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マンモトーム生検の結果(悪性疑い⇒良性の乳腺症)

[管理番号:1215]
性別:女性
年齢:37歳
今年の健診時のマンモグラフィーで右乳房に石灰化があり、カテゴリー3となりました。
2年前に要精検となった際に精密検査を受けた病院でマンモグラフィーと超音波検査を
しましたが、超音波では何も見つからず、前回の画像と特に変化がないこと、石灰化の
形も丸くまばらで濃淡もないため問題ないでしょうと言われましたが、もしも気になる
ようなら組織を取って検査してみるのも良いとのことで総合病院を紹介されました。
その総合病院は、6年前に始めて要精検となった際に受診した病院で、今回6年前の画
像と比較したところ、石灰化の数が増えていたため、念のためマンモトーム生検を受け
ることにしました。
その結果、6方向から組織を採取しいずれにも乳腺組織が採取されており、いずれの検
体にも乳管の拡張や乳房の委縮がみられ、拡張した乳管の一部では上皮細胞が核腫大、
核濃染を示して増生しているためDCISの疑いという病理診断が出ました。
主治医の先生も組織の画像を見て「悪性だと思う」と言い、乳がん専門の看護師さんも
細胞の崩れている部分を示し、この辺ががんだと説明してくれました。病院では部分切
除をして術後診断で乳がんと確定すると言われたのですが、マンモグラフィー・超音波
・マンモトーム生検までしても診断が確定せずに手術を受けることが不安だったので、
病理のセカンドオピニオンを受けることにしました。
病理のセカンドオピニオンの結果には「アポクリン嚢胞と閉塞性腺症からなる乳腺症、
異型上皮は見られず悪性を示唆する所見はない、乳腺症で良性病変、標本上には石灰化
ははっきりしません」と書いてありました。
良性という結果が出てとても嬉しかったのですが、セカンドオピニオンをお願いした
ところは病院ではないため治療は受けられず、主治医は総合的に判断するけど切れば
わかるとの見解で、私はがんじゃないならやはり手術は受けたくないです。できる限り
術前検査ではっきりとさせたいです。現在、MRIの結果待ちでCTはまだ撮っていません。
セカンドオピニオンで別の医療機関に行くことも考えますが、同じ標本を使えばまた
同じ結果が出るのではないかとか、仕切り直して改めて全ての検査を受け直すべきか
とか、色々考えますがどうするのが最善なのかわかりません。
今後どのような方法がありますでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「6年前の画像と比較したところ、石灰化の数が増えていたため、念のためマンモ
トーム生検」
これは賢明な判断です。
病理のセカンドオピニオンを受けた様ですが、私であれば「外科的生検」をお勧めします。
石灰化病変は、そもそも「かなり微妙な病変」であることに注意が必要です。
私自身のデータでは石灰化をステレオガイド下マンモトーム生検行うと、その5.3%に
「鑑別困難」がでます。
そして、「外科的生検を行う」と、その52%で「癌の診断」となっています。

回答

「現在、MRIの結果待ちでCTはまだ撮っていません。」
⇒MRIもCTも全く「診断には無駄な検査」です。
 何の参考にもなりません。MRIを診断目的に行う事には反対です。
 「外科的生検をする際の、切除範囲の決定」のためであれば有用ですが…
 
「私はがんじゃないならやはり手術は受けたくないです。できる限り術前検査ではっ
きりとさせたいです」
⇒外科的生検は「治療ではなく、診断検査」なのです。
 外科的生検は「術前検査」のひとつなのです。
 針生検(マンモトームを含む)で診断が確定しない様な「微妙な病変」は存在する
のです。
 その場合の確定診断は「外科的生検」となります。決して「CTやMRIなどの画像診
断は替りにはならない」のです。
 
「今後どのような方法がありますでしょうか」
⇒私であれば「外科的生検」をお勧めします。
 それが「どうしても嫌ならば」経過観察しかありません。
 MRIやCTなど画像診断をいくらやっても無駄な検査となります。
 
★私はステレオガイド下マンモトーム生検を誰よりも多く行い、その結果、質問者と
同様な結果を数多く経験しています。
 その経験から「到達した結論」です。
私は、今回質問者を診察していませんが、
「拡張した乳管の一部では上皮細胞が核腫大、核濃染を示して増生しているためDCIS
の疑い」という病理診断で「経過観察を選択すること」はリスクがあることを承知し
なくてはなりません。