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非浸潤性乳癌か良性腫瘍か

[管理番号:82]
性別:女性
年齢:38歳
6月に乳がん検診を受けて大丈夫だったので安心していたのですが、その少し後から左胸に少ししこりがあるのが気になっていました。
でも行ったばかりだし、と気になりながら12月ごろ。
しこりから繋がった乳首上の乳腺が筋というか全体が手で触ると腫れているような感じで。
生理前だからかと2.3ヶ月様子をみていたのですが、変わりがないので、しこりも相変わらず。
 
思いきって1月に受診しました。
マンモと超音波をやり、やはり良性であろうという診断でした。
3ヶ月後にまた大きくなってる様なら針を刺して検査してもと。
ただなんで乳腺も腫れてるのかしこりもと不安を投げかけたら気になるなら今回やりましょうかと。
やって頂きました。
 
そうしたら前癌病変に似ている細胞とのこと。
非浸潤性乳癌か良性腫瘍かわからないとの診断でした。
もう少し太い針で細胞を取る検査をしてもはっきり分かるかわからないと。
それか良性でも気になるかたもいるので手術との選択もでました。
家族と相談してセカンドオピニオンを頼んでみましたが国立がんセンターが紹介先でした。私の判断は正しかったでしょうか?これから行ってきます。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 診療内容の流れについて、非常に解り易く記載してありますね。
 まずは「状況の確認」をした上で、引き続き回答します。

状況の確認

 今回行った「針を刺して検査」は「細胞診」と思われます。
 ※この場合には通常、局所麻酔無しで行います。
 細胞診で「前癌病変に似ている細胞」 ⇒これは「鑑別困難、英語表記ではindeterminate」と思われます。(大事なことは、医師から結果を聞くだけではなく、検査結果報告書を実際にもらうことです)
 「もう少し太い針で細胞を取る検査」 ⇒これは「針生検」の事でしょう。

回答

「家族と相談してセカンドオピニオンをたのんでみましたが国立がんセンターが紹介先でした。私の判断は正しかったでしょうか?」
⇒私個人の意見としては、「間違いとは思いませんが、針生検をしてからでも良かったのでは。」と思います。
 「細胞診」は「明らかに良性と思われるもの」にしか本来しても意味はありません。(例えば、のう胞の中身が液体で有る事を確認するとか)
 今回のように、「もともとマンモや超音波で良性と思われる」ようなものには最初から「針生検」をすべきだったと思います。
 「細胞診で鑑別困難やindeterminate」と出た場合に 予測される組織型は「細胞異型を伴う病変:異型乳管過形成、非浸潤癌、乳管内乳頭腫」などが考えられますが通常は針生検で診断がつきます。
 ●確かに、稀に針生検をしても「異型乳管過形成」と「非浸潤癌」の区別が尽きずらいことはあります。その場合には「外科的生検」が勧められます。
 
 いずれにしても、「前医」で針生検をしてみても良かったのではないかと思います。
 ※実際に「針生検でも、確定診断がつかない場合」にはセカンドオピニオンも選択肢としてはいいと思います。
 
◎もうすでに「国立癌センターにセカンドオピニオンに行く事に決めた」とあるので、それはそれで勿論いいのですが「国立がんセンターの判断が必ず正しい」訳ではありません。
 最終的にはご本人の「確定診断を必ずつける」という意思が重要だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお返事ありがとうございます。
病院に行き持参した病理検査では同じ結果でした。
また1から全部検査をしていただきました。
(血液検査、マンモ、超音波、MRI、針生検)
そして、悪性と診断が出ました。
MRIの結果。左胸に5cmほど広がっているそうです。
非浸潤性乳がんとの事ですが、結果が4月上旬に出て、(症状は年末)6月上旬あたりが手術予定です。
私は、結果が出た以上子供も小さいので、全摘を選びました。同時に再建も出来るとの事なので、お願いしようと思っています。
そこで質問です。

  1. 病変の範囲が広いので浸潤の可能性はありますよね。その場合、手術までの期間があるので心配です。浸潤があった場合の治療方法は変わりますか?(今のところ全摘すれば放射線治療はなし)と言われてます。
     
