乳がん手術は江戸川病院・東京

[管理番号:6044]
性別:女性
年齢:74歳

患者は女性。
4月に75歳になります。

これまでの経緯:
・昨年11月に、左胸にしこりを感じ、地元の医院を受診。

・要精密検査とのことで、大学病院で検査の結果、乳がんとの診断。

・1月初旬に左乳房上外側部の全摘手術を受けました。

・リンパ節への転移あり、併せてリンパ節も摘出しています。

・術前の化学療法・ホルモン療法とも行っていません。

・術前にPET検査を実施しており、現時点では他の臓器への転移は検出されておりません。

 患者の家族として心配でならず、ご多忙のところ、多数のご質問をさせていただき恐縮に存じますが、このあとの治療方針についてアドバイスいただけましたら幸いでございます。

組織所見:
Size of surgical materials 150×150×30mm 、 skin 130×50mm Histological type 130×50mm
Histological type   Apocrine carcinoma, DCIS(+)
Histological subtype DCIS : comedo > solid type Nuclear grade NG3
Vessel invasion ly0 , v0
Lymph nodes positive (n=7/20 , Level-Ⅰ:6/11 Level
Level-Ⅱ:1/6 Level-Ⅲ:0/3)
Surgical margin close to margin (#21で浸潤癌が大胸筋
側に200μm)
Location Left / C area
Tumor size 38×35×20mm (DCIS:40×35×12mm)
Stage pT2N2aMx、pStageⅢA (if M0)
Estrogen receptor negative
Progesterone receptor negative
Her2/neu 1+
MIB-1 Index 70-80%

※好酸性の胞体を有し、核異型の強い癌細胞を認める。
癌細胞同士の接
着性は非常に弱く、腺腔形成も認められない。
Apocrine carcinoma
carcinoma、扁平上皮癌、横紋筋肉腫の鑑別のため免疫染色を追加し
たところ、GCDFB-15:陽性、ck5/6:陰性、vimentin:陰性、p40
p40:陰性、MyoD1:陰性であったことから、Apocrine carcinomaと診断した。

ご質問事項:
①上記所見にもありますように、アポクリンがんと診断されました。
アポクリンがんは概しておとなしめで予後も比較的良好との話を伺う一方でで、MIB-1(Ki67)の値が高いことから増殖力が強いとの話も伺っています。
この二つの相反することから、今回のがんの性質としてはどのように理解すればよろしいでしょうか? また、MIB-1が70~80%というのは数値的にも相当高く、悪性度の高い部類に入るのでしょうか?(素人考えでは、高齢者はがんの増殖度や進行性も緩やかと思っておりましたが、MIB-1が高いということは、年齢に関係なく、増殖度や進行性は高いということでしょうか?) 家族としては、遠隔転移を何よりも恐れております。

②MIB-1は、がんの増殖能を示す指標とのことでした。
この増殖能というのは、がんが原発部位で拡大したり局所転移(近くのリンパ節など)したりする速さを指すのでしょうか? あるいは、がんが遠隔転移する能力の高さを指すのでしょうか? その両方、あるいはそのいずれでもないのでしょうか? がんの治療指針を与える重要な指標と称されるMIB-1の意味を正しく理解するためご教示いただければ幸いです。

③担当医師からは、半年間の抗がん剤治療と1ヶ月半の放射線治療を推奨されています。
一方で、先生の複数のQ&Aを拝見しましたところ、70歳以上については、抗がん剤が有効であることを実証するデータは存在していないと理解いたしました。
また、他の方の質問に対する先生のご回答回答の中で、70歳台でも特に70台後半の患者には、抗がん剤はあまり積極的に勧められていないとも記されていました。

先生が70歳台後半の患者には抗がん剤を推奨されていないのは、どのようなお考えによるものでしょうか? 副作用による体力低下と有効性のトレードオフによるものですか? あるいは、高齢者の場合、若年層に比べ、同じ経過年数で遠隔転移のリスクが相対的に低いといったご判断ががあるからでしょうか? 
あるいは、単純に、70歳台については抗がん剤治療が有効であることを実証するデータがないからでしょうか? あるいは、それ以外の理由でしょうか?

④がんの大きさ・種類(アポクリンがん)、リンパ節転移の状態・程度、核のグレード、サブタイプ、MIB-1の値などを勘案したとき、先生は、今回のがんについてどのような印象をお持ちでしょうか?

