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脇リンパ節再発について

[管理番号:5327]
性別:女性
年齢:48歳
初めまして。
再発がわかってから、こちらのQ&Aを検索しては、勉強させていただいております。
今回、術後7年にして、脇リンパに再発をしてしまいました。
病歴は、以下になります。
2010年 右乳がん 皮下乳腺全摘
しこり2個、最大径1.3cmとのことで、ステージ1
ホルモン強陽性 HER2 2+(陰性)mib1が20(当時まだ、参考で出しているだけなので、あまり気にしないで、と言われました)
グレード1 センチネルリンパ節生検にて、リンパ転移なし
ゾラデックス2年 タスオミン 5年
2011年 インプラントで再建
2017年7月 定期検査の際、右腋窩リンパ節肥大を指摘(エコーで2cmほど)
細胞診にて、悪性との結果
主治医にの話では、1年前もリンパ節は腫れていたらしいのですが、
(1.5cm)反応性肥大と経過観察していたそうです。
(私には知らされておらず)
造影剤CTにて、遠隔転移なし。
リンパ節転移は1個か2個。
右再建胸に1
個しこりあり。
2017年8月 脇リンパ摘出(腫れているもののみ。結局1個)とともに、
再建胸上のしこり(悪性かは不明)も摘出。
現在、病理結果待ちです。
お聞きしたいのは、
1. リンパ節郭清しなくて、大丈夫なのでしょうか?
主治医は、浮腫のリスクが、高くなるので、腫れているリンパ節のみで、良いとのこと。
だか、放射線が必要と。
2.腫れていたリンパ節は、1個のみでしたが、摘出されたらものは、かなり大きいものでした…。
術前までは、リンパ節1個だけなら、と気持ちを前向きにしていましたが、想像より大きな摘出されたリンパ節を見て、怖くなってしまいました。
リンパ節の大きさについては、あまり話題に出て参りませんが、大きさによって気にしなければならならいことはあるのでしょうか?
3.術後補助療法ですが、術前は、ホルモン治療再開で良いかも、と主治医からは言われていましたが、術後の結果では、抗がん剤を提案されることもあるのでしょうか?
抗がん剤は、したくないのですが。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
局所再発については「今週のコラム」を読むと参考となるでしょう。
「1. リンパ節郭清しなくて、大丈夫なのでしょうか?」」
⇒一般的ではありません。
 間違いではありませんが、(その場合には)「きちんと超音波で監視」してもらいましょう。
「大きさによって気にしなければならならいことはあるのでしょうか?」
⇒無関係です。
 1個だけなら「センチネルリンパ節の取り残し(実は、手術時に提出したセンチネルリンパ節は偽物でd、このリンパ節が本物の「センチネルリンパ節」だったということ)だったと考えます。
 長期間のホルモン療法で抑えられていたが、(ホルモン療法が終了して)「ブレーキが外れた」のでしょう。
「術後の結果では、抗がん剤を提案されることもあるのでしょうか?」
⇒これについては、『今週のコラム 84回目 「初回手術の取り残しを摘出するだけでよい」と言う事なのです。』に記載したとおりです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

