Site Overlay

リンパ節郭清

[管理番号:2061]
性別:女性
年齢:40歳
地方に引越しの予定が1ヶ月後にある中、東京の病院でT2、トリプルネガティブ、核グレード3、MIB-Ⅰ70%、CTで肝・肺転移なしと診断されました。
腋窩、胸骨傍リンパ節転移の可能性が高いとのことでした。
検査の結果を持って、地方の病院に行き、再度エコーで見てもらったところ、腋窩リンパ節の検査したところの奥のほうに、大きく腫れたものがあり、再度検査してもらい現在結果待ちです。
そこで、リンパ節がかなり腫れていて、もし腋窩リンパ節の検査で転移していないとしても、リンパ節郭清することを強く勧められました。
手術は約1ヶ月後に全摘を予定していますが、手術中にセンチネルリンパ節生検しても、正確に診断できない可能性があるためだそうです。
どちらか選択するように言われましたが、リンパ節郭清をすると後遺症が心配ですが、郭清しないと再発の可能性が高まることが心配で判断が難しいです。
手術中にセンチネルリンパ節生検しても、正確に診断できないこともあるのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「腋窩、胸骨傍リンパ節転移の可能性が高いとのことでした」
⇒腋窩はまだしも「胸骨傍リンパ節転移」は結構珍しいので「眉唾もの」だと思います。

回答

「手術中にセンチネルリンパ節生検しても、正確に診断できない可能性があるためだそうです」
⇒随分情けない事をいう医師ですね。
 自分の「センチネルリンパ節生検に100%の信頼」がおけないようでは、「手術する資格がないのでは?」と思います。
 
「手術中にセンチネルリンパ節生検しても、正確に診断できないこともあるのでしょうか」
⇒そんな事はありません。
 そんな事を言っている様では、「危なっかしくて、手術を任せられない」と私は思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご回答ありがとうございました。
田澤先生のご意見を参考に、検査の結果を待って、郭清の件は再度良く考えてみることにします。
他の方の質問を色々拝見しているなかで、新たな疑問というか、不安がでてきたので、再度質問させて頂きます。
私の(左胸)、T2(最初は2.8cmでしたが、日々大きくなっている気がします)、トリプルネガティブ、核グレード3、MIB-7:70%、CTで肝・肺転移なし。
左脇のリンパの腫れが確認でき、転移の可能性あり。
というのはいわゆる予後が悪いということでしょうか。
つまり再発率が高いのでしょうか。
それとも治らないということでしょうか。
また3週間後の全摘手術は決まっていますが全摘した後に再建は可能でしょうか。
もし術前に化学療法をすれば、温存は可能なのでしょうか。
そして、手術後の抗がん剤は必須でしょうか。
色々質問してすみませんが宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
cT2, cN(0-1?), triple negativeですね。
ネットなどの無責任な情報をみると「ゲンナリ」されそうです。
「予後が悪いということでしょうか。つまり再発率が高いのでしょうか。それとも治らないということでしょうか」
⇒最終的に術後病理結果がでないと数字は出せませんが…
 「手術可能乳癌」に「治らない」ということはありません。
 
「また3週間後の全摘手術は決まっていますが全摘した後に再建は可能でしょうか。」
⇒可能です。
 それを「2次再建」といいます。
 
「もし術前に化学療法をすれば、温存は可能なのでしょうか。」
⇒化学療法で「小さくなれば」温存は可能となります。「小さくして温存」というのが本来「(唯一の)術前化学療法の目的」です。
 抗がん剤は「必ず効く」とは限りませんが、「triple negative」というのは「抗がん剤の効果が期待できる」サブタイプです。
 