⑤上記④及び患者の年齢を踏まえたとき、先生でしたら、どのような治療方法を推奨されますでしょうか? また、病気の状態と治療方法に対する理解を深めるため、お手数をおかけしない範囲で、その治療方法をを推奨されるベースとなる考え方を併せてご教示いただけますとありがたく存じます。
(本人は、年齢を考慮したときに予想される、副作用による身体へのダメージへの抵抗感から、抗がん剤治療にはかなり消極的なな(否定的に近い)状況です。
一方で、将来の遠隔転移のリスク等を踏まえるとまえると、当該治療の必要性・有効性について正しい理解が必要とも考えておりますえております。) 

⑥今回のケースでは、放射線治療の必要性についてどのようにお考えでしょうか? 担当医師によりますと、胸部および鎖骨付近への照射を想定されているとのことでした。

⑦放射線治療を受けることを前提とする場合、放射線治療に加えて、抗がんがん剤治療を追加する/しないで、遠隔転移あるいは10年 or 5年生存率の確率はどの程度変わってきますでしょうか?

⑧リンパ節の転移について、Level-1が6/11、Level-2が1/6、Level
Level-3はゼロだったようです。
この結果から、遠隔転移の可能性について、どのように理解すればよろしいでしょうか?(家族の期待感としましては、Level-1がほとんどでLevel-2は1箇所のみというのが比較的軽微なリンパ節転移であり、遠隔転移リスクも低いということであれば、気持ちも楽になるのですが…)

⑨色々と調べておりましたところ、アポクリンがんについては、アンドロゲンが関連しているとの情報がございました。
この種類のがんでは、エストロゲンやプロゲストロンが
エストロゲンやプロゲストロンが陽性の場合に適用されるホルモン治療薬と同様、アンドロゲンを標的とする薬(ホルモン治療薬?)は現存していないのでしょうか? 素人の誤った理解に基づく質問ということでしたら、ご放念ください。

以上、非常に細かくかつ面倒なご質問をさせていただき恐縮に存じます。

家族として、少しでも良い方向に向かえばとの一心によるものとご理解いただけましたらいただけましたら、幸いでございます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「MIB-1が高いということは、年齢に関係なく、増殖度や進行性は高いということでしょうか?」
⇒考え過ぎです。

「MIB-1は、がんの増殖能を示す指標」
⇒あまり難しく考える必要はありません。

 単純に…
 「癌細胞の細胞分裂期にある割合」なのです。

 ♯細胞は(癌細胞に限らず)「細胞分裂期」か「休止期」かに分けられます。
 「細胞分裂期にいる細胞の割合が高い=Ki67の値が高い」という事なのです。

「増殖能というのは、がんが原発部位で拡大したり」
⇒これが正しい理解だと思います。(イメージとして)

「局所転移(近くのリンパ節など)したりするしたりする速さを指すのでしょうか? 」
⇒リンパ管に入ることとは全く無関係

「あるいは、がんが遠隔転移する能力の高さを指すのでしょうか? 」
⇒これも全く無関係です。

 「遠隔転移とは、血管に入り、入った後、臓器に生着すること」ですが、全く無関係です。

「③担当医師からは、半年間の抗がん剤治療と1ヶ月半の放射線治療を推奨されています。」
⇒75歳であれば、抗癌剤も放射線も行いません。

「単純に、70歳台については抗がん剤治療剤治療が有効であることを実証するデータがないからでしょうか?」
⇒その通りです。
 つまり、「70歳以上で、そのような臨床試験を組むことはない(無意味)」ということです。

「 先生はは、今回のがんについてどのような印象をお持ちでしょうか?」
⇒特にありません。
 私がグレードで物をいうことはありません。

「⑤上記④及び患者の年齢を踏まえたとき、先生でしたら、どのような治療方法を推奨されますでしょうか? 」
「今回のケースでは、放射線治療の必要性についてどのようにお考えでしょうか?」

⇒無治療です。

「その治療方法をを推奨されるベースとなる考え方を併せてご教示いただけますとありがたく存じます。」
⇒そもそも「術後補助療法(再発予防)」は必須ではありません。

 物事はバランスがあるのです。(ご本人が強く望めば、weeklyPTXくらいするかもしれませんが… 私から提案はしません)

「⑧リンパ節の転移について、Level-1が6/11、Level-2が1/6、LevelLevel-3はゼロだったようです。この結果から、遠隔転移の可能性について、どのように理解すればよろしいでしょうか?(家族の期待感とし的軽微なリンパ節転移であり、遠隔転移リスクも低いということであれば、気持ちも楽になるのですが…)」
⇒リンパ節転移を勘違いしているようですね?

 リンパ節転移が遠隔転移の直接のげんいんとなることは有りません。
 
 「Level-1が6/11、Level-2が1/6、LevelLevel-3はゼロだったようです」
 ⇒ここから解釈するとすれば…
  「リンパ節再発(鎖骨上など)のリスクが低い」可能性があるということです。(遠隔転移と結び付けることは間違いです)

「アンドロゲンを標的とする薬(ホルモン治療薬?)は現存していないのでしょうか?」
⇒ありません。

★あまり、頭でっかちにならずに「75歳の年齢」とのバランスで考えましょう。





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