Site Overlay

42歳妊娠希望、5.4cm、ルミナルA、リンパ転移なしの浸潤癌の治療方針

[管理番号:5103]
性別:女性
年齢:42歳
2017年7月〇日
田澤先生、このたびはお世話になります。
スペインに在住しております。
4日前に乳がんと診断されました。
私のスペイン語はまだ初中級で医学用語は知らないことばかりで、医療システムについてもわからないことばかりで、外国で長期の治療を受けていくのは不安な部分もあるのですが、毎日インターネットで色々情報を探して、なんとか診断結果をできる限り正しく理解し、無用な不安を取り払い、前向きな姿勢で、納得のいく治療が受けられるように準備したいと思っております。
以下、治療方法、その他の質問につきまして、教えていただけましたら幸いです。
<経過>
2017年
5/〇〇 右胸に2cmくらいのしこりを発見
6/〇  外来触診 (2cmのしこり)
6/〇〇 超音波 (3.6cmの腫瘍)
6/〇〇 マンモグラフィ、超音波
6/〇〇 針生検
7/〇 MRI (5.4cm)
7/〇 乳がんと診断
<診断内容>
大きさ:25 x 22 x 54mm
浸潤あり(大部分は非浸潤)
リンパその他転移なし(追加検査する予定)
異型度:グレード1(追加検査する予定)
サブタイプ:ルミナルA
場所は胸筋に近い場所だが胸壁固定はなし
病期:まだ断定できないが、今のところ、Ⅱの印象との医師のコメント
CK-19 – 陽性
ER -陽性(+3) 80%
PgR – 陽性(+3) 90%
HER2 – 陰性 (0+)
Ki67 – 10%
p53- 陽性(+1) 10%
血液検査等はまだしておらず、来週追加検査予定。
最終的な治療の方向性を決めるのは、すべての検査結果が揃った後で今から4〜6週間後、と言われています。
<私自身について>
・42歳女性(170cm、60kg)
・独身(妊娠・出産歴なし)
・ピル使用歴なし
・家族や親せきなどで乳がんの人はなし
・2年前からひどいPMS(鬱や精神不安定)が数か月に1回ある
・アレルギー・病歴なし
・手術:盲腸のみ(2001年)
<私の状況>
42歳という年齢なのですが、ちょうど婚約者と結婚の準備をしていたところで、今年子供が欲しいと思っていた矢先の乳がん告知でした。
乳がんと診断されて、最初に思った
のが、この先5年、10年と治療が続くのなら、私の年齢なら妊娠・出産をあきらめないといけないのかなぁという点でした。
全摘、否か、という点に関しては、生き抜くことが一番大事なので、再発率が低い方向でもちろん選択したいと思うのですが、なんとか全体的な治療期間(子供が産めない期間)を短くするような方向でいけないかと考えているところです。
<質問>
1.治療の方向性、方針についてはまだはっきりと決まっていませんが、5cm 以上だからか、術前化学治療の可能性があると医師から聞いています。
上のような状態でしたら、田澤先生でしたら、どのような方向性で治療を進められますか?また医師チームに確認した方がよい点などはありますか?
2.もちろん、手術をしてみて、あるいは、ホルモン治療や放射線治療など、実際の治療をしてみてどのような結果になっていくか、というのを見ないことにはわからないとは思いますが、通常、上のような状態で診断された場合、どれくらいの期間、妊娠・出産できないものでしょうか?治療期間は最短〜最長どれくらいなのでしょうか?
ホルモン治療や放射線治療後はどれくらい妊娠までに期間を置く必要があるのでしょうか?
極端な話、手術後、放射線治療やホルモン治療を一切受けず、妊娠・出産をしてから、2年後にホルモン治療をうける、という選択も可能なのでしょうか?
3.針生検のあと、2週間近く経っていますが、まだしこりの周囲が腫れているような感じで、前より大きい感じで、右胸の中がしくしく痛みます。
こんな状態でも、運動したり、お風呂に入ったりして、血液の循環をよくしても大丈夫でしょうか?リンパに転移したりしないかなと不安があります。
4.自分でできることとして、規則正しい生活、早寝早起き、お風呂にはいってリ
ラックス、身体を温めること、呼吸法、適度な運動と筋トレ、バランスのよい食生活、夏枯草茶(漢方)を飲む、をより優先順位をあげてやっていこうと思っていますが、この中で治療中しない方がいいことはありますか?
あるいは、それ以外に、治療のために(例えば、女性ホルモンのバランスを整えるために)自分でできる有効な方法はありますか?
大変お忙しい中恐れ入りますが、なんとかご助力いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
出産可能年齢での罹患率が高い乳癌では、普遍的な質問と言えます。
考え方としては
○妊娠出産が乳癌の予後に悪影響を及ぼすとされるエビデンスはない(現在まで様々な試験がされていますが、影響はないという結論にいたっています)
 理論的には「妊娠期のエストロゲン上昇を危険視」考えも解りますが、「妊娠出産回数が乳癌リスクを減らす事は間違いない(未産より1回、1回より2回、2回より3回の方が間違いなくリスクは下がるのです)」のです。
「1.治療の方向性、方針についてはまだはっきりと決まっていませんが、5cm 以上だからか、術前化学治療の可能性があると医師から聞いています。」
⇒絶対に止めましょう。
 質問者が「小さくして温存」<「認容性」という考え方なら、迷う必要は全くありません。
 ♯再発予防としての観点ではルミナールAなので全く無意味です。
「田澤先生でしたら、どのような方向性で治療を進められますか?」
⇒迷う必要は「一秒も」ありません。
 手術(全摘)⇒「妊娠出産授乳」⇒ホルモン療法です。
「また医師チームに確認した方がよい点などはありますか?」
⇒妊娠出産を最優先する意思を伝えるだけでOKです。
「どれくらいの期間、妊娠・出産できないものでしょうか?」「ホルモン治療や放射線治療後はどれくらい妊娠までに期間を置く必要があるのでしょうか?」
⇒予想される(術後)治療は「ホルモン療法単独」となります。
 ホルモン療法を(妊娠出産に先行させた)場合には、休薬期間が2カ月必要です。
(化学療法なら3カ月)
「治療期間は最短〜最長どれくらいなのでしょうか?」
⇒ホルモン療法は5年とか10年となります。
「極端な話、手術後、放射線治療やホルモン治療を一切受けず、妊娠・出産をしてから、2年後にホルモン治療をうける、という選択も可能なのでしょうか?」
⇒極端ではなく・
 それでいいのです。
「血液の循環をよくしても大丈夫でしょうか?リンパに転移したりしないかなと不安があります。」
⇒全く無関係です。
 ご安心ください。
「この中で治療中しない方がいいことはありますか?」
⇒ありません。
 全部大丈夫です。
「あるいは、それ以外に、治療のために(例えば、女性ホルモンのバランスを整えるために)自分でできる有効な方法はありますか?」
⇒特にありません。