局所再発の放射線治療
性別:女性
年齢:48歳
??田澤先生、先日はわかりやすいご回答ありがとうございます!
病理結果まで何度も読み直し勇気をいただいていました。
??先日手術後の病理がでました。
?
右腋窩リンパ節 1/1(腫れているもののみ摘出) グレード2(ホルモンなどの情報は出ていないようでした)
?再建後の右胸のしこり 1.2cm ホルモン99% HER2 +1 mib-1 1- 9% グレード1?
今後の治療として、ホルモン治療は必要とのことで、タモキシフェン5年 (閉経したら閉経後のホルモン薬に変更)
放射線については、術前は話が出ていましたが、主治医からははじめ提案がなく、私から伺ったところ、「やると、かなり良いのでやりましょう」と言われました。
?「やるのとやたないので、どのくらい再発のリスクが変わりますが?」?
との質問には「わからない」とのこと。。。
(あまりエビデンスがない
ということでしょうか?)?
主治医からも、ホルモン治療と放射線で、根治する可能性が高いと言ってもらい、少し安心ております。
?
今回の質問なのですが、?
1.こちらのサイトで勉強させていただき、放射線は必要と理解しておりますので、受けるつもりでいますが、田澤先生はどのくらい効果があると思われますでしょうか?
2.放射線は、仕事場の関係で別の病院で受ける予定です。
紹介状を書いてもらっている際に、主治医のPCの画面を見ていたところ、照射部位に「鎖骨上・右乳房」と書いていたのですが、鎖骨の照射は必要なのでしょうか?
?腋窩と乳房だけかと思っていたのですが。
鎖骨照射は、浮腫や食道炎のリスクがあると読んだので、省略できるなら省略したいのですが。
?3.また、照射部位に「腋窩」とは書いていなかったのですが、乳房の照射範囲に含まれるのでしょうか?どちらかというと、郭清していないので、脇の方が心配です。
??4.胸のしこりについて、取り残しですか?と聞いたところ「皮膚にあとから出てきたんでしょう」と言われましたが、そうなのでしょうか?
?胸のしこりも癌だったわけですが、今回のリンパ節の局所再発は、胸のしこりからリンパ転移したのではなく、前回ご回答いただいた様に、脇のリンパ節はセンチネルの取り残しで、それぞ別に再発したということでしょうか???
長々と毎度申し訳ございません。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
(7年前の手術だと)「現在の主治医が当時の執刀医と同一ではない」可能性があります。(どうでしょう?)
本来、外科医は「局所再発は自分の責任」という強い認識を持ち、「外科医として、局所には責任を持つ」という強い意識が必要です。
今回のメールを読んで私が危惧するのは、主治医が(局所再発を)「どこか、人ごと」のように捉えているのでは?という点です。(自分の執刀でないと、そうなりがちです)
前回のメールでも書いたように
 本来「腋窩再発ならば、(そのリンパ節だけでなく)きちんとした郭清が必要」です。
 もしも何らかの理由(患者さん自身の希望「郭清されると浮腫がこわいので止めてほしい」など)で郭清省略をして「転移リンパ節のみを摘出」するのであれば、(放射線で口を濁すのではなく)「3カ月に1回などの自らの超音波での監視」を提案すべきでしょう。
 ☆腋窩郭清した上で(万全を期して)放射線をかけるというのは納得できることですが、「腋窩郭清をしない代わりに、放射線で口を濁す(言葉は少々悪いですが)」というのは(外科医として)どうかと思います。
「田澤先生はどのくらい効果があると思われますでしょうか?」
⇒全く不明です。
 本来(この場合の)放射線は、「腋窩郭清の補助」として行われるべきものであり、「腋窩郭清の代替」とはなりえないのです。
「鎖骨の照射は必要なのでしょうか?」
⇒本来「鎖骨上(リンパ節領域の)照射」は、そこまで(つまり、鎖骨下まで)郭清した上で「更にその先を予防照射する」という考え方です。
 
 腋窩をそのままにして「鎖骨上の照射」だけを行う事はアンバランスでしょう。
「.胸のしこりについて、取り残しですか?と聞いたところ「皮膚にあとから出てきたんでしょう」と言われましたが、そうなのでしょうか?」
⇒「取り残した癌細胞」が(その部分の)胸壁にでてきたのです。
 担当医が(局所とは全く無関係に)「皮膚転移」と主張するには、(体中に皮膚は拡がっているのに)「ピンポイントにその部分のみ」というのは、いくらなんでも「苦しい言い訳」と思います。
「脇のリンパ節はセンチネルの取り残しで、それぞ別に再発したということでしょうか???」
⇒そう考えるのが自然です。
 ホルモン療法を行っている間は「抑えられていた」のだが、(終了して)増殖を再開したという解釈が最も自然です。