  2. 乳房再建
    広背筋皮弁法とエキスパンダーで悩んでます。
    説明はうけたのですが、術後の経験者の方の話がなかなか聞けません。

術後はエキスパンダーの方が社会復帰は早そうなので子供も居るしその方がいいかとも思うのですが、また入院しないといけないようなので。。
それにやはり異物に少し抵抗があります。
色々された方を見ていらっしゃる先生のご意見お聞かせ下さい。
広背筋皮弁法は傷口の術後痛み、社会復帰までの時間など気になります。
それから左肩がやはり年末から痛みがあります。先生には言ったのですが、考えすぎと言われました。骨に転移みたいな悪い方を考えてしまいます。なかなか痛みが引かないのでやはり心配です。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 2月16日に「非浸潤性乳癌か良性腫瘍か」と相談いただいた方だと思います。
 あれから診断までに「2カ月近く」更に手術まで「2カ月近く」との事。
 私の常識では、考えられない「長すぎる期間」です。
 前のメール内容からすると「○立○ん○ン○ー」へセカンドオピニオンへ行ったことと思いますが、
 もう「ブランド病院」については、あまり言いたくはないのですが。
 「長すぎる診断までの期間」と「更に続く手術までの長い期間」
 得られる「ブランド感」は人好き好きで「無害なもの」かもしれませんが、その代償が何であるか?「癌が進行性の病気」であることを今一度確認して欲しくなります。

回答

「1.病変の範囲が広いので浸潤の可能性はありますよね。その場合、手術までの期間があるので心配です。」
⇒その通りです。私も心配です。
 ※2月にメールをいただいて「まさか、まだ手術をしていない」とは正直思っていませんでした。
 5cmの非浸潤癌だとして、2月の受診から(6月の手術まで)4カ月もかかっています。
 とても、「その位、大丈夫」と言える人(乳腺外科医)はいないでしょう。
 
「浸潤があった場合の治療方法は変わりますか?(今のところ全摘すれば放射線治療はなし)と言われてます。」
⇒(この点について、話がないとしたら担当医の説明不足です)
 「非浸潤癌」は「癌が乳腺内に留まっていて、全く外部へ出ていない状態」なので「乳腺を全摘出することで根治」となります。
 当然、放射線治療も薬物療法も一切適応はありません。
 
★ところが「浸潤癌」となった場合(1mmでも浸潤部分が見つかれば、浸潤癌の診断となります)「乳腺を全摘出しても根治とはなりません」
⇒浸潤の程度によっては薬物療法(ホルモン療法や化学療法)の適応がでます。
 ※術後照射の適応は「リンパ節転移があった時のみ」であり、「浸潤癌でもリンパ節転移陰性ならば、術後照射の適応はありません」
 
「2.乳房再建 広背筋皮弁法とエキスパンダーで悩んでます。 説明はうけたのですが、術後の経験者の方の話がなかなか聞けません。」
⇒これは非常に悩ましい問題です。
 「正しい回答」というものは存在しません。
 形成外科医によっても「インプラントを勧める医師」と「自家組織再建を勧める医師」に分かれています。
 ただ「社会復帰」や「術後の傷口の痛み」を考えれば「インプラントの方がいい」と思います。
 やはり「自家組織再建」は「本来手をつけなくても良いはずの」筋肉を用いるので「インプラントによる違和感」以上の体全体の「違和感や痛み」を覚悟しなくてはなりません。
 「きれいな仕上がりは自家組織再建」であり、「体に負担の少ない再建はインプラント」という考え方が適切だと思います。
 
「左肩がやはり年末から痛みがあります。先生には言ったのですが、考えすぎと言われました。骨に転移みたいな悪い方を考えてしまいます。なかなか痛みが引かないのでやはり心配です。」
⇒私も「浸潤うんぬんは別として」遠隔転移(骨転移)の可能性はさすがに無いと思います。
 ただし、手術まで「2カ月」もあるのだから「骨シンチぐらい」やってもいいのではないでしょうか?(治療までの長すぎる期間が不安のもとだとすれば、その長い期間内でできることは何でもしてあげるべきと思います)