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質問

[管理番号:5080]
性別:女性
年齢:39歳
田澤篤 先生
こんにちは。
最近乳癌と診断された39歳の者です。
正しい知識、ご経験に基づいた情報を提供してくださり、ありがとうございます。
一生懸命拝見しております。
1年前に出産
6/(下旬) 右胸に小豆粒大のしこりを自身で発見
6/(下旬) マンモグラフィーでは乳腺豊富で腫瘤確認できず、エコー上で血流豊富
で境界やや不明瞭な腫瘤(8.6×6.2×4.8mm)を確認、線維腺腫疑い、癌との
鑑別のため針生検
7/(上旬) 癌告知(pup-tab崩れの硬癌 Grade1: tubublar formation2/ nuclear formation 2/mitosis1)、MRI(他に広がりなし、エコーとサイズ変わらない
ことを確認)
Ki67、ER/PgR、Her2は検査中につき結果待ち
7/(中旬) CT、骨シンチ、8月に手術予定
という状況です。
まだ検査結果はすべて出揃っておりませんし、決して楽観視はしておりませんが、早いうちに見つかってよかったと言い聞かせ、先生のサイトを見て勉強しまして悲観的にならないようにしております。
質問がございます。
①Gardeを決定する要素の一つであるMitosisの数値とKi67の数値は「分裂」という同じことを表しますが、実際、Mitosis1ではKi67の値は低いグループ(25%以下?)になりますでしょうか?
②国立がん研究センターなどが乳がん生存率、再発率を出していますが、年代別で違いはありますでしょうか?相対生存率は見れますが、各年代毎の実測値は知ることができますでしょうか?
35歳以下の「若年性乳がん」ではI~IIIA1の予後は、非弱年性に比べ悪い、とのデータを厚労省若年がん患者のサバイバーシップ支援プログラムHPで閲覧しました。
30代(私は39.5歳なのでほぼ40歳ですが)は、高齢層と比較すると細胞が老化しておらず、また代謝が活発なので、そのあたりは再発率に関与してくる可能性はございますでしょうか?
統計データがない場合、先生のご経験からのコメントを頂戴できれば幸いに存じます。
③当方、間も無く1歳の双子がおります。
赤ちゃんたちは、腫瘤部分を含め顔やお腹や足などに私のからだの上に乗っかってきます。
癌と診断されて以来、自分が起きているときはなんとなく避けるようにしておりますが、就寝中などどうしても、避けられないときもあります。
このような、しこりの上からの物理的な圧迫や衝突、などは転移など病状の悪化に影響を及ぼすでしょうか?
私が質問させて頂く根拠ですが、しこりを揉んだり触ったりしない方が良いと知人より聞きました。
もし圧迫により転移するならマンモグラフィーで広がることになりますね、、、?あるいは生検で組織に衝撃を与えていますね、、、?
ご回答のほど、何卒よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
もしも質問者が本当に自分の身体のことを考えるなら、(その)「CTや骨シンチ」は勇気を持って断りましょう。
★それにしても「8.6mm」の(線維腺腫疑いとされているくらいの)癌に対して、そんな検査を組むことには(呆れを通り越して)憤りを感じます。(絶対に遠隔転移はありません。無用な被爆は避けるべきです。)
「質問がございます。
①Gardeを決定する要素の一つであるMitosisの数値とKi67の数値は「分裂」という同じことを表しますが、実際、Mitosis1ではKi67の値は低いグループ(25%以下?)になりますでしょうか?」
⇒その可能性がかなり高いです。
「統計データがない場合、先生のご経験からのコメントを頂戴できれば幸いに存じます。」
⇒年齢層は全く無関係です。
「しこりの上からの物理的な圧迫や衝突、などは転移など病状の悪化に影響を及ぼすでしょうか?」
⇒及ぼしません。
 少なくとも質問者のような小さな癌では「殆ど気にしない」ことをお勧めします。
「しこりを揉んだり触ったりしない方が良い」
⇒揉むことで皮膚に拡がることがあるのです。
 ○実際に(心配で?)一生懸命揉んでいた人が「皮膚が真っ赤」になって、手術中止となり化学療法となった人がいらっしゃいました。
 ただし、それは「意図的に激しく、執拗に」行った場合だけです。「不可抗力程度では決して問題になることはありません」
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
お忙しい中、コメントありがとうございました。
PET-CTや骨シンチの必要性を問い合わせましたが、「浸潤癌と診断されたら検査する」ことは学会のガイドラインに則った標準治療であると言われ、今後の治療していただく関係もありますので、検査を受けました。
京都では○○○○か○○○○かと言われており、○○病院は手術2~3か月待ちとの噂ですので、今かかっている○○しか選択肢はないのです。
結局転移はなく、安心材料にはなってくれました。
エコーでは腫瘤の最大径は8.6mmでしたが、MRIでは最大径7mmでした。
測定方法が違っても大きくはなっておらず安心しました。
口頭での説明のみで、プリントアウトはいただけなかったために細かい数字などは聞けなかったのですが、ER positive(モニター上ではほとんどの癌細胞が強く染まっているように見えた)、PgR positive(ERより弱い染まりに見えた)、Her2 +1、Ki67 30%でした。
医師からは
「閉経前(若い)だからKi67は30%くらいなものです、Her2は+1ですが、0か+1だとネガティブです、なのでルミナルBです、5年生存率は90%です」とかなりあっさりと説明を受けました。
今後の治療に関しては、
まずは手術をします、その手術が温存なら放射線治療(温存か全摘かは自分で決めてくださいね、全摘なら局所再発の可能性が数%減りますよ)、そして投薬(おそらく飲み薬と注射)、抗がん剤をするかは手術の後に決まりますがこれは多分しなくて良いかな、、