「手術後の抗がん剤は必須でしょうか。」
⇒triple negativeでは「術前もしくは術後に」抗がん剤は必須となります。(ステージにかかわらず)
 通常、「アンスラサイクリン+タキサン」が推奨されます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつもご回答ありがとうございます。
1ヶ月程前に左胸全摘+腋窩リンパ節郭清手術をしました。
病理結果は、以下の通りです。
充実腺管癌、腫瘤径3.3cm、腋窩リンパ節転移なし
(0/21)、トリプルネガティブ、組織HG:Ⅲ、Ki-
67:50%以上
現時点ではステージⅡa
腋窩リンパ節郭清はやるかどうかかなり迷いましたが、結局リンパ節郭清を行いました。
また、胸骨傍リンパ節はCTでもしかしたら転移しているかもしれないが、ただ腫れているだけかもしれないと言われていました。
術後に腋窩リンパ節に転移がなかったので、胸骨傍リンパ節の方から転移しているタイプかもしれないので、化学療法前にPET検査を受けることになりました。
化学療法はEC3週×4回になるといわれ、受けるかどうか迷っているところです。
そこでお伺いしたいことがあります。
①EC療法というのはアンスラサイクリン系の抗がん剤ということで間違いないでしょうか。
②色々なQ&Aを拝見していると先生は、トリプルネガティブの場合、
アンスラサイクリン+タキサンを推奨しているようですが、
アンスラサイクリンのみの場合とタキサンを追加した場合、治療効果はどのくらい違うのでしょうか。
私のような場合、タキサンを追加したほうがいいのでしょうか。
③腋窩リンパ節郭清は仕方がなかったことなのでしょうか。
郭清しても転移していない可能性はあると術前に説明はあり、かなり迷った末に郭清したので、今さら考えても仕方がないとは分かっているのですが・・・。
④胸骨傍リンパ節転移ですが、自覚症状のようなものはあるのでしょうか。
しこりが胸の中央辺りにあり、しこりで圧迫されるような感覚があったので、腋窩よりもこちらの転移の方が可能性があるのではと思っていました。
また、手術前からのどを圧迫するような、のどが詰まるような感覚があって、ただの精神的なものだと思っていたのですが、転移の可能性があるとこのことなので、もしかしたらこういう症状もあるのではと。
⑤CT、骨シンチ、PETと乳がん診断されてから様々な検査を受けていますが、乳がん自体ももちろん、放射線被爆の発ガンリスクも心配です。
このくらいの検査は乳がん治療としては当たり前のことなのでしょうか。
また、色々質問して申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
このメールを読んで少々驚きましたが、「結局リンパ節を21個郭清して転移無」なのですね?
確か「担当医は、奥に腫れたリンパ節があるので転移が疑われる」とコメントしていたと思いますが、「この病理結果を受けて、(この点について)どのようにコメントしているのでしょうか?」
○結局、普通に「センチネルリンパ節生検」を行い、「郭清省略」すべきだったということとなります(質問者自身が選択したのだから、それはそれでいいのですが、担当医には是非学んでもらいたいものです)
 
pT2(33mm), pN0, pStageⅡA, TN, HG3
 
「術後に腋窩リンパ節に転移がなかったので、胸骨傍リンパ節の方から転移しているタイプかもしれないので、化学療法前にPET検査を受けることになりました。」
⇒余計な医療被曝です。
 
「化学療法はEC3週×4回になるといわれ、受けるかどうか迷っているところです。」
⇒トリプルネガティブだから化学療法は必須と思います。
 
「①EC療法というのはアンスラサイクリン系の抗がん剤ということで間違いないでしょうか。」
⇒その通りです。
 E:エピルビシン(アンスラサイクリン)とC:エンドキサンとの併用です。
 
「②色々なQ&Aを拝見していると先生は、トリプルネガティブの場合、アンスラサイクリン+タキサンを推奨している」
⇒それが、golden standardなのです。
 
「アンスラサイクリンのみの場合とタキサンを追加した場合、治療効果はどのくらい違うのでしょうか。」
⇒ソフトで計算すると「6%」です。
 
「私のような場合、タキサンを追加したほうがいいのでしょうか。」
⇒そう思います。
 
「③腋窩リンパ節郭清は仕方がなかったことなのでしょうか。郭清しても転移していない可能性はあると術前に説明はあり、かなり迷った末に郭清したので、今さら考えても仕方がないとは分かっているのですが・・・。」
⇒担当医の問題でしょう。
 本来「センチネルリンパ節生検を信頼すべき」なのに「センチネルリンパ節生検でも解らない事がある」「腫れていて気になる」などと言われたら、「質問者のように不安になる」のは仕方が無いと思います。
  
「④胸骨傍リンパ節転移ですが、自覚症状のようなものはあるのでしょうか。」
⇒ありません。
 
「しこりが胸の中央辺りにあり、しこりで圧迫されるような感覚があったので、腋窩よりもこちらの転移の方が可能性があるのではと思っていました。」
⇒胸骨傍リンパ節転移は「かなり低頻度」であることを明記しておきます。
 そもそも「症状は全く無関係」です。
 
「また、手術前からのどを圧迫するような、のどが詰まるような感覚があって、ただの精神的なものだと思っていたのですが、転移の可能性があるとこのことなので、もしかしたらこういう症状もあるのではと。」
⇒考え過ぎです。
 全く無関係です。
 
「⑤CT、骨シンチ、PETと乳がん診断されてから様々な検査を受けていますが、乳がん自体ももちろん、放射線被爆の発ガンリスクも心配です。」
⇒このような診療は「私も心配」です。
 全く無駄な検査であり、医療被曝をどう考えているのか?  今週のコラム6回目「無駄どころか、有害なのです」を参照してください。
 厳しいようですが… (このような担当医には)もう少し経験を積んで、「本当に必要な検査は何か?きっちりと自分の中で消化してほしい」と切に願います。
 
「このくらいの検査は乳がん治療としては当たり前のことなのでしょうか。」
⇒全く違います。
 ただ、「大学病院や○んセンターのような大病院」では「えてして、ルーティーン化」しているようですが… 困ったものです。