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右側乳房のしこり(腫瘤)

[管理番号:6597]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、初めましてお忙しい中よろしくお願い致します。
毎年、健康診断でエコーは受診しております。
今年4月の健康診断の結果、右側:腫瘤 左側:石灰化の判定になり、要検査。
今まで乳房に違和感や分泌液はないです。
シコリは触って分かります(触った感じではあずきより小さい感じです。要検査になるまで全く気付かなかったです)
最寄りの大学病院の乳腺科を受診しました。
再度エコーと3Dマンモを受け石灰化は経過観察で右側の腫瘤はその場で細胞診も行いました。
触診は一切なしでした。
その一週間後の検査結果は、鑑別困難との事で可能性しては乳管内乳頭腫の疑い。
そこで次はMRI予約をしました。
その検査結果は、良性ではなさそうな感じで先生は話してました。
すみませんショックであまり覚えてないのですが、
嚢胞の中に殆ど水分がなく?ほぼシコリと…
そのままマントームを行いました。
来週また結果を聞きに受診します。
そもそもMRIは先生が毎回おっしゃられてる様に無意味だったのでしょうか。
病院通いと時間の無駄な気がしてなりません。
①万が一の事を考え主治医に聞いたのですが、悪性だったとしても2センチ以下なので早期発見になるが、ステージはまだ分からないとの事でした。
ステージによっては患部切除手術で終わらない場合もありますか?とても不安でなりません。
手術をするのは患部切除の他にリンパ切除もしますと言われました。
②もし良性であった場合でも患部切除は全身麻酔の2泊3日入院と言われました。
田澤先生でした局所で日帰り可能ですよね?
③どちらにして来週結果が出て今後の話を主治医からされると思いますが、手術するなら田澤先生へお願いしたいと思っております。
子供が2人まだ小さいのでなるベく入院は短くしたいと思っております。
④田澤先生は悪性の可能性が高いと思われますか?またその場合は早期でしょうか。
⑤実はマントーム後に、なんとなく気になり乳首をつまんだら血液と黄色い液が別々の乳腺?から出てきました。
押せばわずかですが出てきます。
これはマントームを行ったからでしょうか。
多忙かとは存じますが、何卒宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「嚢胞の中に殆ど水分がなく?ほぼシコリと…」
→嚢胞内腫瘍のようです。
 「嚢胞(正常乳管が詰まったことで液体が溜まったもの)」とは全く異なりますので、きちんとした理解が必要です。
 (嚢胞とは異なり)嚢胞内腫瘍は、乳管にできた「腫瘍」が(増大して)乳管を閉塞して、(結果として)「液体も貯留している状態」なのです。 
 『今週のコラム 51回目 嚢胞内腫瘍 これは嚢胞ではありません』をご参照ください。
「そもそもMRIは先生が毎回おっしゃられてる様に無意味だったのでしょうか。」
→勿論です。
 MRIを(質的)「診断目的」で使用することは、無意味であるばかりか時に「MRI的免罪符」を(その担当医に)与えかねないのです。(ただし、今回は「経過観察」ではなく「組織診断」をしているのでその点はよかったです)
  ♯『今週のコラム 56回目 超音波で異常所見があるのに、MRIで異常がないから大丈夫。など、とんでもない診療です。』をご参考に。
「①万が一の事を考え主治医に聞いたのですが、悪性だったとしても2センチ以下なので早期発見になるが、ステージはまだ分からない」
→これは常識的に言って「ステージ0か1」となります。
 それ以上なら、「悪性だったとしても」という表現ではなく(画像だけで)「悪性だと確信できる」のです。
「ステージによっては患部切除手術で終わらない場合もありますか?」
→もしも浸潤癌なら…
 センチネルリンパ節生検(術中に腋窩リンパ節を1個取り、術中迅速診断で調べること)の適応がでます。
「手術をするのは患部切除の他にリンパ切除もしますと言われました。」
→これは上記(センチネルリンパ節生検)のことを言っているようです。
 ただし、嚢胞内腫瘍のようだし(画像上、浸潤癌の可能性がかなり低い)マンモトームで「非浸潤癌」なら「センチネルリンパ節生検の省略(腫瘍だけの切除)」でいいでしょう。
「②もし良性であった場合でも患部切除は全身麻酔の2泊3日入院」田澤先生でした局所で日帰り可能ですよね?」
→その通り。
 「2cm以下」の嚢胞内腫瘍を全身麻酔で行う理由がありません。
「手術するなら田澤先生へお願いしたい」
「子供が2人まだ小さいのでなるベく入院は短くしたい」

→ご希望であれば、秘書メールしてください。
 最善の方法をとるべきです。
「④田澤先生は悪性の可能性が高いと思われますか?」
→嚢胞内腫瘍は(腫瘍が乳管内にとどまり)画像上「乳管外の浸潤所見が無い」ため、画像診断による「良性悪性の判定」は困難です。
 ただ、一般的に「嚢胞内腫瘍」の画像所見の参考となるのは、「広基性なのか?狭基性なのか?」です。
 その意味で「嚢胞の中に殆ど液体がなく、ほぼ腫瘍」となると「広基性=癌の可能性が高い」ことを想像します。(担当医もその連想でしょう)
 

「またその場合は早期でしょうか。」
→勿論!
 ☆大原則として
  進行した癌は(診断に苦慮することなどなく)「画像だけで、癌と断言できる」のに対し、
 
  「早期で、大人しければ大人しいほど」良性と鑑別が難しくなるのです。
「⑤実はマントーム後に、なんとなく気になり乳首をつまんだら血液と黄色い液が別々の乳腺?から出てきました。」
→乳管と連続しているわけだから、それが乳頭へ出てくるのは「寧ろ当然」です。
「押せばわずかですが出てきます。これはマントームを行ったからでしょうか。」
→勿論!
 腫瘍からの出血が(乳管を通って)乳頭から出てくるのです。(マンモトームでは、その腫瘍をピンポイントではなく、当然ながら周囲の乳腺も多少は出血させるから、複数個所から出血しても何ら不思議ではありません)

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