との説明も受けました。
田澤先生のQ&Aで予習してましたので、担当医からのコメントが予想していたものと違っており、ショックを受けております。
Gradeはギリギリ1(スコアは5点:tubular formation 2, nuclear polymorphism 2, mitotic counts 1)、nuclear gradeは1でしたが、Ki67が30%と予想より高くグレーゾーン/黒でした。
散々議論されているように、Ki67値は慎重に解釈せねばいけないことは認識しております。
私と同じような早期ルミナールの方のQ&Aを拝見すると、抗がん剤はいらないという見込みかと理解しております。
①オンコタイプデラックスをしたら(ルミナールAかBかがちゃんと判断できるため)よりよく自分の癌細胞を理解でき、予後がはっきりとして、この不確定なことによる(と思っている)不安感から解放されるのでしょうか?
オンコタイプデラックスは抗がん剤の要否を決めるものであることは認識しておりますが、Ki67染色像からの定量でルミナールA/Bと決められてしまうことが嫌なのです。
どの本やサイト見てもルミナールA/Bで治療方法や予後が違うと説明されており大事なパラメータであるのに、それを1種類の画像定量で決められるのが嫌なのです。
染色条件によって、あるいは陽性の数え方によって、違ってくるに決まっています。
治療に関する出費は惜しみません。
担当医からのコメントあまり心強いものではなく、不安になってしまったり、
あるいは先生のQ&Aで自分と似た病態の方の情報を見て少し安心したり、とにかく気持ちが上がったり下がったりしております、手術まで1か月、術後の病理結果が出るまで1か月半あります。
②MRI(造影剤)で7mmと言われましたが、手術してみて、実際のサイズはこれより大きくなることはありますか?
③この術前の情報での5年/10年の無再発生存率が知りたいです。
Adjuvant!Onlineを自分でしてみましたが、正しくできているか自信がありません。
④治療方針についても先生のコメントをいただきたいです。
赤ちゃんがいるので、あと20年は絶対に元気に過ごしたいです!
後手後手にならないように、ご教授いただければ幸いに存じます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
1cm以下の乳癌でPETや骨シンチをするとは…
しかも30歳代…
「①オンコタイプデラックスをしたら(ルミナールAかBかがちゃんと判断できるため)よりよく自分の癌細胞を理解でき、予後がはっきりとして、この不確定なことによる(と思っている)不安感から解放されるのでしょうか?」
⇒その理解でいいと思います。
「②MRI(造影剤)で7mmと言われましたが、手術してみて、実際のサイズはこれより大きくなることはありますか?」
⇒画像診断のレベルと病理診断のレベルでは検出能力が異なるのは御理解いただけますか?
 だから「2cmマージン」が必要なのです。
「③この術前の情報での5年/10年の無再発生存率が知りたいです。」
⇒ ホルモン療法単独で91% ホルモン療法+化学療法で94%となります。(10年)
 上記はルミナールAとBが混じっているので解釈としてはルミナールAならホルモン療法単独で94%、ルミナールBならホルモン療法+化学療法併用で94%と解釈できます。
「④治療方針についても先生のコメントをいただきたいです。」
⇒もともと早期だから、たとえルミナールBであってもホルモン療法単独でも予後良好と言えます。
 ただし、OncotypeDXをして「その数字で判断」することに賛成です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生
早速ご回答いただきありがとうございました。
オンコタイプデラックスをしようと思います。
これで中間と出たら、中間なんだと思って生きていくことにします。
すごくハイリスクの場合、抗がん剤はした方が良い、ということになりえますか?
上乗せ効果が低いので、しなくて良いという理解で正しいですか?
「③この術前の情報での5年/10年の無再発生存率が知りたいです。」
⇒ ホルモン療法単独で91% ホルモン療法+化学療法で94%となります。
(10年)
 上記はルミナールAとBが混じっているので解釈としてはルミナールAならホルモン療法単独で94%、ルミナールBならホルモン療法+化学療法併用で94%と解釈できます。
これについて、十分に理解できなかったため、確認させてください。
出していただいた値は、ルミナールAとBが混じっているということですが、
ルミナールBであれば、ホルモン療法単独では何%と予想されますか?
AとBの平均が91%、Aが94%(Aは抗がん剤の効果が薄いので、という解釈ですよね)として、Bは91%以下ということでしょうか?(AとBの母集団数次第でえらく引き下がるのでしょうか?)
細かい数字ですが、それが心の支えでして、理解して、そうなんだ、と思っておきたいのであります。
重ね重ねすみませんが、ご回答いただけますと幸いです。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
OncotypeDXについては『今週のコラム 70回目 高リスクは(化学療法による上乗せが大きいということだけでなく)『化学療法を行えば、中間リスクと予後は殆ど(3%程度しか)変わらない』その事を知ってもらいたいのです。』を参照してもらうといいでしょう。
Tam AloneのカーブとTam + Chemoのカーブの差(これが化学療法による「上乗せ」となりますが)はRSが高いほど大きくなります。
ただし、RSが高値でも化学療法をすることで(上乗せが大きい分)予後はそれ程変わらない(Tam + Chemoのカーブが寝ている)事も重要なことです。
「すごくハイリスクの場合、抗がん剤はした方が良い、ということになりえますか?
上乗せ効果が低いので、しなくて良いという理解で正しいですか?」

