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抗がん剤治療、分子標的治療をやるべきか

[管理番号:2800]
性別:女性
年齢:34歳
2月初旬に左乳がんと診断され、2月末に温存手術を受けました。
腫瘍の大きさ
43×34mm
浸潤径 10×9mm
組織型 硬癌
ly +
v –
グレード 2
リンパ節転位 0/1
ER 陽性
PgR 陽性
HER2 2+ FISH法
2.05(陽性)
Ki67 25%
遠隔転位 無
病期 T:1 N:0 M:0
ステージ Ⅰ
HER2陽性でしたが、FISH法の結果が2.05という値であったため、医師からルミナルAとBのちょうど中間だと言われました。
今後の治療については「ホルモン療法と放射線治療は行いますが、化学療法+抗HER2療法をするかしないかはあなた次第です」と言われました。
家族や知人に相談し、少しでも再発の可能性が減るならばと一旦は「化学療法+抗HER2療法」を決意したのですが、医師からやってもあまり意味がないかもしれないこと、卵巣機能低下の可能性から卵子凍結も視野に入れなければいけないことを考慮し、もう一度考え直すよう言われてしまいました。
ホルモン療法と放射線治療だけでも良いのか、抗がん治療+抗HER2療法もすべきなのか、すっかりわからなくなってしまい、なかなか決断できません。
やらずに済むならやりたくない気持ちと、やらずに再発したら後悔するのでは?という気持ちが入り交じっています。
また、医師からは判断材料としてoncotypeDXを勧められました。
高額な検査とのことですが、やる価値はあるのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0. luminalB(HER2陽性), NG2
完璧な早期癌です。
pT1bとなると「抗ガン剤をすべきか?」という問題となってきます。(NCCNのガ
イドラインでは「考慮すべき」という範疇に入ってきます)
♯しかし(通常の抗ガン剤とは異なり)「抗HER2療法となると、やらないのはもった
いない」と思ってしまいます。(それだけ、効果は絶大なのです)
「HER2陽性でしたが、FISH法の結果が2.05という値であったため、医師からルミナルAとBのちょうど中間」
⇒まあ、担当医の言わんとするところも解りますが…
 明確に「カットオフ値が2.0となっている」以上、「HER2陽性乳癌」としての治療
戦略をたてるべきでしょう。
 
「医師からやってもあまり意味がないかもしれないこと」「もう一度考え直すよう」
⇒これは「無責任な発言」と思います。
 「適応がある」以上、「あまり意味がない」などと「自分の憶測でものをいう」こ
とは控えるべきです。
 「抗HER2療法」は「効果と副作用のバランスがもっとも、すぐれた治療」なの
ですから。
 
「抗がん治療+抗HER2療法もすべきなのか、すっかりわからなくなってしまい、なかなか決断できません。」
⇒私には、「抗HER2療法をやると決意」したけど、「担当医につっぱねられた」様
にみえますが…
 それは決してあってはいけないことです。
 
「医師からは判断材料としてoncotypeDXを勧められました。高額な検査とのことですが、やる価値はあるのでしょうか?」
⇒やる価値は「ありません」
 ガイドラインでも「Oncotype DXを治療選択に考慮するのはluminal typeの中でもHER2陰性の時」だけなのです。
 質問者のケースでは『pT1bの場合には(それ自体、予後良好であるため)HER2陽性であっても、抗HER2療法の有効性が検討されていない=有効性の証明がない」』ことを、どう考えるか??なのです。  
○私の個人的な意見では(例え、pT1bであっても)「抗HER2療法をやらないのはもっ
たいない」と考えます。