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両側全摘再建しましたが、妊娠中に肝転移ありで発覚しました。

[管理番号:5855]
性別:女性
年齢:41歳
妊娠8ヶ月からAC療法を始めましたが、産後のCTで肝臓の転移が大きくなっていることから、パクリタキセルとアバスチンに変更しました。
今後の治療やその他ご意見を伺いたく、質問させていただきます。
【経緯】
2015年11月 長女出産13ヶ月後に左胸に広い石灰化が乳癌だと発覚(非浸潤(10ヶ月で左胸の母乳を飲まなくなり、卒乳後、搾乳が左だけうまくいかず受診)
→地元の乳腺科医院から、大学病院を紹介されて転院
12月 マンモトームの結果、右胸下方の小さな石灰化も乳癌だとわかる
(非浸潤)
2016年2月 両側全摘再建手術、センチネルリンパ生検では両方転移なし
(病理結果は、左は一部浸潤、右は非浸潤、右のみ乳頭が残っています)
術後治療なし
12月再発なしの確認(エコー)
2017年1月シリコン入れ替え手術
3月妊娠確認
5月胸より上(喉下10センチ、少し右側)のぽこっとしたものを認識
(骨?かと)
8月右胸、右脇の痛みが強くなり(シリコン入れ替え後の痛みだと思っていた)右脇にしこりも確認し乳腺外科で針生検と細胞診で乳癌確認
全摘しているので、細胞レベルで残っていた乳腺(取りきれない)に新たにできたと考えるとのこと。
→エコーで肝臓転移確認 1.8cm 及びいくつか
→脳MRI(造影剤なし)で転移なし
→骨、肺は妊娠中なので確認できず
→出産直後のレントゲンでは問題無し
【サブタイプ】
初回 ER90 PgR90 HER2  2+→FISHで-  Ki67値 20-30
今回 ER90 PgR80 HER2  0 Ki67値 20-30
質問①今後の治療について
肝臓に転移があることから、まずはそれを叩くために抗がん剤治療を開始。
妊娠中でも使えるAC療法を8月(下旬)日に開始しました。
3クール終わって、10月(上旬)日に出産
4クール(ジーラスタの副作用が激しかった)終了後、CT、心臓エコー実施
右胸のしこりと脇のリンパ節は小さくなったものの、結果肝臓の影は大きくなっており、効いていないため、パクリタキセル+アバスチンに変更
CTで肺に胸水が両方に少し溜まっているのと、心臓の周りにも水が溜まっているとのこと。
ただし、新しい病巣、転移はないということで、肺の転移はないようです。
(CTだと小さな転移は見えないということでしょうか)
→今の状況では、パクリタキセル+アバスチンがベストな方法でしょうか
→今後の治療としてはどのような方法がありますでしょうか
→内科で肝臓の状況について一度診察した方がよいでしょうか。
(乳がんの転移以外の症状がある場合があるのでしょうか)
質問②再発なのか、新規なのか、なぜいきなり転移したのか
すでに両側全摘再建していること、前回とは違うタイプであること、右側は下方に小さかったため(今回は喉下10センチ、少し右側のしこり)
再発というよりみ、細胞レベルで残った(取ることができない)乳腺に新規でできたと考えると言われました。
→先生の場合、どのようにお考えになりますか?
→過去におなじような事例はありましたか?
→上記サブタイプは違うタイプということなのでしょうか?
→Ki67値からそこまで早く進まないタイプなのかと思いますが、12月エコーで見えなかったものが8ヶ月で肝転移まで行くのは妊娠、全摘していることが影響しているのでしょうか?(主治医には、細胞の性質であると)
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
治療の経緯はわかりました。
アンスラサイクリンが効かずに「bevacizum + paclitaxel」治療への変更は妥当な判断です。
「質問②再発なのか、新規なのか、なぜいきなり転移したのか」
「細胞レベルで残った(取ることができない)乳腺に新規でできたと考えると言われました」

⇒これを新規と考える理由はありません。
 それこそ、残っていない筈の乳腺から新規に癌が発生するのは確率的には相当低いし、(もしも新規発生なら)相当の年数が必要だと思います。(サブタイプが違うといいますが、どちらもルミナールです)
 常識的に考えれば局所再発と(血行性)転移でしょう。
「前回とは違うタイプであること」
⇒?
 どちらもルミナールです。(HER2の0と2+は殆ど無意味)
「先生の場合、どのようにお考えになりますか?」
⇒早期再発と思います。
「過去におなじような事例はありましたか?」
⇒同様な事はあります。
「→上記サブタイプは違うタイプということなのでしょうか?」
⇒どちらもルミナールです。(同タイプです)
「12月エコーで見えなかったものが8ヶ月で肝転移まで行くのは妊娠、全摘していることが影響しているのでしょうか?」
⇒特に関係ないでしょう。