⇒上記コメント通りです。
 おそらく(早期だから)「上乗せは小さい=RSも大きくは無い」と予測します。
「これについて、十分に理解できなかったため、確認させてください。」
⇒単純にNewAdjuvant.comの数字を解釈しただけの話です。
 実際にOncotypeDXをするのならば、数字がでてきます。(頭でっかちになるのは止めましょう)
 ○質問者はまだ手術していないのですよね?
  予後のことは「実際に手術して病理結果が出てから」考えるべきものです。(治療方針については事前に理解して予測することは必要ですが…)
 
 

 

質問者様から 【質問4】

術後の治療について
性別:女性
年齢:39歳
手術が終わりました。
結局pT1a (0.45mm), Grade : 1 , Nuclear Grade : 1, センチネルリンパ生検(? 0/2)、ly or v : ? でした。
マージンを2.5cmずつ取っていただいたのですが、腫瘍から2cm離れたところに(断片から0.5mmくらいのところに)微小な非浸潤がんが新たに見つかりました。
これらが繋がっていて由来が同じかはわからないそうです(5mm間隔ごとにしか見ていないのでとの理由)。
Ki67が30%である結果を踏まえ、また、術前検査よりサイズが大きいかもしれないし、ということで、oncotypeDXを出す予定でした。
その結果次第では抗
がん剤 …と何度か話が出ていたのですが、思っていたより病理結果が良く、
oncotypeDXのオーダーすらしないことになりました。
①エコーでは最大径8.6mmだったので、このデータの乖離を不思議に思いますが、病理の結果を信じて良いのですよね?
今後の治療方針について教えていただきたいです。
非浸潤がんが見つかったので(他にも検査では拾えない微小なものがあるかもしれないとのことで)放射線照射”25回”の予定が”25回全体+5回局所”になりました。
ホルモン療法に関しては、注射と飲み薬を副作用や子宮内膜の状態を見ながらかな、と言われました。
術前、ホルモン療法は必須であると言われておりました。
「0.5mm以下」の分類となり方針が変わるのは理解できるのですが、子宮ガンのリスクや副作用次第ではやめてもいいよ、というような説明をされると、ホルモン療法は乳がん予防にはなるけれど、それはそれでリスクがあるものなのだと不安や迷う気持ちが出てまいります。
②メリットデメリットのバランスをどう考えたら良いのかわからないのでコメントいただけませんか?
④ 術後の治療方針、先生ならどのようになさいますか?
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
早期で良かったですね。
ただ「0.45mm」ではなく「0.45cm=4.5mm」の間違いですね?
本当に0.45mmならば、pT1aではなくpT1miとなるからです。
「①エコーでは最大径8.6mmだったので、このデータの乖離を不思議に思いますが、
病理の結果を信じて良いのですよね?」

⇒その通りです。
「②メリットデメリットのバランスをどう考えたら良いのかわからないのでコメントいただけませんか?」
⇒私ならホルモン療法は勧めません。(メリット<<デメリット)
「④ 術後の治療方針、先生ならどのようになさいますか?」
⇒放射線照射のみです。