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母のことで相談です

[管理番号:3395]
性別:女性
年齢:60歳
初めて投稿いたします。
Q&Aを毎日参考にさせていただいております。
60歳の母のことです。
先生のアドバイスを頂きたく、ぜひお願い申し上げます。
治療の経過は以下の通りです。
5月下旬 左胸にしこりを認識、10日ほど様子見
     乳腺外科に予約
6月中旬 初診
      マンモグラフィー、エコー、針生検(左乳腺から2本のCNB組織)
      →乳がんの疑い
6月下旬 骨シンチ、造影CT、血液検査など
      →骨・肺・肝臓・頸部には転移みられない
7月上旬 検査結果 ステージ2B、ルミナールBタイプ
      核グレード1(Atypia2+, Mitosis= Score3)
      ER-, PGR=30%, HER2=0, Ki67=25%
      左乳房に2cm位、0.5cmくらいの2つの悪性腫瘍
      湿潤性乳管癌で硬癌と診断される
      リンパ節に1個の転移と白い炎症状のものが見える。
     医師からは、すぐ手術するか、抗がん剤治療をするか聞かれた。
     抗がん剤の効果が必ずしも期待できないので、手術先行を勧められる。
7月下旬 手術、左乳房全摘、リンパ節レベル1・2を廓清した。
     (レベル③をみて転移があれば、レベル3も廓清すると言われたが、
      手術後はレベル1・2のみ廓清したと言われる。)
8月   病理検査結果 ステージ3C、ルミナールBタイプ
      核グレード3(Atypia3+, Mitosis= Score3)
      ER-, PGR=3%, HER2=0, Ki67=40%
      リンパ管・静脈侵襲、少数陽性
      リンパ節外の脂肪にも浸潤
      断端陰性
      リンパ節レベル2上部13/13、レベル2下部17/17
      乳房(乳腺)に2つの硬癌(25x10x20mm, 15mm離れて14x7mm)
8月下旬 術後の治療
      AC+タキサン 6ヶ月(3週間おき)、
      その後、アロマターゼ阻害剤と放射線治療をする予定
先生にお聞きしたい事は次の6点になります。
1、即手術を選択しましたが、正しい判断だったでしょうか?
2、病理の結果から、リンパ節レベル1は転移していないと考えてよいでしょうか?
3、抗がん剤の前に放射線治療をした方が良いのではないでしょうか?
4、ER-, PGR 3%でホルモン剤は効果があるのでしょうか?
5、5年生存率はどの程度になりますか?
6、術後治療のことで、特に注意すべきポイントを教えてください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「1、即手術を選択しましたが、正しい判断だったでしょうか?」
⇒勿論です。
 それは、「術前化学療法をすべきだったのでは?」ということですか?
 そんなことはありません。
 術前化学療法の目的は、あくまでも「小さくして温存」ということです。(化学療
法は術前でも術後でも効果は同等なのです)
「2、病理の結果から、リンパ節レベル1は転移していないと考えてよいでしょうか?」
⇒それも誤りです。
 レベル1をレベル2として提出しているだけでしょう。
 (レベルⅠをスキップしてレベル2に転移などありません)
「3、抗がん剤の前に放射線治療をした方が良いのではないでしょうか?」
⇒抗ガン剤が優先です。
 手術をしている以上、「放射線治療の効果は限定的」です。全身療法である抗ガン剤が優先します。
「4、ER-, PGR 3%でホルモン剤は効果があるのでしょうか?」
⇒ホルモン療法は「1%でも陽性ならば」行うべきとされています。
 病状からは「選択すべき」です。
「5、5年生存率はどの程度になりますか?」
⇒現在「NewAdjuvant.comに繋がらない」状態となっています。
 抗ガン剤投与により、かなり改善される筈です。
「6、術後治療のことで、特に注意すべきポイントを教えてください。」
⇒アンスラサイクリン+タキサンでいいわけですが…
 トリプルネガティブに近い形であることを考慮するとタキサンは「3週間毎のドセタキセル < 毎週投与パクリタキセル」をお勧めします。(通えるならば)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号(3395)です。
回答いただきありがとうございました。
術後治療が不安だったので、先生からの回答で非常に安心しました。
おかげさまで、混乱していた母を落ち着かせることができました。
アドバイスいただいたとおり、weeklyパクリタキセルでお願いしてみます。
さらに術後の治療内容について教えていただきたく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○抗がん剤治療について
抗がん剤でAC治療を受けるのですが、白血球低下による免疫力低下が気になります。
先生のコラムでG-CSFの予防投与について知りました。
1 G-CSFを投与してもらった方が良いでしょうか?
 副作用として骨に痛みが出るそうですが、副作用はそれだけでしょうか?
2 G-CSFを投与しない場合の免疫力の低下がどの程度なのか
  投与した効果がどの程度なのか、全くわかりません。
 初めは投与を見送り様子を見た方がいいでしょうか?
○放射線治療について
抗がん剤治療の後の放射線治療ですが、通院している病院に放射線科がなく、
他の病院を紹介されるようです。
1 Q&Aを読ませていただくと、リニアックよりもトモセラピーの方が良いと
  のではないかと思いましたが、母の場合も当てはまりますでしょうか?
2 トモセラピーに対応している病院が地元にありません。
  入院もできるとのことなので、江戸川病院にお願いしたいと思っています。
  手続き方法としては、手術記録と病理レポートが必要とありましたが、
  それを携えて放射線科の外来に伺えばよろしいでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「1 G-CSFを投与してもらった方が良いでしょうか?」
⇒まず、G-CSFには予防投与として用いる『持続型(ペグフィルグラスチム)』と『通常型(フィルグラスチム)』に分けられます。
 AC療法では必ずしも「白血球低下」が起こるとは限りません。
 ガイドラインでも「発熱性好中球減少症(白血球低下により発熱をするもの)の発現率が20%以上のもの」に使うべきであるとしています。
 当施設では、TCは全例にペグフィルグラスチム(予防的投与)を行い、EC(AC)は「実際に行い、発熱性好中球減少症となった場合のみ」ペグフィルグラスチムを行っています。
 ACの場合には、まず「予防投与(ペグフィルグラスチム)無」で行い、中間採血で低下した場合にフィルグラスチムを行います。
「副作用として骨に痛みが出るそうですが、副作用はそれだけでしょうか?」
⇒一過性の反応性の発熱も(時々)あります。(骨痛同様、一過性のもので心配無用
です)
 骨髄を刺激して白血球を産生するため、骨髄が豊富にある骨(胸骨や背骨)に痛みが起こるのです。
「2 G-CSFを投与しない場合の免疫力の低下がどの程度なのか  投与した効果がどの程度なのか、全くわかりません。」「初めは投与を見送り様子を見た方がいいでしょうか?」
⇒ACであれば、中間採血をして「必要時にフィルグラスチム投与」でいいと思います。
「1 Q&Aを読ませていただくと、リニアックよりもトモセラピーの方が良いとのではないかと思いましたが、母の場合も当てはまりますでしょうか?」
⇒鎖骨上を照射野に入れるとすれば、(通常の温存乳房照射よりは)トモセラピーで
ある意義が高くなります。
「入院もできるとのことなので、江戸川病院にお願いしたいと思っています。
手続き方法としては、手術記録と病理レポートが必要とありましたが、それを携えて放射線科の外来に伺えばよろしいでしょうか?」
⇒直接、放射線科受診となるので、まずは「病院代表から、放射線科外来」へ問い合わせてください。