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ルミナルB 全摘すべきか、化学療法を受けるべきか悩んでいます。

[管理番号:5039]
性別:女性
年齢:54歳
田澤先生、教えてください。
54歳 女性 閉経。
左乳房下方内側に12mmのしこりに気づき、CT、MRI、マンモ、エコー、針生検をし、部分切除術を受けました。
病理結果が出たばかりです。
TIC 12mm、N0、M0、センチネルリンパ節
マイナス、ステージI、ルミナルB、Nグレード2、核異型Score2、ly1、V0。
12mmの腫瘍の周りに小さな篩状の管内進展がいくつかあり、その1つが断端ギリギリ0.5mmと言われました。
ER96%陽性、PgR0.77%陰性、Ki67=22.65%、HER2陰性でした。
断端ギリギリということは、異型細胞が残存乳房に残っている可能性があり、放射線30回で対応すると言われました。
その後ホルモン療法と。
追加全摘する方がすっきりするか自問しています。
主治医は全摘は必要ないと言います。
オンコタイプDXを提出してきましたが、1ヶ月先になります。
31点以上であればTC4コースする場合があると言われましたが、化学療法は20年前に婦人科で7コース受けたことがあり、もうできればしたくありません。
生存率、再発率の化学療法の上乗せ効果、やらなくてもそれほど変わらないか教えてください。
オンコタイプDX31点以上であれば全摘してしまいたい心境です。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ご本人は大変な誤解をしています。
「局所療法」と「全身療法」は全く独立したものです。
「局所療法として乳腺を部分切除するのか?全摘するのか?」と「全身療法として抗癌剤が必要か?」は全く無関係です。
「生存率、再発率の化学療法の上乗せ効果、やらなくてもそれほど変わらないか教えてください。」
⇒それこそ、OncotypeDXの結果で解ります。
 NewAdjuvant.comの結果は(ルミナールAとBが混ざるので)極めて中途半端な結果となります。
「オンコタイプDX31点以上であれば全摘してしまいたい心境です。」
⇒冒頭のコメント通り、全くナンセンスです。
 「化学療法をしないかわりに、乳腺を全摘する」という発想は「あまりにもナンセンス」なのです。(冒頭に述べたように)
★ただ、「Ki67=22.65%」であれば「かなりの確率でRS≦30」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

題名 今後の治療方針について
ルミナルB 断端ギリギリで全摘すべきか化学療法を受けるべきかについて相談した者です。
前回は明解なご回答いただきありがとうございました。
「局所」と「全身」を区別して考えること、というお言葉で目が覚めました。
その後主治医と相談しましたが、田澤先生のご意見もお聞かせいただければと思い、再度質問させて頂きます。
①非浸潤部の断端0.5㎜のギリギリが不安で仕方なく、放射線30回よりも全摘を希望しました。
しかし主治医は放射線30回により反対側と同程度の再発率に抑えられるであろうとの意見で、判断しかねています。
仕事も忙しくスッキリしたい気持ちです。
田澤先生ならどうご判断されますか。
②化学療法については、12㎜のルミナルB ステージIの私の症例に対し、オンコタイプをしない場合、田澤先生ならどうご判断されますか。
以上の2点について教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「局所の不備を全身療法で補う」という考えから脱却されたことは良かったです。
(局所と全身はそれぞれ別々に考えるべきなのです)
「①非浸潤部の断端0.5㎜のギリギリが不安で仕方なく、放射線30回よりも全摘を希望」「田澤先生ならどうご判断されますか。」
⇒当然のことながら…
 ご本人のご希望に沿うべきです。
 担当医が「反対する理由」がありません。(万が一乳房内再発した場合に、不利益を被るのは、その医師ではなく、ご本人なのです)
「②化学療法については、12㎜のルミナルB ステージIの私の症例に対し、オンコタイプをしない場合、田澤先生ならどうご判断されますか。」
⇒そもそもKi67=22.65%をルミナールBとは思いません。
 OncotypeDXすれば(確率的に)ルミナールA(化学療法による上乗せが少ない)と出る確率が高いです。
 当院では、その値ではホルモン療法単独としています。