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粘液がんについて

[管理番号:3589]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、はじめまして。
2016年8月(上旬)日に
粘液がんで、右乳房全摘 + 再建 (エキスパンダー挿入)をうけました。
手術前は、DCISで非浸潤でしたが乳頭から乳腺の中を広い範囲で広がっていたので、全摘手術となりました。
その後の、病理の結果が出て
残念ながら8ミリの浸潤がみられたということでステージ1になりサブタイプを考慮して、
TC療法と、その後ホルモン療法をすすめられました。
手術前は、非浸潤癌ということで全摘して終わるのかとおもっていたのでショックで、聞いた話がバラバラになってしまいましたが
HER2 が陽性だと予後はあまり良くないが、ハーセプチンといういいお薬があるのだけれども
私の場合は、陰性なので、抗がん剤と、女性ホルモンの反応もあまりよくないが、
PgR+,5%あるのでホルモン療法も追加しましょう。
といった内容でした。
病理の結果は以下のとうりです。
Rt.CA.pT1b(8×7.5mm) ,f, ly(-), v(-), NOMO Margin:negative ( 〉5mm ) Nuclear grade3 (3+2=5).
ステージ1
リンパ節転移なし
広範囲にDCISが広がり、篩状、乳頭状主体で、腺腔内に壊死
石灰化が見られます。
細胞は多形、異型が目立ち
high-grade DCISが主体です。
標本6,7にinvasive fociがあり、充実状、索
状の配列を示す
腫瘍細胞周囲に粘液の豊富な粘液がんの像を呈しています。
ER-,0%(intensity score0,proportion score 0)
PgR+,5%(intensity score2,proportion score 2) (cut-off1%(CAP),J-score2)
HER2/neu 陰性 (score 1+)
Ki-67 陽性細胞率:21.7%
内因性サブタイプ : luminal B (HER2 陰性)
そこで、先生にご質問させていただきたいのは
本当に、抗がん剤とホルモン療法で根治はめざせるものなのでしょうか。
下の子供がまだ4才なので、今の医学で出来るだけの治療を、したいと思っていますが
抗がん剤の副作用などを考えると、迷いと不安がでてしまいました。
先生なら、どのような治療をすすめられますか?
また、粘液がんはおとなしくないものもあるとききますが
私は、どちらのほうになりますか?
予後、再発率、10年生存率は、治療の上乗せは、どれぐらいでしょうか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
世の中には情報が独り歩きして、(直ぐそこにある筈の)「真実」が隠されていることがあります。
質問者はあくまでも早期癌 pT1b(8mm), pN0, pStage1です。
10年前ならば「抗ガン剤のこの字も出なかった」でしょう。 そして、それで再発したわけでもないのです。
サブタイプは重要な概念であり、治療方針の核ではあります。
ただし、「早期癌まで、サブタイプのせいで悪者にされる」のは私には「見ていられない」のです。
◎ちなみにNCCNのガイドラインでは例えトリプルネガティブでも(質問者はルミナールですが)
 浸潤径≦5mm  無治療
 5mm<浸潤径≦10mm 化学療法を考慮する
 10mm<浸潤径    化学療法が必須
 質問者も、あくまでも化学療法を「考慮」するという程度なのです。
「本当に、抗がん剤とホルモン療法で根治はめざせるものなのでしょうか。」
⇒考え過ぎです。
 あくまでも「早期乳癌」です。
 情報に踊らされて「真実が隠されている」だけにすぎません。
「先生なら、どのような治療をすすめられますか?」
⇒トリプルネガティブならば迷いますが…(最終的にはご本人次第です)
 質問者はルミナールタイプなのだから「ホルモン療法単独」でいいと思います。
「また、粘液がんはおとなしくないものもあるとききますが私は、どちらのほうになりますか?」
⇒7mmの浸潤径で気にする事ではありません。
「予後、再発率、10年生存率は、治療の上乗せは、どれぐらいでしょうか?」
⇒NewAdjuvant.comでは

再発率 10年生存率
無治療 19% 92%
ホルモン療法 12% 94%
ホルモン療法+抗癌剤 8% 94%