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短期全乳房照射につきまして。

[管理番号:750]
性別:女性
年齢:44歳
はじめまして。
右乳房の浸潤性乳管ガンと診断され7月に温存手術を受けました。
病理結果はT1N0M0
ER 90%
pgR 90%
HER2 2+(FISHにてマイナス)
ki-67 9%
グレード1
断端陰性(ガン近接あり)
リンパ管侵襲 +
脈管侵襲  ー
今後の治療は放射線とホルモン治療です。
(放射線は追加ブーストありの予定)
放射線治療につきまして先日放射線担当医より
60Gy 30回と53,295Gy 20回のどちらでも
効果や副作用は変わらないので好きな方を選んで下さいと言われ
20回を選びました。
帰宅して改めて乳ガン学会発行のガイドラインを読んだところ
短期照射はまだ国内で標準治療じゃないことを知りました。
(その事に関して担当医より説明はありませんでした)
通院数が短いと助かりますが、ネット検索で国内での実証例の話も聞かず
不安が残ります。
治療しているのは大学病院なので患者数が多く
回数を少なくして患者を早く回したいのかもしれない、
臨床データを増やしたいのかもしれないなどと
余計な詮索もしてしまいたくなります。
そこで質問です。
・短期照射はしても大丈夫か。
・・短期照射はしても大丈夫か。。
 (回復に時間が掛かるか)
よろしければお答え頂けますとうれしいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「寡分割照射」の専門的な内容になるので、私よりも「放射線科医」の方が適任かもしれませんが、「乳腺外科医の立場から」回答します。

回答

 まずASTRO(American Society for Radiation Oncology:米国放射線腫瘍学会)のガイドラインが重要です。
①50以上
②pT1-2N0
③全身化学療法をゆあっていない
④中心軸平面での線量均一性が±7%以内
 以上、①~④を満たせば、寡分割照射も従来の照射と同等である。
 ただ、これらは日本人の体形にそのままあてはめられるのか?(つまり、皮膚や皮下組織の線量が大きくなるのでは?という危惧)という問題があり、
日本では多施設共同試験(JCOG 0906)が実施中です。
 これらを基にすると、質問者の場合には
「・短期照射はしても大丈夫か。」
⇒ASTROのガイドラインの①を満たしていません。 しかも④の問題があり、それについてはJCOG 0906の結果が待たれます。
 つまり、「大丈夫」とは言い切れません。
  
「・短期照射はしても大丈夫か。(回復に時間が掛かるか)」
⇒この点では④と関連し、「皮膚・皮下組織に線量が大きくなり」皮膚障害が強く長く出る可能性があります。
 やはり大丈夫とは言えません。
 
○上記のように、現時点では「不十分な」エビデンスと言わざるを得ません。
 現時点での乳癌ガイドラインでは(44歳であり①を満たさない質問者は)推奨グレードC1(細心の注意のもと行う事を考慮しても良い)となっています。