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リンパ節転移について

[管理番号:2868]
性別:女性
年齢:29歳
鎖骨リンパ節転移について質問です。
術前のエコー検査で、鎖骨下?リンパ節(+)となっていました。
主治医に直接は聞けていないのですが、PCの画面から見えた数字は、
鎖骨リンパ節(+)0,4ミリか4ミリのどちらかのように見えました。
エコーで0,4ミリレベルの大きさは確認できるものなのでしょうか?
また、細胞診などは行っておりませんが、
0,4ミリ、4ミリの場合に関わらず、エコーで見えるリンパ節=転移陽性となるのでしょうか。
その日はインフルエンザにかかっていたのですが、インフルエンザの影響で肥大する可能性は低いですか?
また、微小転移という言葉をよく耳にしますが、鎖骨下のリンパ節の場合にも微小転移の考え方はありますか?(微小転移のため郭清は省略する、など)
2月の検査では鎖骨のリンパ節については何も言われてなく、ステージ3aと思っていましたが、今月始めの検査のエコーで(+)となっていました。
鎖骨のリンパ節に転移があるという事は、ステージ3cということですよね。
術後の治療は放射線治療を鎖骨に当てるべきですか?
その際はトモセラピーの方が良いですか?
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「鎖骨下?リンパ節(+)」
⇒この表記から、質問者が「鎖骨リンパ節と称しているリンパ節」は「鎖骨下リンパ節のこと」だと理解しました。
 
「PCの画面から見えた数字は、鎖骨リンパ節(+)0,4ミリか4ミリのどちらかのように見えました。」
⇒4mmです。(0.4mmは全く認識できません)
 
「エコーで0,4ミリレベルの大きさは確認できるものなのでしょうか?」
⇒できません。(間違いなく4mmです)
 
「また、細胞診などは行っておりません」
⇒(腋窩リンパ節とは異なり)部位的に「鎖骨下リンパ節(別名レベル3)」は細胞診しません。(腋窩静脈に隣接しているし、アプローチするためには筋肉を何層も貫かなくてはならないからです)
 
「エコーで見えるリンパ節=転移陽性となるのでしょうか。」
⇒これは部位により異なります。
 レベル1:そもそも(正常リンパ節でも)エコーで4mm以上あるのが当たり前なので、その大きさでは「転移との判断材料にはなりません」
 レベル2:4mmのリンパ節は「転移でないこともありますが、形状によっては転移と判断する」こともあります。
 ☆レベル3(鎖骨下リンパ節のこと):4mmのリンパ節があれば(残念ながら)
「有意の所見=転移を疑う」となります。(正常リンパ節は、そもそも認識できない程度なのです)
 
「その日はインフルエンザにかかっていたのですが、インフルエンザの影響で肥大する可能性は低いですか?」
⇒関係ありません。
 
「また、微小転移という言葉をよく耳にしますが、鎖骨下のリンパ節の場合にも微小転移の考え方はありますか?(微小転移のため郭清は省略する、など)」
⇒ありません。
 「微小転移の概念」はあくまでも「センチネルリンパ節生検」のみです。
 
「鎖骨のリンパ節に転移があるという事は、ステージ3cということですよね。」
⇒術前ステージ(臨床ステージ)としては、そうなります。
 ただ、術後のステージ(病理学的ステージ)でのN3は、あくまでも「リンパ節転移10個以上」を指します。
 ♯鎖骨上リンパ節転移の場合にはpN3(c)となりますが、今回の「鎖骨リンパ節という表現は鎖骨下リンパ節」のようです。
 
「術後の治療は放射線治療を鎖骨に当てるべきですか?」
⇒鎖骨下リンパ節は(手術で)「郭清範囲」となります。
 ただ、結果として「リンパ節転移4個以上」となれば、「鎖骨上」が照射範囲となります。
 
「その際はトモセラピーの方が良いですか?」
⇒手術で摘出しないリンパ節(鎖骨上リンパ節や胸骨傍リンパ節など)の場合には「是非、トモセラピーが有効」ですが、
 「鎖骨下リンパ節」であれば、「手術で郭清」そして「鎖骨上領域への予防照射」であれば「リニアックで十分」とも思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ありがとうございます。
「鎖骨下も含めて4個以内となるとN1になる」という事ですね。
腋窩リンパ節は、画像上で1センチ大のリンパ(細胞診陽性)と、もう1つ、エコーで見えているリンパ(細胞陰性)を調べ、N1と診断されました。
エコーに写っていなくても、実際は転移しているという事もあるとの事ですが、鎖骨下まで転移している事から、腋窩(レベル1)は多数(4個以上)転移している可能性が高いですか?
腋窩リンパ節だけでの4個と、鎖骨下リンパ節も含めた4個の転移では再発率など、やはり予後は変わりますか?
しこりが出て、すぐに気付いたと思っていましたが、鎖骨下まで転移があるという事は、
ある程度長い間しこりを放置していた可能性が高いですよね。
また、主治医は目で見えるようなゴロゴロした大きな転移でなければ、レベルⅡまでの郭清にすると言っています。
現在、術前化学療法中ですが、例え化学療法で鎖骨下のリンパ節が消えたとしても、やはりレベルⅢまで郭清するべきですか?
郭清しなかった場合、遠隔転移の可能性は高くなるものですか?
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「エコーに写っていなくても、実際は転移しているという事もあるとの事ですが、鎖骨下まで転移している事から、腋窩(レベル1)は多数(4個以上)転移している可能性が高いですか?」
⇒これは何とも言えません。
 (本当に鎖骨下リンパ節転移が疑われているのであれば)その可能性はあると思います。
 
「腋窩リンパ節だけでの4個と、鎖骨下リンパ節も含めた4個の転移では再発率など、やはり予後は変わりますか?」
⇒(適切な局所療法が行われれば)変わりません。
 
「しこりが出て、すぐに気付いたと思っていましたが、鎖骨下まで転移があるという事は、ある程度長い間しこりを放置していた可能性が高いですよね。」
⇒あまり「鎖骨下リンパ節だけに拘る」必要はありません。
 ただし、局所療法の選択には注意が必要ですが…
 
「主治医は目で見えるようなゴロゴロした大きな転移でなければ、レベルⅡまでの郭清にすると言っています。」
⇒レベルⅢ(鎖骨下リンパ節)の評価次第ですが…
 実際に「転移と判断」するのであれば、(たとえ術前化学療法で小さくなっても)
「その範囲(レベルⅢまで)までの郭清」がされるべきです。(ガイドラインでもそのように推奨されています)
 
「現在、術前化学療法中ですが、例え化学療法で鎖骨下のリンパ節が消えたとしても、やはりレベルⅢまで郭清するべきですか?」
⇒上記コメント通りです(あくまでも化学療法前のレベルⅢの評価次第なのです)
 
「郭清しなかった場合、遠隔転移の可能性は高くなるものですか?」
⇒その場合には「放射線照射で代用」するつもりだとは思いますが…
 凄く差があるとは思いません。
 ただ「局所制御は重要」と思います。