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妊娠期乳癌

[管理番号:5345]
性別:女性
年齢:44才
初めまして。
術後治療と出産についてご相談です。
8/(上旬) 右乳房全摘&再建手術
8/(中旬) 退院
8/(下旬) 妊娠判明(6週目心拍確認)
<病理結果>
ステージ1
組織型 浸潤性乳管がん(乳頭線菅がん)
大きさ 9×8mm
    ※同じくらいの大きさが2つあり、お互いが非浸潤性がんで繋
     がっていたそうです。
リンパ節 転移なし
ホルモン受容体
 エストロゲン受容体 95~99%
 プロゲステン受容体 99%
HER2 0~1
Ki67 37~43%
脈管侵襲 なし
主治医からは、本来であればホルモン治療5~10年、希望であれば化学療法3か月だけど、妊娠しているのでホルモン治療は出来ない。
出産後にホルモン治療をすることも可能だけど、開始を10か月遅らせることによる再発転移のリスクがどの程度かは、症例が少ないのではっきりとは分からない、と言われました。
告知の前まで、二人目が欲しくて(長男4歳)妊活中で、週数から逆算すると、告知直前に受精したようです。
主人は、私の体の方が大事だから、子供を出産することでがん再発や転移のリスクが高くなるならば、子供は諦めてもいいのではないかと言ってくれてます。
ただ、私の方が、心拍確認までできてしまうと、可能であれば産みたいという思いが強く、どうしたらいいのか判断が出来ず途方に暮れております。
主治医からは、乳がんは再発すると完治はしないですよ、と言われ、まだ長男が4歳なので、まだまだ死ぬわけにはいきません。
ネットで色々調べると、最近は妊娠継続と乳がん治療の両立も出来ると書いてあったのですが、その提案が主治医からなかったのは、私の病理結果のKi67の数値が悪かったからでしょうか?
私の病理結果で妊娠継続は難しいでしょうか?
また、出産後にホルモン治療では遅すぎるのでしょうか?
2年前にも一度妊娠したのですが、その時は心拍確認出来ずに流産して
おります。
可能であれば、妊娠継続したいと思っております。
何卒、アドバイスをお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b, pN0, luminal
完璧な早期癌です。
まずは、その認識が必要でしょう。
実際に、(特に早期では)副作用を理由にホルモン療法を断る患者さんもいらっしゃいます。
自分のライフスタイルに合わせたQOL重視という考え方にたつと、「妊娠のためにホルモン療法を行わない」というスタンスは全く問題ありません。
更に、妊娠出産が再発リスクを高めるというエビデンスはありません。(担当医が気にしているのは、「高めないというエビデンスもない」ということです)
実際に「妊娠出産授乳」が乳癌リスクを低下させる事は間違いないのであるから、
「ホルモン療法をしないリスク」と「妊娠出産授乳をすることによるベネフィット」は後者が勝ると私は思います。
「その提案が主治医からなかったのは、私の病理結果のKi67の数値が悪かったからでしょうか?」
⇒無関係です。
(ホルモン療法をやらずに)「妊娠出産授乳することが再発リスクを高めない」というエビデンスが無いからでしょう。
「私の病理結果で妊娠継続は難しいでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 妊娠出産授乳⇒ホルモン療法でいいのです。