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術後の胸壁再発 局所再発と遠隔転移再発の違い

[管理番号:1148]
性別:女性
年齢:43歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:638「術後8年 全摘跡にしこり

 
 
以前、質問させて頂いた者です。
8月の中頃に手術し、その病理結果が先日出ました。
検査の結果小さいのが見つかったらしく、残念ながら大胸筋転移。ある程度は覚悟し
てたとはいえ、やはりショックでした。
初発と同じでホルモン治療が良く効くタイプらしく、手術までの約1か月の間に服用
していたホルモン剤の効果なのか、術前検査の時より手術で摘出したものは小さく
なっていたそうです。
早い段階で見つけることができたこと、術前の全身検査で他への転移がないこと、顔
つきも変わっておらず初発と同じ感じであること、良かったねって主治医に言われま
した。
今後の治療としては、ホルモン剤の内服と注射を5年。初発の時は全摘だったので放
射線を受けてないので、今回は放射線治療もするそうです。
またゼロからのスタートですが頑張って治療を受けようと思っていますが、再発と転
移、この違いがよくわかりません。もし悪いものが見つかっても大胸筋への局所再発
になるのかと思っていたのですが、大胸筋転移と言われ少し戸惑っています。以前、
先生に質問させて頂いた時に局所再発なら根治の可能性もあると教えて頂き、その可
能性に希望を持って受け入れよう!と思っていたのですが、大胸筋転移だと根治の可
能性は無いのでしょうか?それと、主治医から、筋肉に転移することは少ないと言わ
れましたが、大胸筋転移は珍しいことなのでしょうか?今後の治療で、他に追加した
方が良いことなどあるでしょうか?
お忙しいのに色々と質問してしまい申し訳ありませんが、ご回答頂けると嬉しいで
す。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ご本人を実際に診察していないので、私の考えはあくまでも一般論だと考えてくださ
い。
担当医は「大胸筋転移」と言っていますが、「どう考えても局所再発(手術時に残っ
た癌細胞がゆっくり増殖)」です。

回答

「初発の時は全摘だったので放射線を受けてないので、今回は放射線治療もする」
⇒正しい治療です。
 局所再発の治療の原則は 『可能な限りの局所治療(手術+放射線)』+『全身療
法』です。
 ♯質問者のような「PETでみても他に無い」ような「単純な局所再発」ではホルモ
ン療法単剤で十分です。(8年もかけて、ゆっくり大きくなったのです。かなり大人
しい筈です)
 
「再発と転移、この違いがよくわかりません」
⇒良くある質問です。
 用語に統一が無いから解り難いのです。
 ①「局所再発」と②「遠隔転移再発」と③「(手術時の)リンパ節転移」と④
「(手術時の)遠隔転移」に分けて理解しましょう。
 ①局所再発…これは術後の「胸壁(温存の際には乳腺)やリンパ節」に癌が出現す
ることです。
 今回の質問者はこれにあたります。
 ②遠隔転移再発…これは術後に「骨や肺、肝などに」転移することです。(手術時
にすでにある遠隔転移と区別するために、最後に再発とつけます)
 ★③(手術時の)リンパ節転移や④(手術時の)遠隔転移とは区別してください。
 
「大胸筋への局所再発になるのかと思っていたのですが、大胸筋転移と言われ少し戸
惑っています」
⇒担当医の認識は誤りだと思います。
 明らかに「局所再発=大胸筋再発」です。
 
「大胸筋転移だと根治の可能性は無いのでしょうか?」
⇒局所再発なので大丈夫です。
 十分「根治の可能性」は高いです。
 
「主治医から、筋肉に転移することは少ないと言われましたが、大胸筋転移は珍しい
ことなのでしょうか?」
⇒珍しいというより「筋肉転移など、ありません」
 
 
○実際に質問者を診察もしていないのに「断定的な言い方」をしている事に疑問を持
つ方もいらっしゃるかもしれませんが、「乳癌診療には常識」があります。
 診療経験が豊富な乳腺外科医で「術後の胸壁再発を、大胸筋転移」とする考え方に
賛成する人は皆無でしょう。