症でもなるのですか?
やはり、転移の可能性が高いのですか?
先生は以前1センチの腫れは大したことないと言ってた気がします。
よろしくお願いします
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
私の印象では…
「腋窩リンパ節の細胞診をやりたがる」背景には、「センチネルリンパ節生検の精度に自信が無い(もしくは時間がかかってしまう)」ことが背景にあるようです。
本来「細胞診」と(組織診である)「センチネルリンパ節生検」は同列に語られるべきでは無く、(下手な医師が行うと)「かえって混乱を招くだけ」のような印象があります。
「非浸潤がんとマンモトーム生検で出ても微小の浸潤が見られる時もあるとのこと。」
⇒その通りです。
 あくまでも「サンプリング検査」であって「病変全体を見ている訳ではない」ことは理解できますね?
 「外科的生検(腫瘍摘出)」以外に、術前に(浸潤/非浸潤の)確定はできないのです。
  ♯上記を背景として、(外科的生検以外の診断で)「術前に非浸潤癌の診断でも、センチネルリンパ節生検は推奨される」となるのです。
「マンモトーム生検ではなにをもって非浸潤がんと浸潤がんが判断できるのですか?」
⇒マンモトーム生検で採取した組織が「全て非浸潤癌」だった場合には「非浸潤癌」の診断となります。
 マンモトーム生検で採取した組織が(殆どが非浸潤癌だったとしても)「少しでも浸潤」があれば、「浸潤癌」の診断となります。
「しこりは3センチ以上あるけど、そこを検査しても非浸潤がんだと言われ、しこりとは別の場所に浸潤があるという事ですか?」
⇒全く違います。
 想像してみてください。
 ①まずは「乳管内」に癌細胞が発生します。(この時点では、この癌細胞に浸潤能はありません=非浸潤癌細胞)
 ②その(非浸潤癌の)「癌細胞」が「乳管内に増殖して(枝分かれした乳管の中を)広範囲に進展」します。(この時点でも、まだ非浸潤癌です)
 ③いずれ、そのどこかの癌細胞が(遺伝子変異して)「浸潤能を獲得=浸潤癌細胞」そして、「乳管を破って乳管の外(間質)へ浸潤」します。(浸潤癌の誕生)
 
 上記②の期間が長い(なかなか浸潤せずに、非浸潤癌として拡がる)と非浸潤癌の割合が多くなり、(逆に)②の期間が短いと浸潤癌の割合が多くなります。(非浸潤癌が殆ど無いことも少なくない)
 質問者の場合には「②の期間が長い」ことは間違いないとは思いますが、「②の状態に留まっているのか(実は)③に入っているのか」現時点では不明です。
 と、いうことで
  「非浸潤癌と浸潤癌は混在している」ことも多いのです。
   例えば、病変の95%が非浸潤癌だとしたら、(サンプリング検査としては多くの組織を採取する)マンモトームといえども、(僅か5%しかない)「浸潤部分に当らない」可能性がある。そういうことです。
「リンパ節のニ相性が失われている場合は炎症でもなるのですか?」
⇒なります。
 炎症というよりは「反応性腫大」ということです。
術前マンモトーム生検で「非浸潤癌」と出ている以上(微小浸潤は否定できないとしても)「リンパ節転移を想像」することは本来ありません。
「見る人が見れば」反応性腫大の可能性が高い事は解りそうなものですが…
 
 

 

質問者様から 【質問4】

以前は質問に答えてくれてありがとうございます。
リンパ節の細胞診は陰性でした。
今月末の手術になります。
そこでセンチネルリンパ節生検について
先生より、転移が一個か微小転移の場合郭清を省略する研究に参加するか、今まで通り少しでも転移があれば郭清するか、決めて下さいと言われてます。
あたしの場合、
リンパに怪しいのが見つかったものの、細胞診では陰性。
どっちを選ぶべきですか?
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
(質問者には気の毒ですが)
私が、その「大きな病院」とやらのやっている診療内容について、まともにコメントすることも憚れるように思います。
「リンパ節の細胞診は陰性でした」
⇒この「細胞診自体」精度が非常にあやしいと指摘せずにはいられませんが…
 ただ、「殆どが非浸潤癌である状況」を考えれば、実際に「陰性」なのだと思います。
 その意味では(転移が一個か微小転移の場合郭清を省略する研究に参加するか、今まで通り少しでも転移があれば郭清するか)などとは全く無関係に、術後にシンプルに「陰性だったので、(普通に)省略しました」で終わることでしょう。
 ★術前組織診で「非浸潤癌」で「腋窩細胞診」を敢えてするのであれば、(もしも、その手技自体に価値を見出すのならば)「むしろ、センチネルリンパ節生検の省略を提案」してもいいのではないか?
  そうでなければ、「腋窩細胞診自体、全く無意味(百害あって一利なし)」です。
「リンパに怪しいのが見つかったものの、細胞診では陰性。どっちを選ぶべきですか?」
⇒実際には、「どちらを選択しても」、結局「センチネル陰性で、郭清省略」となりそうだから、無意味な選択となりそうです。
 ♯逆に、もしもセンチネルリンパ節生検で陽性だったら、「わざわざ行った腋窩細胞診の結果との整合性」をどう説明するつもりでしょうか?
 ★参考までに
  私は「微小転移(2mm以下)なら郭清省略」しますし、「肉眼的転移(2mm<)」なら追加郭清します。(これがバランスがとれています)